TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

2016-01-01から1年間の記事一覧

2016年ベストムービー5(旧作だけど)

今年はフィルムセンターの三隅研次特集で三隅作品をまとめて観られたのがよかった。それと新文芸坐の内田吐夢特集。いずれも強固な美を感じるすばらしい作品群だった。 ベストムービーは毎年10本選んできたが、今年は特に強く心に残った5本について詳しく書…

文楽 12月東京公演『仮名手本忠臣蔵』国立劇場 小劇場

忠臣蔵は深作欣二監督の『忠臣蔵外伝 四谷怪談』でしか観たことがない私だが(それは忠臣蔵じゃない)、折角なので一日で全通しで観た。 ◼︎ 全通しで観た一番の感想としては……、様々な登場人物が入れ替わり立ち替わり入り乱れるさまは、まるで壮大な絵巻物を…

文楽 トークイベント:竹本住大夫「文楽と国立劇場の50年」伝統芸能サロン

国立劇場主催の事前応募制イベント、2016年11月30日(水)開催。書いております通り、私、今年の2月に文楽観始めたので、住大夫さんの現役時代にカスリもしていないが、せっかくなので行ってみた。 形式は、司会の文楽劇場の企画の方(師匠のお気に入り?)…

文楽 トークイベント:吉田玉翔×ダニエル・カール「明日、誰かに話したくなる文楽〜文楽人形の魅力〜」あぜくらの夕べ

あぜくら会の会員限定イベント。2016年11月29日(火)開催。国立劇場主催なので国立劇場所蔵の映像、司会の職員の方(写真家)の撮った写真などを見ながらのトークで資料が充実。 お話は玉翔さんからだけでなく、人形実演のために同席されていた玉誉さん(錦…

文楽 トークイベント:桐竹勘十郎×ダニエル・カール「人形のまなざし」三井記念美術館特別展「日本の伝統芸能展」記念対談

三井記念美術館で開催されている国立劇場50周年記念企画展の付属イベント。2016年11月29日(火)開催。たぶん会場全員勘十郎様ファン。以下、話は順不同だが覚えている限りの勘十郎さんのお話のメモ。 まずなぜ対談相手がダニエル・カールさんなのかという疑…

田宮二郎『白い巨塔』映画版vsドラマ版 ―昭和BL邦画列伝 第3夜―

前回更新からだいぶあいてしまいましたが、昭和BL邦画列伝、今夜は昭和実写BL界の巨塔、田宮二郎版『白い巨塔』について。 『白い巨塔』は旧帝大・浪花大学医学部を舞台に、苦学生から成り上がり野望に燃える財前五郎助教授が海千山千の魑魅魍魎たちをかきわ…

文楽 10・11月大阪錦秋公演『増補忠臣蔵』『艶容女舞衣』『勧進帳』国立文楽劇場

第一部に続けて第二部を鑑賞。 錦秋公演の目玉として『勧進帳』を上演するということで、文楽劇場1Fの資料展示室でも勧進帳の企画が行われていた。モニタには歌舞伎の『勧進帳』と能の『安宅』、そして文楽の『勧進帳』の映像が流されていたのだが、第二部開…

文楽 10・11月大阪錦秋公演『花上野誉碑』『恋娘昔八丈』『日高川入相花王』国立文楽劇場

大阪は遠い。 大阪11時開演に間に合わせるためには家を6時半には出なくてはならない。6時半て、いまの時期日の出6時15分くらいなんでまだ薄暗いんですけど……。東京駅構内の喫茶店は新幹線改札内のスタバしかやってないしさあ……。これで文楽劇場に着けるのは1…

文楽 文楽劇場友の会バックステージツアー 国立文楽劇場

今回は特別編、文楽劇場友の会の会員限定イベント、文楽劇場バックステージツアーに行ってきたよレポート。 いまを去ること3ヶ月、あぜくら会に入会してからあぜくら会では文楽劇場の先行予約ができないことを知った私は文楽劇場友の会にも申し込んだ。文楽…

