文楽[東京]公演
2月は近松特集として、3部ともに近松作品を上演。いつもは部ごとに記事を書いているが、今月はすべての部に対する感想が基本的に同じなので、ひとつの記事に集約する。 ■ 改めて、近松ものの上演では、文章自体以上の何かを具現化する表現力が出演者に必要だ…
■ 今年の東京鑑賞教室は『絵本太功記』夕顔棚の段、尼ヶ崎の段。 構成は、20分程度の解説のあとに、本編上演という形式。舞踊演目はなし。 解説パートで例年と違ったのは、話の順序。「文楽とはなにか」の解説のあと、先に演目紹介を行ってから、パートごと…
今年の12月本公演は『本朝廿四孝』の二段目と四段目。例年と同じく、幹部抜きの配役だった。 ↓ 全段のあらすじはこちらから ■ 二段目、信玄館の段、村上義清上使の段、勝頼切腹の段、信玄物語の段。 この内容、大序と「諏訪明神百度石の段」(二段目の最初)…
浅草にあるのは松屋だろ!!!!!!!!!!! ■ 寿柱立万歳。 詞章がアレンジ版で、国立劇場改修を祝う内容になっていた。素で聞きたいのだが、一体、祝っているのは誰で、誰に向かってそのアピールしているのだろう? まず、国立劇場の建て替えって、こっ…
第一部の客席は、なんか、こう、「本気」の人オンリーな感じになっていた。 ■ 今回の第一〜二部の『碁太平記白石噺』は、国立劇場創立時にあった原則通し狂言のコンセプトを復活させたもの。ただ、三部制のために一番有名な「新吉原揚屋の段」と復活・稀曲部…
公演開始当初、朱雀堤から貞任物語まで2時間31分ぶち抜きのタイムテーブルになっており、客の膀胱を破裂させる気かと思った。*1 ■ 第三部『奥州安達原』。 先にトータルでの感想を書くと、「現状の文楽で素直にこの演目をやると、こうなるのか〜」と思った。…
若鶏とひよこの群れがアメリカバイソンくらいの勢いでこっちに向かって激走してくるッッッ!!!!! 舞台と客の真剣勝負、文楽若手会。今年は東西とも無事に開催できて、良かった。 ■ 絵本太功記、夕顔棚の段、尼ヶ崎の段。 非常に見応えのある尼ヶ崎だった…
文楽は原文の文章にもとづいて表現しなければいけないとか、「情」が大切であるとか言われる。それ自体はその通りだと思うが、定義に恣意的な部分が大きく、実際には、個々のやり方や考え方の一つ、とも思える。過去の芸談にそういう言が多いから、なんとな…
前回出たのが14年前の2008年4月大阪公演。その前が34年前の1987年9月東京公演。滅多に出ない演目ということで注目が集まる第二部『競伊勢物語』。話知らんで見る方がおもしろいやろ!というとこで、何の予習もなく突撃した。 ■ 第三部、競伊勢物語、玉水渕の…
清十郎ブログが久しぶりに更新されていた。恐るべき連投で。書いていたけど、投稿できていなかったのことだった。状況はよくわからなさすぎだが、良かった良かった。 ■ 第三部、桂川連理柵、石部宿屋の段。 あらすじはこちらから。 長右衛門が、部屋に逃げ込…
奥庭にいるカエルの鳴き声を聞いて突然思い出したが、初春公演の「尼が崎」の光秀の出で、「めっちゃカエルおる!!」って言っているお客さんがいた。 いや勘十郎を見ろよと思ったが、確かに、カエルめっちゃおった。なんなら、いままでにないくらい、相当め…
開演前、 「べんけい・じょし……………………。弁慶・女子!!?!」 とつぶやいているお客さんがいらっしゃった。いる……。こういう、ツメ人形……。と思った。 ■ 二人禿。 いろいろ仕方ない部分もあるけど、床も人形も、覇気がない。やっぱりこの曲、人形にものすご…
2月文楽公演、前半に大幅な休演があったが、ひとまず、公演再開できてよかった。 (雨に打たれてしなびたプログラム) ■ 平家女護島、鬼界が島の段。 全段のあらすじまとめは、記事の最後につけています。 おまけ 『平家女護島』全段のあらすじ 淡々とした雰…
野崎村、あまりに上演が多すぎて、話を楽しむとかより、出演者の技巧と大根の大きさを見る演目になってきた。 ■ 文楽鑑賞教室のため、配役違いで2グループ公演。今年は幹部一切出演なし、景事抜きで解説から始まるプログラム。 Aプロ。 解説=太夫・三味線(…
鑑賞教室の客が初心者なら、こっちは舞台の上にいる人らのほうが初心者だッッッ!! 12月恒例、中堅公演に行ってきました。 ■ 例年、12月東京本公演は、幹部や高齢技芸員が抜け、中堅以下のみで行う公演になっている。今年は『仮名手本忠臣蔵』の四段目まで…
