義太夫正本翻刻
近松半二ほかの浄瑠璃『桜御殿五十三駅』五段目。 室町の御殿を抜け出た将軍の弟・左馬之助、その許嫁・薫姫、左馬之助と相思相愛の傾城・雪の戸を追う詮議の手は、雪の戸の在所付近にまで回っていた。雪の戸の父・渦兵衛とその一家は、百姓をして暮らしてい…
近松半二ほか作の浄瑠璃『桜御殿五十三駅』の四段目。 朝廷から預かっていた宝物「日の御旗」が盗まれ紛失したことを知った左馬之助は狂気に陥り、室町の御殿を出奔する。それを追う恋人・傾城雪の戸、許嫁・薫姫。娘たちは恋を争い、左馬之助は夢うつつの道…
近松半二ほか作の浄瑠璃『桜御殿五十三駅』の三段目。 足利義政の館には、将軍家の最高位の家臣である3人の管領がいる。ワルじじいの山名宗全、くそまじめな斯波多門頭義廉、まともな上杉忠則である。この3人が義政の弟・左馬之助の放埒、その挙句になかなか…
近松半二ほか作の浄瑠璃『桜御殿五十三駅』二段目の翻刻。たくさんの登場人物が次々に登場し、物語が本格的に幕を開ける。 舞台は、京都・田中村(現在の出町柳付近)の道端に開かれた茶店へ移る。 鷹狩りの仕事が終わった鷹匠・太郎治は、休暇をもらって久…
『桜御殿五十三駅(さくらごてんごじゅうさんつぎ)』は、近松半二・栄善平・寺田兵蔵・松田ばく・三好松洛による時代浄瑠璃。近松半二の作品としては、『妹背山婦女庭訓』の次に執筆・上演された円熟期のものである。室町時代を舞台に、愚かな将軍兄弟とそ…
近松半二ほか作『性根競姉川頭巾』翻刻の最終回。いよいよ蔵屋敷の武士・浜地源左衛門とお周の血の婚礼が迫る中、侠客・黒船の忠右衛門はどう出るのか。浜地源左衛門の真意とは。というお話。 本作は文楽現行にはあまりない、テンプレキャラ重視のプログラム…
近松半二ほか作『性根競姉川頭巾』の翻刻、3回目。 舞台は堂島の忠右衛門宅。行方不明になった姉娘・およねを探しに近所の人たちが手を尽くしてくれているが、見つからない。忠右衛門の女房・お政は幼い息子忠吉の世話をしながらソワソワしている。すると近…
近松半二ほか作の浄瑠璃『性根競姉川頭巾(しょうねくらべあねがわずきん)』 の翻刻第二弾です。 侠客・黒船の忠右衛門は、取引先のお屋敷から預かっているお嬢様・お周を連れて新町の茶屋へ。その茶屋には馬渕和平太と獄門の庄兵衛も遊びに来ていて、傾城…
『性根競姉川頭巾(しょうねくらべあねがわずきん)』は、近松半二・栄善平・八民平七の合作で、安永3年(1774)4月に竹本座で初演された浄瑠璃。現行上演がなく、翻刻も出ていないため、インターネット上に公開されている正本を読んだ。その際の翻字書き起…
今年1月から続けてきた『女舞剣紅楓』翻刻も、今回で最終回です。 底本は早稲田大学演劇博物館所蔵本、東京大学教養学部国文・漢文学部会黒木文庫所蔵を合わせて参照している。→早稲田大学演劇博物館『女舞剣紅楓』ほか複数所蔵→東京大学教養学部国文・漢文…
『女舞剣紅楓』の翻刻も七巻目。 行方不明になった半七と三勝を、それぞれの親たちが探し回るという内容。『艶容女舞衣』の現行上演で稀に出る「道行霜夜の千日」(増補。実質新作)と近い内容となっていて、先行作である紀海音『笠屋三勝廿五年忌』に内容の…
『艶容女舞衣』の先行作である浄瑠璃、 『女舞剣紅楓』の翻字六巻目。 大和の酒屋・茜屋半兵衛は、息子・半七の放埓ゆえに病に陥った嫁・お園の養生のため、大坂へ転居した。半兵衛とその女房はお園を必死に看病していたが、お園の容体は思わしくない。とあ…
未翻刻浄瑠璃 『女舞剣紅楓』の翻字五巻目。 長町にある三勝の家。三勝は父・美濃屋平左衛門、娘・お通と貧しい暮らしを営んでいたが、どうも父とは訳あり風。実は平左衛門は小勝・三勝姉妹の実の父の弟で、死んだ兄に代わって姉妹を養育しつつ、家に残った…
未翻刻浄瑠璃 『女舞剣紅楓』の翻字四巻目。放蕩が過ぎた宇治屋の若旦那・市蔵は、隠居した父親・教貞によって蔵へ閉じ込められてしまう。市蔵を心配する手代・半七は毎日蔵の外からに話しかけていたが、市蔵は半七がいないと泣いてしまうまでに。そんな宇治…
本作に登場する「宇治屋」およびその若旦那・市蔵の放蕩は、辰巳屋事件をモデルにしている。 辰巳屋事件とは、元文4〜5年(1739〜40)、大坂の富商・辰巳屋で起こった家督相続騒動が発展し奉行所汚職にまで及んだ事件で、その概要は以下のようなものだったと…
未翻刻浄瑠璃 『女舞剣紅楓』の翻字二巻目。 『艶容女舞衣』において半七は親に勘当されたお坊ちゃんという設定だが、その先行作である『女舞剣紅楓』では設定がやや異なる。 半七が大和五條の茜屋の跡取り息子であることは同じ。しかしポジションや性格に違…
ここしばらく、くずし字を勉強している。 そのくずし字の学習の一環として、翻刻が出ていない浄瑠璃を、一般公開されている義太夫正本をもとに翻字してみようと考えている。 まずは、自分がくずし字を学ぶきっかけになった『女舞剣紅楓(おんなまいつるぎの…