文楽 にっぽん文楽『壺坂観音霊験記』浅草寺境内

浅草寺境内に特設舞台を設営して屋外上演される特殊興行。前日に玉男さん&和生さんが仲見世をお練りしたのが新聞に出ていたが……、そういうことするときは先に告知してほしい。朝日新聞のサイトに上がっている動画に「和生さ〜ん❤️」ってやってる人の声が入っ…

文楽 10月地方公演『妹背山婦女庭訓』『近頃河原の達引』神奈川県立青少年センター

地方公演に行ってみた。 この公演、事前に公演情報を調べてチケットがぴあに出るのを待っていたが、実は主催者専売でとっくの昔に発売していたことが発覚、気づいた時点で即座に取ったが、昼の部はかなり席が埋まっていて、いままでで一番の後列……。実際行っ…

文楽 文楽って?! What's BUNRAKU?!『伊達娘恋緋鹿子』火の見櫓の段 狛江エコルマホール

地方巡業シーズンということで、ぴあに出ていた謎の単発公演を取ってみた。 見終わってから気づいたのだが(遅い)、これ、一般公演じゃなくて、レクチャーだった。解説70分上演15分くらい。それなら上演見た方が早いので、45分解説して45分普通に上演してく…

文楽 9月東京公演『一谷嫰軍記』国立劇場 小劇場

このためにあぜくら会に入ったのである。 あぜくら会は国立劇場系列館の会員組織で、年会費2,100円(+入会金2,100円)でチケットの先行予約権、観劇料10%OFFの優待、会員限定イベント参加権等の享受を受けることができる。私はもちろん文楽のチケットの先行…

文楽の本、買ってよかった10冊 <初心者向け編>

文楽を見始めて半年、そのあいだに買ってよかったおすすめ本をメモ。 1冊を除き、すべて新刊で購入可能。残り1冊も古書市場一般に流通しているので、比較的手軽に入手可能だと思う。 ┃ 1. 文楽へようこそ 初めて文楽を観に行く前に、最初に買った本。文楽関…

文楽 内子座文楽『仮名手本忠臣蔵』内子座

夏休みスペシャルで四国出張。愛媛県の内子町にある大正初期の芝居小屋「内子座」での公演に行ってきた。 内子は松山から特急で30分ほどの静かな町。町中にはコンビニやチェーン系店舗、華美な最近の建物がまったくなく、古い風情をとどめている。駅から民家…

文楽 7・8月大阪公演『新編西遊記 GO WEST! 玉うさぎの涙』国立文楽劇場

おこさま向け公演。初の平日観劇だが、場内ほんとうにおこさまがいっぱいで驚いた。というか、周囲、私以外みんな親子連れ。所々に普通の(?)文楽ファンの方の姿も混じっているが、おこさまがびっしりしていて気絶しそうになった。「親子劇場」と銘打たれ…

文楽 7・8月大阪公演『金壺親父恋達引』国立文楽劇場

新作ということで熱心に告知されていたが、正直、実際に観るまではまったく期待していなかった。新作ってまあイロモノでしょと思っていて、技芸員さんたちが頑張ってるならと応援の意味で観に行った。が、実際には夏休み公演の演目の中では一番驚いた。普通…

文楽 7・8月大阪公演『薫樹累物語』『伊勢音頭恋寝刃』国立文楽劇場

大阪へ行くことに抵抗がなくなってきた。 今回は3部構成で、1日のみで全部観るのは大変そうなので、1日目に第2~3部、2日目に第1部を観る小旅行にした。東京~大阪を新幹線移動にするのは飽きたため、行きは飛行機移動。早期予約の低価格時間帯で取ったので…

