2023-01-01から1年間の記事一覧
今年の12月公演は北千住の劇場「シアター1010」(足立区芸術文化劇場)で開催。会場は、駅すぐ横の商業ビル(マルイ)の最上階に入っている。ビルの11階ゆえにエレベーター待ち等にかなり時間がかかるため、駅直結といっても結構早めに行かなくてはならない…
ごくたまに、文楽鑑賞のための豆知識メモ「文楽あいうえお」をtwitterに投稿しています。twitterだとイラストで説明するコンテンツには便利なのですが、文章での説明が長いものは書けないので、テキスト主体の拡大版を、ブログに載せていこうと思います。 は…
第三部、冥途の飛脚。 この物語に登場する「丹波屋八右衛門」とは、どのような人物なのだろうか? 現在では、八右衛門が茶屋の衆の前で語る鬢水入れの暴露は、「友情による忠兵衛を廓に出入りさせないようにするための行為」であり、八右衛門は「いい人」と…
第二部、奥州安達原、三段目。 2022年9月東京公演で出たばかりの演目ながら、東京よりも、かなり良かった。明確によかったのは、人形の袖萩〈吉田和生〉、傔杖〈吉田玉也〉。役の性質を踏まえた芝居で、物語の世界観の強度が大幅に上昇していた。この二人の…
今月のプログラムの技芸員インタビューは㊗️人間国宝認定ということか、玉男さんだった。いわゆる「ろくろポーズ」を遊ばされていたが、手のひらが下向きすぎて、15kgクラスの超絶デカネコを膝の上に乗せて撫で回しながらインタビューに答えているようだった…
今年の地方公演も景事がなくて嬉しいッ。(素直1) ■ 昨年は平塚に吹き飛ばされた神奈川公演、今年はもとの神奈川県立青少年センター(桜木町)へ戻ってきた。昨年の平塚振替は会場に天井の耐震工事が入ったためだが、前がどんなのだったか忘れたので、変化…
「文楽祭」翌日、国立能楽堂で行われた若手有志公演「文楽夢想 継承伝」へ行った。 ■ 「文楽夢想」は、若手有志による自主企画。過去には大阪で2公演行われており、今回は初の東京公演。今回は会場が国立能楽堂ということで、『二人三番叟』、『義経千本桜』…
文楽座のファン感謝祭イベント、「文楽祭」へ行ってきました。 ■ 国立劇場や外部団体の主催ではなく、文楽座(技芸員さんの団体)自体が主催する手作りイベント。そのため、入場者へのパンフレット渡しや物販は技芸員さん自身がロビーへ出て対応。開演前や休…
第三部、曾根崎心中。 これが「御観劇料8,000円」なのは、いろいろな意味で、すごいッ。 ■ ムラのない緊密性、かしらによる心理描写の表現力を感じる舞台だった。 私の考える「上手い人形遣い」とは、かしらによる表現に秀でた人だ。かしらだけで彼や彼女の…
例年9月東京公演は第一か第二土曜日が初日のところ、「さよなら公演」のためか、繰り上げて8月31日初日というイレギュラーなスケジュール。会期が通常より長めの設定となっている。 ■ 第一部〜第二部は、『菅原伝授手習』。5月公演の続きで、三段目から五段…
文楽屈指の名作、『菅原伝授手習鑑』の全段あらすじまとめです。 INDEX ┃ 概要 ┃ 人物相関図 ┃ 登場人物 ┃あらすじ 初段 大内の段 〜京都 禁中〜 加茂堤の段 〜京都 加茂堤〜 筆法伝授の段 〜京都 菅丞相の館〜 築地の段 二段目 道行詞の甘替 〜京都・大坂の…
以前、「雀鬼と雀鬼流と雀鬼漫画の歴史 桜井章一年表」と題し、1980年に桜井章一が『近代麻雀』に登場して以降のメディア露出/メディア化を追った記事を書いた。 この記事を書く前に、「桜井さんは、『近代麻雀』登場以前、70年代前半にも、飯干晃一の記事…
玉男さんが人間国宝に認定されることになった。本当によかった。この上なく嬉しい。 記者会見で話されていたのが、「とにかく嬉しい」「すぐに勘十郎さんに連絡したら、『おめでとう、おめでとう……』と3回言ってくれた」*1、「(和生さん、勘十郎さんと)三…
第二部、妹背山婦女庭訓、四段目。 4月に上演された初段〜三段目の続き。通常は出ない「井戸替」、「鱶七使者(上使)」の口、「入鹿誅伐」を上演。 ■ 井戸替の段〜杉酒屋の段。 「井戸替」は2016年の若手会以来の上演。七夕に行われる井戸さらえの行事、「…
