TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

人形浄瑠璃 文楽

文楽《再》入門 文楽の「人形遣い」を知る本[吉田玉男・森真弓=著『吉田玉男 文楽藝話』]

文楽の初心者向け本はいっぱいあるけれど、中級者にステップアップするための本や中級者向けの本はあまりない。そんな私の不満に自ら答える「文楽中級者向け」ブックガイド第2弾。今回は、ついつい流し見してしまう人形の演技をじっくり考えるきっかけを作っ…

文楽 2月東京公演『菅原伝授手習鑑』吉田社頭車曳の段、佐太村茶筅酒の段、喧嘩の段、訴訟の段、桜丸切腹の段 国立劇場小劇場

国立劇場の前提に植えられている「菅丞相お手植えの梅」*1にたくさん花がついていた。 一方、私の愛樹・鉢植えのレモンは最近やたら葉っぱが散りまくっている。にもかかわらず、信じられないほど巨大な実がなっていて、怖くて摘めない(去年のゴールデンウィ…

文楽 『木下蔭狭間合戦』全段のあらすじと整理

2020年2月29日、ロームシアター京都で上演予定だった『木下蔭狭間合戦(このしたかげはざまがっせん)』の全段あらすじや題材のまとめ。 該当公演(シリーズ 舞台芸術としての伝統芸能 vol.3 人形浄瑠璃 文楽)は長らく上演の途絶えた稀曲の復活上演として期…

文楽 2月東京公演『新版歌祭文』野崎村の段『傾城反魂香』土佐将監閑居の段 国立劇場小劇場

第二部開演前、ロビーではなぜかSHIKORO・サイン会がのびのびと開催されていた。 錣さんはサイン会を開こうとしてロビーにいるわけではなく、ご自分のお客さんの受付のためにいるのだと思うが、文楽ののんびりさと錣さんのご人徳が複合した結果、いつのまに…

文楽 2月東京公演『傾城恋飛脚』新口村の段『鳴響安宅新関』勧進帳の段 国立劇場小劇場

3月の地方公演やイベントが多数中止になっている。2月公演は全日程公演できて本当によかった。 ■ 第三部『傾城恋飛脚』新口村の段。 新口村やりすぎと言いたいところながら、実際に観るとやっぱり面白い。 この投稿をInstagramで見る 国立劇場(東京・半蔵門…

文楽 1月大阪初春公演『加賀見山旧錦絵』『明烏六花曙』国立文楽劇場

■ 『加賀見山旧錦絵』草履打の段、廊下の段、長局の段、奥庭の段。 加賀見山は正直話がおもしろくない(突然の直球)。「女忠臣蔵」と言われても『仮名手本忠臣蔵』のような話の深みや文章の美しさがあるわけではなく、全体的に予定調和で単調。とは言え、舞…

文楽 1月大阪初春公演『七福神宝の入舩』『傾城反魂香』『曲輪文章』国立文楽劇場

正月から情報量が多い! 初春公演に行ってきた。 ■ 『七福神宝の入舩』。 宝船に乗った七福神がそれぞれ隠し芸を披露する景事。開演時は舞台に紅白幕が張ってある状態で、それが振り落さされると、七福神の乗った宝船がセリで上がってくる。 最初の感想「人…

文楽 12月東京鑑賞教室公演『伊達娘恋緋鹿子』『平家女護島』国立劇場小劇場

俊寛が最後に駆け上がる岩にはかつてはフジツボがいっぱい張りついていたそうですが、今月は全然ついてなかった……。鬼界が島のフジツボ、絶滅したみたい……。 ■ 『伊達娘恋緋鹿子』火の見櫓の段。 Aプロお七=桐竹紋臣 Bプロお七=桐竹紋秀 昨年12月の本公演同…

文楽 竹本津駒太夫・関西ラジオワイドゲスト出演 六代目竹本錣太夫襲名にあたって

津駒さんが12/16にNHKラジオ第1・関西ラジオワイドにゲスト出演されたときのお話メモです。 内容は、2020年初春公演で六代目竹本錣太夫を襲名するにあたり、その気持ちを語るというものでした。津駒さんらしい優しく穏やかな口調、飾らないお話ぶりと正直ぶ…

文楽 12月東京公演『一谷嫰軍記』国立劇場

今年の12月中堅公演は『一谷嫰軍記』。陣門の段・須磨浦の段・組討の段・熊谷桜の段・熊谷陣屋の段と、本筋がわかる限界まで切り詰めた特急プログラムだった。 ■ 陣門の段・須磨浦の段。 見所は、平山武者所〈吉田玉翔〉。立派な荒武者振り。馬に乗った人形…