文楽 6月東京・文楽若手会(文楽既成者研修発表会)『妹背山婦女庭訓』国立劇場 小劇場

キャンセル待ちをしてチケットを取った。公演直前に主催者側へ戻ってきたキャンセル分が国立劇場チケットセンターに出るのを、サイトに貼り付いて待った。国立劇場チケットセンター・プレイガイド各社の取り扱いともにすべて完売になっていたはずなので、ど…

文楽 6月大阪・文楽鑑賞教室『二人三番叟』『夏祭浪花鑑』国立文楽劇場

東京の鑑賞教室が取れなかった悲しみで行ってしまった。鑑賞教室大阪公演。 東京の歌舞伎座の一等席が2万円近いことを考えると、観劇料が手頃な文楽を東京から大阪へ観に行っても安いもんである。交通費を払っても、大阪の方が東京より良い席を取りやすいこ…

文楽 5月東京公演『絵本太功記』国立劇場 小劇場

本公演はチケット取れたのだが、同時上演の鑑賞教室『曾根崎心中』の席が取れず……、悲しみのあまり、すぐさまあぜくら会(国立劇場の会員組織、チケットの優先購入権がある)の入会申し込み手続きをした。団体予約優先で一般が取りにくいのはわかる。でも、…

文楽 4月大阪公演『妹背山婦女庭訓』国立文楽劇場

渡世上あまりに許しがたきことがあり、気分転換で突然大阪へ行った。 文楽劇場へ行ったことがなかったため、どういう席がいいかを国立劇場のチケットカウンターの方に相談した。文楽専用の舞台のしくみ(舟底構造)、字幕システムの東京との違いのほか、人形…

文楽 2月東京公演『義経千本桜』国立劇場 小劇場

何年前になるだろうか、フィルムセンターで早稲田大学所蔵の日本映画最初期の作品が解説付きで上映されるイベントがあった。最初期も最初期の作品なので、もはや撮りっぱなし状態。それで何を撮っているかと言えば、歌舞伎。解説の講師も歌舞伎関連の方で、…

寺山修司『身毒丸』J・A・シーザー合唱曲歌詞と説経節「信徳丸」詞章の関連

『説経節のための見世物オペラ 身毒丸』は1978年6月、紀伊国屋ホールで上演された寺山修司(天井桟敷)の戯曲。本作が紹介されている資料を見ると必ず“説経節「しんとく丸(信徳丸)」に題材をとった”と書かれているが、その説経節の「しんとく丸」が何なの…

惜春鳥 —昭和BL邦画列伝 第2夜—

麗しき昭和の美青年と言ったらこの監督をおいて他になし。木下惠介大先生作品の中でも日本BL映画の金字塔と言われる『惜春鳥』のご紹介です。 ┃ 惜春鳥(せきしゅんちょう) 監督・脚本=木下惠介 松竹/1959 VHSあり/iTunes Store・YouTubeで購入・レンタル…

昭和残侠伝 ―昭和BL邦画列伝 第1夜―

突然身も蓋もない話で恐縮だが、昭和を代表するBL映画と言えば東映の任侠映画「昭和残侠伝」シリーズだ。*1 「昭和残侠伝」シリーズは、1965年から1972年の任侠映画全盛期にその代表的映画会社である東映で全9作が制作された。 「昭和残侠伝」がどんな話かと…

『鉄砲玉の美学』と渡瀬恒彦のチャーム

人によって評価の分かれる映画がある。 鹿島茂『甦る昭和脇役名画館』という本があって、これはいまでは『昭和怪優伝 帰ってきた昭和脇役名画館』というタイトルで中公文庫に入っている。1960〜70年代の邦画プログラムピクチャーで活躍した俳優……例えば荒木…

ヤクザと憲法

東海テレビ制作のドキュメンタリー。元々はテレビで放送されたもののようだ。 本作は全国に27ある指定暴力団のうち、大阪西成に本拠を置く東組の二次団体「二代目東組二代目清勇会」事務所への密着を中心に、サブのラインとして山口組の顧問弁護士・山之内幸…