■ 第二部、卅三間堂棟由来、平太郎住家より木遣音頭の段。 今回は、平太郎住家に盗賊・和田四郎が押しかけてきて母を殺害するくだりを含むノーカット上演。通常とは異なり、舞台上手に池とつるべが設置される。 和生さんは第一部の翁のほか、お柳も勤めてい…
■ 第一部、寿式三番叟。 三番叟役を勤めた人形遣いさんが、客席に向かって本当に一生懸命に鈴を振っている姿に心を打たれた。その人は今までに、私が見飽きたどうこうとか言い出す以上に、なんどもなんども三番叟を踊っていると思う。しかし、この人は、『寿…
9月は全日程公演できて、本当に良かったです。 ■ 第三部は『伊賀越道中双六』。今回公演の一番の目玉、「沼津」から。 沼津里(小揚)。 東海道、沼津の里のほど近く。旅姿の商人〈呉服屋十兵衛=吉田玉男〉はふと何かを思いつき、荷物持安兵衛〈吉田和馬〉に…
東京の若手会は2日間両日開催できて、本当に良かった。 ■ 『菅原伝授手習鑑』茶筅酒の段、喧嘩の段、訴訟の段、桜丸切腹の段。衝撃的な背伸び配役、そもそも佐太村を若手だけでやるという企画そのものがすごい。なんかもう、全体的に、「頑張ってるッッッッ…
5月公演は第一部しか観られず。最近のよかったこと、横浜のへびが出てきたことだけです。 ■ 第一部、心中宵庚申。上田村は人形黒衣、以降は出遣い。 上田村のお千代パパ、平右衛門が玉志サンだった。玉志ジジイ……って感じのすごく真面目そうなジジイだった。…
今回は、人形遣いのかなりお若い方まで、全員に役がついていたんじゃないかなと思う。よかったよかった。お若い方がチョコチョコ……と出てこられるのを見ると、帯屋の儀兵衛のように「ヲ丶……居よる居よる……w」と嬉しくなってしまいます。 ■ 第一部ひとつめ、…
■ 第二部のひとつめ、曲輪文章。 後半に観に行ったときの、伊左衛門〈吉田玉男〉の出が非常に印象的だった。伊左衛門は零落の美青年として、折編笠をかぶり、腕組みをして、下手小幕からツギ足で入ってくる。怜悧さよって、猥雑だった舞台の雰囲気がぱっと変…
2月は全日程公演できて、本当に良かった。 ■ 第三部『冥途の飛脚』、淡路町の段。 勘十郎さんの忠兵衛は真性のクズというより、小心者のビビリゆえに的外れなところで大胆になり、重大犯罪をやらかしてしまうという印象。地銀の地味な行員がやらかした巨額横…
毎年12月恒例、幹部抜き、中堅中心で行う本公演。今回は2部構成。 ■ 第二部、桂川連理柵、六角堂の段。 この段、わりとどうでもよさげな内容ながら、そのぶん、ちょっとしたことがキャラクターの印象付けを大きく左右し、このあとの展開に深みを与えるのだな…
東京の鑑賞教室って、通常の学生向け鑑賞教室公演も、別立てしている「社会人のための文楽鑑賞教室公演」も、内容同じだよね。開演時間だけで「社会人のための」と名付けるのは、ちょっと看板倒れ。せめて社会人のほうは、国立能楽堂の普及公演のような大人…
第四部は、「文楽入門~Discover BUNRAKU~」と題し、初心者向け公演として設定されていた。 パンフレットが配布され、イヤホンガイドを無料貸与する体制は、例年の12月鑑賞教室公演と同様のシステム。ただ、19:45開演といういままでにないレイトショーで、…
「尼ヶ崎」の上演があると気になるのが、さつきハウスの軒先に下がっている夕顔の実。今回は、超ビビッドなド緑で、なかなかのビッグサイズでした。 第三部、絵本太功記。英語でいうとA Picture Book of the Taiko Hideyoshi。 人形、光秀役に玉志さんが配役…
今月は、ロビーに、伝統芸能保存のため(多分)の募金箱が設置されていた。大きな透明アクリル製の、縦に長い直方体のボックスで、底に、マスクをしたくろごちゃんのぬいぐるみが置かれていた。国立劇場は、お地蔵さんやらの前にちょこっとお賽銭の小銭が置…
とにかく、本公演が再開できて、本当によかった。本当に嬉しい。 今回は、感染予防対策として客席定員を半減。前後左右1席ずつ空ける千鳥配置で販売された。舞台に近い最前列も販売停止。加えて、文楽は客席右前方に出語り床が張り出しているため、床付近の…
国立劇場の前提に植えられている「菅丞相お手植えの梅」*1にたくさん花がついていた。 一方、私の愛樹・鉢植えのレモンは最近やたら葉っぱが散りまくっている。にもかかわらず、信じられないほど巨大な実がなっていて、怖くて摘めない(去年のゴールデンウィ…