TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

くずし字学習 翻刻『性根競姉川頭巾』屋舗の段

近松半二ほか作『性根競姉川頭巾』翻刻の最終回。いよいよ蔵屋敷の武士・浜地源左衛門とお周の血の婚礼が迫る中、侠客・黒船の忠右衛門はどう出るのか。浜地源左衛門の真意とは。というお話。

 

本作は文楽現行にはあまりない、テンプレキャラ重視のプログラムピクチャー的な展開がコンパクトにまとまった内容となっている。現代では顧みられない、昭和の2本立てプログラムピクチャー作品のようだと思う。内容を知らないまま読んだので、当時はここまでの歌舞伎の模倣的演目が存在したんだなというのが、初読時の素直な感想だった。文中に指定されている忠右衛門の衣装(姉川頭巾)も歌舞伎役者の衣装のコピーである。
このような内容の曲は、おそらく現代の文楽に復曲されることはないだろう。忠右衛門のようなキャラクターは人形浄瑠璃では描きにくいヒーロー像のように思うが、それは現代文楽を享受しているが故の視野の狭窄なのか。そして、こういう「ひと昔前の時代劇」的なキャラクターは、江戸時代の時点ですでに成立していたんだなと勉強になった。

これまで、義太夫正本翻刻カテゴリでは『女舞剣紅楓』『性根競姉川頭巾』と世話物を読んできた。これらは平易な文の世話物で、初学者の自分でも非常に読みやすく、くずし字を読むのにもだいぶ慣れることができて、良かった。この「義太夫正本翻刻」カテゴリの3作目として、次回からは、近松半二の時代物『桜御殿五十三駅』を掲載する。

 

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いままでの翻刻

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自分の勉強用ノートからの転記です。

捨て仮名、句読点はそのままとして、字体は現行に改めている。
文中■は判読できない文字。
画像引用元:性根競姉川頭巾 (東京大学教養学部国文・漢文学部会所蔵)  
参考文献:国立劇場芸能調査室=編『浄瑠璃作品要説<3>近松半二篇』国立劇場/1984
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屋舗の段

士と書イたる文字に裏もなく。表びゝ敷キ蔵屋敷浜地源左衛門が一ト構。内庭清きやり水も大川。筋を堰入レて飛ンだ物好キ飛石の。重き主命イ奴共。お庭の掃除取リ々に。払ラへば跡へ。散かゝる。木の葉に用捨なかりける。ナントでく内。今ン夜は旦ン那云言の娘御。作州の蔵屋敷から。此屋敷へお輿入リ御祝言の寿こつちにも待女郎の何ンのと。めらう共がびらつくべいと思ひの外カ。何ンだ凄い事だぞよ。サレバサ何ンでも旦ン那が今夜は鰥の久しぶり。男ぶり作つて鎌首を硎立テて居らるゝ筈。今朝から指がへの大小に寝刃合ハして。おら共には土壇の用意言イ付ケらるゝ。何ンのこつたすつきりと好カない事。但し銚物でもしらるゝかいヱ丶聞コへた。われが昨日ソレ小間物やと部

 

 

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屋てしやくつかしておつた手めが上カつて博奕の成敗。われを手打チになさるゝのじや。そふだ/\。ナニ。しやくつかすがおら斗リか。ヱ丶関助斯だはい/\。一昨日来たひげこの櫁柑。盗ンでくらつた髭首の仕置キ。手討チに合ふわれだ/\。こいつが。/\。そりや儕レが五つ迄くらつた。おらはたつた二つ。しかも早業にどふみやく掴んで櫁柑がすかん。命の相場はみかんと釣リがへ。撰取リ十ヲ六山の芋。足上られなと<つぶや>き行。案ン内させて馬渕和平太。なまくら武士の遠慮なくしたり顔に入リ来れば。奥より主源左衛門。略衣の羽織刀引ツ抱コレハ。/\と互イの式台。今ン晩ンの御祝儀。寸ン志斗リと詞のぬり樽さし出し。扨テ。何かはさし置此和平太。鎌倉屋の五郎八めと買論に成ツた傾城。町人ンに仕負ては武士の頰が立タぬから張合の請出し。貴公のお影ケで金子調ひ此方へ身請致し。夜前から此お屋敷に

お預ケ申シた瀧川。殊の外カはづんで居リ有レば。早く連レて帰りたい。イヤハヤ。手前が身に取リてかやうな悦びはござらぬ。其返ン礼に其元トへ進上致したお周が艶書。其男もやつぱり五郎八。意趣は互イに御同前。弥今ン晩は彼。お周が輿入レとな。成ル程/\。云イ号の女是迄婚礼延引致し有ル所。聞キ捨られぬふ義の様子。夫レ故火急に取リ急ぎ今ン晩の嫁取リ。サア左様承はつて拙者も御勝手お取リ持チに推参。此祝言の義式はどふなさるゝぞ。早く拝見が致したい。よもや四海波。静に事は治りますまい。色直しの血汐の装束。聟君のお手際。すつぱりとしたお捌きが見たい。誠に。先ン日瀧川が身請ケ金のかはりに。お預ケ申シた正宗の刀。切レ味お銚なさるゝには。丁ど宜しい手づかいでござる。ふ調法ながら。手前にも研立テの長カ柄の銚子。嗜で居リ有ル。お加にもなされふならば。御用に立チ

