TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

2021-01-01から1年間の記事一覧

文楽 12月東京鑑賞教室公演『新版歌祭文』野崎村の段 国立劇場

野崎村、あまりに上演が多すぎて、話を楽しむとかより、出演者の技巧と大根の大きさを見る演目になってきた。 ■ 文楽鑑賞教室のため、配役違いで2グループ公演。今年は幹部一切出演なし、景事抜きで解説から始まるプログラム。 Aプロ。 解説=太夫・三味線(…

文楽 12月東京公演『仮名手本忠臣蔵』桃井館本蔵松切の段、下馬先進物の段、殿中刃傷の段、塩谷判官切腹の段、城明渡しの段、道行旅路の嫁入 国立劇場

鑑賞教室の客が初心者なら、こっちは舞台の上にいる人らのほうが初心者だッッッ!! 12月恒例、中堅公演に行ってきました。 ■ 例年、12月東京本公演は、幹部や高齢技芸員が抜け、中堅以下のみで行う公演になっている。今年は『仮名手本忠臣蔵』の四段目まで…

酒屋万来文楽『勧進帳』白鷹禄水苑

秋の恒例単発公演、西宮の白鷹文楽へ行ってきた。 和生さんの個人仕事のため、普段は女方が主役の演目が多い公演だが、今年は白鷹禄水苑の開場20周年記念で、能(居囃子)『安宅』上演と連動し、文楽も『勧進帳』の上演だった。 ■ 『勧進帳』って、まさかKAZ…

文楽 10・11月大阪錦秋公演『団子売』『ひらかな盛衰記』辻法印の段、神崎揚屋の段 国立文楽劇場

私が観た日、第二部と第三部で清十郎さんの髪型が違っていて、「変えるの、そこ!?!?!?!?!?!?!??」と思った。 ■ 団子売。 もう、『徳川セックス禁止令』の勢いで、人数稼ぎの景事をオマケとして付けるのを禁ず!!!!!!!! 半通しの中に突…

文楽 10・11月大阪錦秋公演『ひらかな盛衰記』大津宿屋の段、笹引の段、松右衛門内の段、逆櫓の段 国立文楽劇場

権四郎渾身のギャグ「もぉ〜〜〜」、大好き。やたら綺麗な前傾姿勢と足の踏み出し、ツノを作る手がバッチリ左右揃っているのが良い。意味不明すぎて、観客一切ノーリアクションなのも良い。 ■ 第二部、ひらかな盛衰記、三段目。 大津宿屋の段。 二重の舞台い…

文楽 10・11月大阪錦秋公演『蘆屋道満大内鑑』保名物狂の段、葛の葉子別れの段、蘭菊の乱れ 国立文楽劇場

今回の『蘆屋道満大内鑑』は、FGOコラボ等は特になしです。 ■ 錦秋公演第一部、蘆屋道満大内鑑。 まったく期待していなかった演目。しかし、かなりの驚きがあった。和生さん、清治さんの舞台牽引力を見せつけられた。シッカリした人がリーダーシップをもって…

くずし字学習 翻刻『桜御殿五十三駅』四段目 道行六ツの袖垣

近松半二ほか作の浄瑠璃『桜御殿五十三駅』の四段目。 朝廷から預かっていた宝物「日の御旗」が盗まれ紛失したことを知った左馬之助は狂気に陥り、室町の御殿を出奔する。それを追う恋人・傾城雪の戸、許嫁・薫姫。娘たちは恋を争い、左馬之助は夢うつつの道…

映画の文楽4 内田吐夢監督『浪花の恋の物語』4:映画に語られる浄瑠璃

むちゃくちゃ長いこと放置していましたが、内田吐夢監督の映画『浪花の恋の物語』についての記事の続きです。 ┃ はじめに −−あまりに久しぶりすぎるため、簡単に記事の趣旨を書いておこうと思います。−− 『浪花の恋の物語』(1959/東映)は、人形浄瑠璃『冥…

くずし字学習 翻刻『桜御殿五十三駅』三段目 室町御所の段

近松半二ほか作の浄瑠璃『桜御殿五十三駅』の三段目。 足利義政の館には、将軍家の最高位の家臣である3人の管領がいる。ワルじじいの山名宗全、くそまじめな斯波多門頭義廉、まともな上杉忠則である。この3人が義政の弟・左馬之助の放埒、その挙句になかなか…