酒屋万来文楽『傾城阿波の鳴門』十郎兵衛住家の段 西宮白鷹禄水苑

恒例、西宮の酒造会社・白鷹主催の酒屋万来文楽。 今年の公演は11月末日のたいへん寒い日に行われた。開演前、会場の中庭にいたら、楽屋口から出てきた着付姿の津駒さんが「ヲヽこの冷えることわいの」とつぶやいて腕を袖に入れてちぢこまり、人形のようにチ…

文楽 11月大阪公演『仮名手本忠臣蔵』八段目〜十一段目 国立文楽劇場

年間通しての『仮名手本忠臣蔵』も最終回、八段目〜十一段目。なんだかえらいツウ好みな段だけになってしまっている気がするが、ついていけるだろうか……。 ■ 八段目「道行旅路の嫁入」。 びっくりしたのは、戸無瀬〈吉田和生〉の覇気。小浪〈吉田一輔〉はぼ…

文楽 11月大阪公演『心中天網島』国立文楽劇場

11月大阪公演第一部は9月東京公演に続き『心中天網島』、一部配役を変更しての上演。 ■ 北新地河庄の段。 河庄の中は東京から配役変更で織さん・清介さん。東京とは少し違う詞章でやっていた。具体的には、小春が太兵衛を罵って呼ぶ名前が毛虫客→李蹈天と、…

文楽《再》入門 文楽の「現在」を知る本[『國文学 解釈と教材の研究』2008年10月臨時増刊「特集 文楽−人形浄瑠璃への招待−」学燈社]

かねがね、文楽の中級者向けの本を探していた。 というより、中級になるための本、といったほうが正しいか。 文楽は興行規模や観客人口のわりに初心者向けの本はそれなりにあると思う。しかし、中級者向け書籍となると途端に心当たりがなくなる。隣の芝はな…

文楽 10月地方公演『生写朝顔話』『ひらかな盛衰記』『日高川入相花王』神奈川県立青少年センター

台風19号通過直後の開催決行だったが、私鉄・地下鉄等が当日早々から通常運行していたのでスムーズに横浜までたどり着き、最初から観られた。 今回上演の大井川の段は、大井川が増水して朝顔が川を渡れなくなるという場面。昔の水害は本当に恐ろしいものだっ…

清姫は本当に大蛇になったのか −文楽現行「渡し場の段」と『日高川入相花王』『道成寺現在蛇鱗』−

現在、文楽公演では「渡し場の段」の外題名は『日高川入相花王(ひだかがわいりあいざくら)』と表記されている。しかし、上演されている「渡し場の段」は、宝暦9年(1759)2月初演の人形浄瑠璃 『日高川入相花王』の該当箇所(「道行思ひの吹雪」の末尾)と…

文楽 『艶容女舞衣』全段のあらすじと整理

『艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ)』は、文楽の中でも、もっとも有名な演目のひとつである。 ……………………ということになっているが、そんなこと言われても全体ではいったいどういう話なのか知らんがな、と思っていた。 お園さんはなぜあんな不条理な状…

文楽 9月東京公演『心中天網島』国立劇場小劇場

開演前に、「いまからはじまるの、クズの話☺️?」とピュアな口調で言ってる人がいた。第二部の酒屋の前にも同じこと言ってる人がいた。文楽のお客さんはみんなピュア、と思った。 なお、私がいままでに見た一番ピュアなお客さんは、開演前に文楽せんべいを買…

文楽 9月東京公演『嬢景清八嶋日記』『艶容女舞衣』国立劇場小劇場

先月は普通の公演を観なかったため、文楽、なんだか久しぶりに感じる。 ■ 嬢景清八嶋日記、花菱屋の段。 この投稿をInstagramで見る 国立劇場(東京・半蔵門)さん(@nationaltheatre_tokyo)がシェアした投稿 - 2019年 9月月13日午前2時38分PDT あらすじ 駿河…

文楽 上方文化講座2019(9)文楽の至芸−太夫・三味線・人形、三業一体の舞台(竹本津駒太夫・鶴澤清介・桐竹勘十郎) 大阪市立大学

上方文化講座2019、最後の授業は受講生からの質問に技芸員さんが答える質疑応答。 受講生に配布された質問票を2日目終了後に回収、それを久堀先生が集計して、3日目に久堀先生から代理質問、指名された技芸員さんが回答という形式。昨年は細かい質問も多かっ…