 

 

 

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ませふずと存じて押シて参ン上致したと。傍から腰押シけしかける。人喰馬渕に挨拶もにがり。切ツたる真中へ。堂島黒船忠右衛門是へと知ラせに打チ黙頭。嫁入の輿に先キ立ツて一人来る不敵キの町人ン。待チ兼た珍客是へ通せ。アイヤ。幸い意趣有忠右衛門め。獄門ンの庄兵衛を殺したもきやつが業。爰は拙者に任せなされ。持参ンの荒身て真ツ二つ。イヤ/\。夫レは相イ人違カひ。源左衛門が祝言の相済ム迄は。必聊爾召サるゝな。嫁迎への用意致さふ。お扣へなされと大身ンの。武士は格別唐紙を引立。奥へ入にける。剣キの中をのつしりと。肝の鉄壁飛石も。死手の街道道チ分ケ石。性根すへては日頃の百倍。人をこつぱと蹴ちらす小庭。面に見せず慇懃に。忠右衛門でござります。御免に任せ憚りなからお庭へ廻りましてござりますと。下タから出れば

見おろす馬渕。ホ丶遉堂島の忠右衛門。来にくい所を能来たな。夜前ンの遺恨和平太とくより相イ待チおる。モウ絶体絶命の場所。よふ観念して待ツておれと。嘲る顔をじろりと身て。イヤ申忠右衛門がお掛ケ合イ申シたは。お館の御亭主源左衛門様。今ン晩作州のお屋敷より。嫁入の義に付イて。御面ン談に参つた拙者。其元ト様の出入は跡で緩りと。逃ケも走リもするのじやない。マア/\おせきなされますな。イヤサ。身共は其婚礼の取リ持チに罷つたのさ。此嫁は又なぜ遅いと。意路を持チ込ム廻り庭。嫁様のお輿只今是へと声も揃の轆■ならで。裾小短い。葬礼袴。嫁入の宰領講中を。判ン字物が二人前担ふ送りの貸乗物。小門ン口に舁入レて。親仁殿。生キて戻らぬこなたの覚悟。爰で切ラれて死ナしやつたら。死骸はこちらが

 

 

 

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貰ふて直クに梅田へ。此乗リ物で友達チ中カ間が送タる積り。旦ン那寺へも届けて来たぞや。ヲ丶そりや能イ手廻し。今ちつと葬は間が有ふ。わいらは皆門ン前ンへ往て待ツて居い。コリヤ必おれか息キの有ル中チ。一人でも門ンの内へ這入たら聞カぬぞ。ヲ丶合点じや。コレ気をせかずと迚もなら。二三人も供連レて死はれと。袴は着ても懐手。肩でゆすつて出て行。弱みを喰ぬ馬渕和平太。ハ丶丶丶丶迚も手向カひは叶ハぬと思ふて。死骸貰はふとはよい覚悟。したが我カ身分ンの納りは夫レで済ふが。今ン夜の婚礼はどうするぞ。わりや宰領の役クでないか。いかにも。黒船の忠右衛門が供して参つた嫁御寮。則チ爰にと乗リ物より。俗名お周と印シたる。位牌取リ出し。サア此嫁御と聟殿と祝言の盃キ。取リ持チなされ和平太殿。ヤア何ンと。イヤサ。お周殿は死ナれました。しかも今日たつた

今。頓死頓病何時キ知レず。天子将軍の力ラにも。取リ留られぬは命斗リ。侍イ同士の約束でも。俄カに死ンだら是非がない。こつちから変ぜぬ証拠は位牌に成ツても嫁入さす。是非夫婦連レ添たくば。聟殿も冥途へござれ。お寝間の床地獄也と。極楽也と。忠右衛門が御案ン内。夫レ合点なら是へ出て。俗名お周と祝言なされ。但夫レへ参らふかと。黒船に声かけられ。上下モ改め源左衛門。只抜群の大生抜自身携へ直し置キ。契約違はず忠右衛門。去リとは苦労太義/\。待チ役た花嫁。推量も違ハぬ冥途の祝言。嘸有ラんと思ひ。此方にも申シ付ケた仕上ケの献建。併宰領の忠右衛門。稀の珍客に。精進料理斗リも何ンとやらふあしらい。亭主が直キの刺味包丁。荒身一種が今ン夜の馳走。打チくつろいで

 

 

 