文楽 10月地方公演『一谷嫰軍記』『曾根崎心中』神奈川県立青少年センター

今年の地方公演は景事なしで、1演目のみ。コロナ対策として休憩時間を入れないということだろうか。ワシはコレでエエ。 ■ 横浜会場、今年は席配置を千鳥販売。最前列は販売停止していたが、床前は人を入れていた。席数減のためか、昼夜とも満席状態になって…

文楽 9月東京公演『卅三間堂棟由来』『日高川入相花王』国立劇場

■ 第二部、卅三間堂棟由来、平太郎住家より木遣音頭の段。 今回は、平太郎住家に盗賊・和田四郎が押しかけてきて母を殺害するくだりを含むノーカット上演。通常とは異なり、舞台上手に池とつるべが設置される。 和生さんは第一部の翁のほか、お柳も勤めてい…

『祇園女御九重錦』(卅三間堂棟由来)全段のあらすじと整理

現行文楽で『卅三間堂棟由来(三十三間堂棟由来)』として上演されている演目は、『三十三間堂/平太郎縁起 祇園女御九重錦(ぎおんにょうごここのえにしき)』と題された時代浄瑠璃の三段目が独立したものだ。 ┃ 概要 ┃ あらすじ 一段目 熊野行場の段(復活…

文楽 9月東京公演『寿式三番叟』『双蝶々曲輪日記』国立劇場

■ 第一部、寿式三番叟。 三番叟役を勤めた人形遣いさんが、客席に向かって本当に一生懸命に鈴を振っている姿に心を打たれた。その人は今までに、私が見飽きたどうこうとか言い出す以上に、なんどもなんども三番叟を踊っていると思う。しかし、この人は、『寿…

文楽 9月東京公演『伊賀越道中双六』沼津の段、伏見北国屋の段、伊賀上野敵討の段

9月は全日程公演できて、本当に良かったです。 ■ 第三部は『伊賀越道中双六』。今回公演の一番の目玉、「沼津」から。 沼津里(小揚)。 東海道、沼津の里のほど近く。旅姿の商人〈呉服屋十兵衛=吉田玉男〉はふと何かを思いつき、荷物持安兵衛〈吉田和馬〉に…

文楽 大阪7・8月夏休み特別公演『生写朝顔話』国立文楽劇場

勘十郎さんの人間国宝認定、おめでとうございます。 人形遣いは簑助さん、和生さんがいるので、次に誰かが認定されるのはだいぶ先だろうと思っていましたが、早々の認定。おめでたいことです。 勘十郎さんの活動では、外部公演への意欲的な参加が一番尊敬す…

文楽 大阪7・8月夏休み特別公演『うつぼ猿』『舌切雀』国立文楽劇場

お子さま&大きなお友だちで犇めく親子劇場。「大きなお友だち」は本気の方が多く、お連れのお子さまにプログラムの技芸員一覧を見せながら、「この人とこの人は親子」等の英才教育を施していました。 ■ うつぼ猿。 前解説に亘さんが登場。実際に舞台で使う小…

文楽 大阪7・8月夏休み特別公演『夏祭浪花鑑』国立文楽劇場

今年の夏休み公演第三部・サマーレイトショーは『夏祭浪花鑑』。団七が玉男さん、義平次が玉志サンという私にとってベスト配役だったので、4連休を使って行ってきた。 ■ 住吉鳥居前の段。 玉男さんの悠々とした団七がとても印象的。ドーーーーーーーーーーー…

文楽 in Hyogo『義士銘々伝』弥作鎌腹の段 兵庫県立芸術文化センター

久しぶりに、兵庫県独自企画の文楽公演「文楽 in Hyogo」へ行ってきました。本来は2年に1度の開催だそうですが、昨年の開催予定が新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止になったため、今年にスライドしてきたようです。 ■ 第一部はトークショー。和生さん…

文楽若手会『菅原伝授手習鑑』『生写朝顔話』「万才」「鷺娘」国立劇場小劇場

東京の若手会は2日間両日開催できて、本当に良かった。 ■ 『菅原伝授手習鑑』茶筅酒の段、喧嘩の段、訴訟の段、桜丸切腹の段。衝撃的な背伸び配役、そもそも佐太村を若手だけでやるという企画そのものがすごい。なんかもう、全体的に、「頑張ってるッッッッ…

文楽 6月大阪鑑賞教室公演『五条橋』『卅三間堂棟由来』国立文楽劇場

6月鑑賞教室公演は、大阪府の要請により、土日休演、平日のみの開催。今回はたまたま平日のチケットを買っていたので、観ることができた。 っていうか、玉志サンの出演がある後期日程、18日(日曜日)が元から休演設定で、基本土日しか行けない自分は「なん…