文楽 上方文化講座2019(8)桐竹勘十郎師に聞く−実演をまじえて(桐竹勘十郎) 大阪市立大学

上方文化講座3日目3限目は、勘十郎さんのソロトーク授業。人形一般の取り扱い・遣い方のお話がメインです。 桐竹勘十郎師に聞く−実演をまじえて(桐竹勘十郎)INDEX ┃ 勘十郎vs子猫 ┃ 江戸時代の芝居小屋と『渦 妹背山女庭訓 魂結び』 ┃ 人形は胴串が命 ┃ 江…

文楽 上方文化講座2019(6)語りとドラマ 人形浄瑠璃と映画が出会う場所 大阪市立大学

上方文化講座最終日、3日目1限目は「語りとドラマ 人形浄瑠璃と映画が出会う場所」。ご担当は映像文化論がご専門の海老根剛先生。 要約すると、人形浄瑠璃における「語り」の機能を映画では何がつとめているのか、また、具体的にはどういう例があるのかを解…

文楽 上方文化講座2019(5)『心中天網島』−太夫・三味線・人形の芸(竹本津駒太夫・鶴澤清介・桐竹勘十郎) 大阪市立大学

2日目4限目は、引き続きご登壇の津駒さん・清介さんに、勘十郎さんが加わってのお話。治兵衛・小春・孫右衛門の人形をお持ちいただき、それぞれの着付の解説もしていただいた。 『心中天網島』−太夫・三味線・人形の芸(竹本津駒太夫・鶴澤清介・桐竹勘十郎…

文楽 上方文化講座2019(4)『心中天網島』−太夫・三味線の芸(竹本津駒太夫・鶴澤清介) 大阪市立大学

2日目3限目はみなさまお待ちかね、技芸員さんのお話授業。まずは津駒さん、清介さんのご登壇で、『心中天網島』についてのご自身の出演、あるいは名演の思い出などの話題。授業末尾に素浄瑠璃での「大和屋」実演がついていたため、「大和屋」の話が厚めにな…

文楽 上方文化講座2019(3)『心中天網島』講読 大阪市立大学

1日目4限目、2日目1限目は引き続き久堀裕朗先生による「『心中天網島』講読」。実際の詞章を読みながら、浄瑠璃の内容を確認した。 実際の講義では、本文を読み上げながら語句の解説等をして頂いたが、難解な言葉、掛詞や和歌の引用等の注釈は古典文学全集に…

文楽 上方文化講座2019(2)『心中天網島』解説−原作『心中天の網島』・改作『心中紙屋治兵衛』・その他 大阪市立大学

上方文化講座、1日目2限目は、引き続き久堀裕朗先生(日本近世文学)による「『心中天網島』解説−原作『心中天の網島』・改作『心中紙屋治兵衛』・その他」。ここからは浄瑠璃自体を題材に、『心中天網島』にまつわる上演の実態を探っていく。 『心中天網島…

文楽 上方文化講座2019(1)文楽案内–現在の文楽と近松[2] 大阪市立大学

1日目1限目の続き。太夫の芸談から読み取る近松作品の音曲上の特徴、現行での原作・改作混交上演の状況、松竹時代の改変復活作が問題視される理由について。 文楽案内–現在の文楽と近松[2] INDEX ┃ 近松物の語りの難しさ 1. 竹本摂津大掾*1 2. 八世竹本綱…

文楽 上方文化講座2019(1)文楽案内–現在の文楽と近松[1] 大阪市立大学

毎夏大阪市立大学文学部が開催する、文楽と周辺文化を学ぶ公開授業「上方文化講座」に今年も参加することができた。 2019年度講座「心中天網島」:大阪市立大学文学部・文学研究科 今年の開催日程は8/20(火)〜22(木)で、テーマ演目は『心中天網島』。世…

テレビドラマ「あきのひとならば」(1959年)-文楽人形に恋した男

「あきのひとならば」というテレビドラマがあったそうだ。いまからおよそ60年前、1959年(昭和34年)、設立2年目の関西テレビが文部省芸術祭参加作品として制作した単発の1時間ドラマだ。脚本は、溝口健二作品をはじめ古典題材の映画脚本で知られる依田義賢…

文楽 7・8月大阪夏休み特別公演『仮名手本忠臣蔵』五段目〜七段目 国立文楽劇場

忠臣蔵夏の部。今回の第二部は早々にチケットが完売。最後列に補助席も設置され、舞台も客席もにぎやかな公演になっていた。 ■ 五段目 山崎街道出合いの段〜二つ玉の段、六段目 身売りの段〜早野勘平切腹の段。 今回の配役が発表されたとき、勘平が和生さん…