コロナ第9波の中での夏休み公演。8月頭の休演日に、急遽、以降4日間の公演中止が発表された。会期前半に休演者が続出していたから、許容人数を超えてしまったのか。当初発表された中止期間のみで公演再開ができたから良かったが、おじいちゃんが多い業種だし…
文楽劇場の前で、集合してくる学生さんたちを待ち構えていた先生らしき小柄な女性が、高く掲げた扇子を振って、学生さんたちを招き寄せていた。うーん、熊谷より貫禄があるッ! ほんとに若者寄ってきてるし!! と思った。 ■ 今年の鑑賞教室は、『仮名手本忠…
簑助さんが引退してから、2度目の春が過ぎていった。 簑助さんが引退した2021年4月大阪公演『国性爺合戦』「楼門の段」の劇評は賛美の言葉で溢れ、過去の舞台もまた絶賛で埋め尽くされている。それ以前のことだが、『妹背山婦女庭訓』に簑助さんが雛鳥役で出…
紀尾井ホール主催公演、吉田和生・桐竹勘十郎・吉田玉男の三人を主役に据えた三年連続企画。2年目の今年は、勘十郎さんの回です。 公演タイトルが「三夜」から「三人会」に変わったのは、開演時間が夜じゃなくなったからだそうです。(突然のおおざっぱ) ■ …
『菅原伝授手習鑑』記事の続き、第二部篇。 再び、登場人物相関図を貼っておきます。 贋迎いを時平の手下として描いていたけど、あいつたぶん、土師兵衛が雇ったバイトだな……。 ■ 菅原伝授手習鑑、二段目 道行詞の甘替。 あらすじ 斎世親王・苅屋姫と巡り合…
今回、初めて『菅原伝授手習鑑』の初段から二段目までを観た。 これまでに観たことのある三段目、四段目とあわせて考えるに、この物語は、全通しで成立するバランスで作られているのだなと感じた。なぜ桜丸は切腹しなければいけなかったのか、どうして源蔵は…
普段は「住吉鳥居前の段」「釣船三婦内の段」「長町裏の段」の3つの場面が出る場合が多いところ、今回は住吉鳥居の後に「内本町道具屋の段」をつけて上演。 ■ 和生!!! 和生やないか!!!!!!!!!! 和生さん義平次、良すぎた。第三部で一番良い。今…
『妹背山婦女庭訓』の2公演分割での通し狂言企画、4月は三段目まで。 今月の上演形態では、朝〜夕方に上演されている近松半二ほか作『妹背山婦女庭訓』(初演1771年1月)と、夜に上演されている『曾根崎心中』とでは、戯曲としての性質がまったく異なること…
いつもは夏休みの小学生の「朝顔の観察日記」みたいな、「きょうは赤むらさきいろの花がさいて、10時ごろにしぼみました。明日もさいてほしいです」的な感想を垂れ流している私ですが、今回は、ちょっと切り口を変えて書いてみようと思います。 今回の記事は…
実に4年ぶりとなった府中公演。今年は無事開催されて、本当に良かった。 ■ 府中会場の「府中の森芸術劇場 ふるさとホール」*1は何度も文楽を見たことがある会場ながら、近年、様々なホールを体験したあとで久しぶりに来てみると、気づくこともあった。 この…
2月は近松特集として、3部ともに近松作品を上演。いつもは部ごとに記事を書いているが、今月はすべての部に対する感想が基本的に同じなので、ひとつの記事に集約する。 ■ 改めて、近松ものの上演では、文章自体以上の何かを具現化する表現力が出演者に必要だ…
文楽LINEスタンプの第2弾を作りました。今回は、光秀、朝顔、本蔵、八重垣姫、岩永左衛門、いぬ(冥途の飛脚の)などがいます。24個入り、120円です。よかったら販売ページを覗いてみてください。 販売ページ https://line.me/S/sticker/22078427 スタンプ名…
第二部は吉野。吉野・金峯山寺近辺は、文楽聖地探訪のなかでも行ってよかった場所のひとつです。 ↑ 餅花は発泡スチロールでできていると思い込んでいたが、実はもなかの皮のようなお菓子素材で出来ていると知り、よく観察してみたら、確かに金魚すくいのカッ…
初春公演奈良紀行、第一部は東大寺。昨年、東大寺へ行ったとき、「令和五年十月厳修 開山良弁僧正 千二百五十年 御遠忌法要」の看板が立っているのを見てしまった。「こ……、これは二月堂来るで……」と思っていたら、本当に上演された。 ■ 第一部、良弁杉由来…
今年の初春公演は、舞台が東大寺、吉野、新口と、奈良スペシャル。新口村(現在は新口町)は観光スポットではないけれど、免許センターがあるので、奈良の人はみんな知っているそうです(以前、演目解説でヤスさん?が言っていた)。 ■ 第三部、傾城恋飛脚、…