文楽 5月東京公演『心中宵庚申』国立劇場小劇場

5月公演は第一部しか観られず。最近のよかったこと、横浜のへびが出てきたことだけです。 ■ 第一部、心中宵庚申。上田村は人形黒衣、以降は出遣い。 上田村のお千代パパ、平右衛門が玉志サンだった。玉志ジジイ……って感じのすごく真面目そうなジジイだった。…

くずし字学習 翻刻『桜御殿五十三駅』二段目 田中村茶店の段

近松半二ほか作の浄瑠璃『桜御殿五十三駅』二段目の翻刻。たくさんの登場人物が次々に登場し、物語が本格的に幕を開ける。 舞台は、京都・田中村(現在の出町柳付近)の道端に開かれた茶店へ移る。 鷹狩りの仕事が終わった鷹匠・太郎治は、休暇をもらって久…

くずし字学習 翻刻『桜御殿五十三駅』大序 御狩場の段

『桜御殿五十三駅(さくらごてんごじゅうさんつぎ)』は、近松半二・栄善平・寺田兵蔵・松田ばく・三好松洛による時代浄瑠璃。近松半二の作品としては、『妹背山婦女庭訓』の次に執筆・上演された円熟期のものである。室町時代を舞台に、愚かな将軍兄弟とそ…

文楽 4月大阪公演『花競四季寿』『恋女房染分手綱』国立文楽劇場

◾️ 花競四季寿、オールシーズンフル上演。 春、万歳。 なぜあの二人は手をつないで入ってくるのか。どういうシチュエーションなのだろう。たまに才蔵でイヤイヤしてる人がいるので、「仕事したくなーい」という才蔵を太夫が引っ張ってきているという設定なの…

文楽 4月大阪公演『傾城阿波の鳴門』十郎兵衛住家の段『小鍛冶』国立文楽劇場

第三部は『傾城阿波の鳴門』『小鍛冶』とも、玉佳さんが登場。事情(?)を知らない方が見たら、玉佳チャンをアイドルだと思われるのではないでしょうか。はい、玉佳チャンはみんなのアイドルです! ■ 『傾城阿波の鳴門』十郎兵衛住家の段。 お弓が故郷に残…

文楽 吉田簑助引退[2021年4月24日『国性爺合戦』楼門の段/錦祥女 国立文楽劇場]

4月15日、簑助さんの4月公演をもっての引退が発表された。 私 吉田簑助は 二〇二一年四月公演をもちまして引退いたします 一九四〇年 三代吉田文五郎師に入門し 人形の道を歩みはじめて今年でまる八一年 その間脳出血で倒れ 復帰してから二二年 体調が思うに…

文楽 4月大阪公演『国性爺合戦』国立文楽劇場

ぶおんぶおん! はまぐりの季節!! ■ 第二部、『国性爺合戦』。最初に、今回の上演部分へ至るまでのあらすじを、簡単にまとめておく。 大明国の思宗烈皇帝は、ウェイウェイしながら暮らしている。そこへライバル国である韃靼の将軍・梅勒王が使者としてやっ…

文楽 3月地方公演『二人三番叟』『摂州合邦辻』『本朝廿四孝』『釣女』高崎芸術劇場

3月の地方公演は、行こうと思っていた府中・藤沢が中止になったため、久々に出張して高崎公演へ行った。 ■ 高崎芸術劇場は、高崎駅から徒歩6分ほどにある大型劇場施設。駅から屋根つきの空中通路で直結しており、アクセスはとても快適。 2000人収容の大型コ…

文楽『端模様夢路門松』『木下蔭狭間合戦』竹中砦の段 ディスカッション(木ノ下裕一・桐竹勘十郎・鶴澤藤蔵) ロームシアター京都

『端模様夢路門松』、『木下蔭狭間合戦』上演ののち、第三部は「ディスカッション」として、木ノ下裕一さん・勘十郎さん・藤蔵さんのトークショー。 もくじ はじめに 『木下蔭狭間合戦』上演史 ディスカッション(トークショー) ┃ 『木下蔭狭間合戦』の復活…

文楽『木下蔭狭間合戦』竹中砦の段 ロームシアター京都

『端模様夢路門松』の後、20分休憩を挟んで、メイン演目『木下蔭狭間合戦(このしたかげはざまがっせん)』。 読みは、慣例では「このしたかげ・はざまがっせん」と切るようです。略称は「木下蔭」のようですね。 ■第二部『木下蔭狭間合戦』竹中砦(たけなか…