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たべてくりやれと。身動きさせぬあしらい方。傍に馬渕も目放しせず切戸の錠前。折からに。お政は娘の。手を引イて。兼て覚悟は極メても。今更ラ弱る女気の。夫トに今一チ度暇乞。声ばしすると窺ふに門ン裾引まくつて忠右衛門。土壇がはりの大生板。上にどつさり腰打チかけ。何よりのお饗応。其御馳走を受ケに参つた。御自慢のお料理方。お手際が見たさに進ン上致す生肴少分ンながら堂島の生ケ魚。ちと骨が有ツてこなしにくい。筒切リか。背切リか。いつそすつぱりと。二枚におろして貰ひましよ。サア/\と体をつき付ケて。びつく共せぬ眼コざし。ハテ扨丈夫な胴性骨。鳴ル戸を越た見事な骨組。極上の銚体。是を肴に一献汲ふか。イヤもふ御馳走と有レば。何ンでもお辞宜は致さぬ男。祝言の盃キなれば。嫁御に替つて忠右衛門が。聟殿へ

さしませふかい。成ル程/\。家来銚子。イヤ幸イ樽も是に有リ。どふで葬礼する体。やかずとひやに致さふと。鑑ぶち抜鉢前石。外トにはびく/\親と子が。ヤアまだ切ラれはさんせぬか。こちの人忠右衛門殿と。思はず知ラす泣キ声を。聞キ知ル夫トが声■く。ヤイ引キ裂れめ一生の別れ最此世では逢ぬと。言イ渡して置イたに何ンで爰へ付イてうせた。狼狽者めと。かみ付ケられ。サイナ。合点は仕て居るけれど。百両の金で。娘のお米。取リ返した甲斐もない。親子の別カれ今一チ度顔を見せたさに。連レ立ツて来たはいのふ。ちよつと逢ふて。まだぬかす。黒船が死際の大事の出入。男の一チ分ン捨さすのか。立ツてうせふアノ大馬鹿めが。サア慮外申シませふと侍イ二人引キ受ケて。相イ人をぐつと呑ム大胆。ソレお肴と和平太が。打チ込手裏剣。

 

 

 

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 一世一チ度の大事の祝言。鱗のない肴はいみ事。お引キなされと突飛す。ア丶コレサ和平太殿。源左衛門が試の料理も待ず。近カ頃以て不作法千ン万ン。肴ならば似合フた様に。小謡でも諷はつしやれと。呵られて。頬真赤馬渕。イヤ拙者声をいためました。ハ丶丶丶丶いか様大事の盃キだに。誰ぞ祝言諷はぬかいと。ちらす脇キ道ちりかゝる。夫トの寿命外トに待ツ。歎きは我カ身一つ鉦なむあみだ。なむあみだ。なみあいとふても最叶はぬ。とゝ様申シと一ト声が。耳に遮る透を見て。こりぬ和平太切リ込ム鋒。門トにはひやいさハア/\/\。念仏もしどろに声震ふ。涙の引導百年ンめ。庭へはつさり倒れる和平太。浜地思はずハテ見事な切レ味と。いふ声外ト面に妻娘。ヤアもふ切ラれてかと声を上わつと正体。泣キ沈む。血を見て弥居る腰。しづ/\元トの座に直り。刃物投ケ捨両肌ぬげば。下は六字の経帷

子刃の中カに伏迚も。猶魂の直ク焼刃。水かけ流し源左衛門。目に油断なき手討チの作法。悠々と後に廻り。振リ上る刀の下タ。ぐつ共言ぬ。覚悟の体。ハテ心得ぬ。和平太を一ト討チに仕とめる程の手を以て。なぜ此期に刃物を捨た。サア立チ合フて相イ人になれさ。イヤ黒船の忠右衛門。非道と見たら侍イで有ふが。小指の先キ共思はぬ男。理に歎きたふ刃はない。お手打チに成リませふ。サ丶遊ばせ/\。ム丶町人ンながら体術手練に覚有ルに任せ。<さすが>一ツ本持タいでも只一掴と思ふは不覚。切リ人は浜地源左衛門。刀は名イ作正宗じやぞよ。ナ丶何ンと。其刀が正宗とな。ヲ丶しかも作州羽森の家の重宝。エ丶ハテ替つた物がお手に入ツたな。首さしのべて切ラれふと思ふたが。其刀が正宗なれば。こりや一チ番切レ味を受ケて見にやならぬはいと。脇差取ツてさし付ケる。ホ丶ウそふなふては忠右衛門とは言れまい。今が最期じや観念せいと二つに丁ど切リ破位牌。成敗済ンだ忠右衛門。勝ツ手に帰りや

 

 

 

 

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れ。ムウ人殺しの忠右衛門。所詮ン助らぬ命。眼前傍輩を殺され。相イ手を外カの手に渡しては。武士道が立チますまいがな。ヲ丶其不審尤と。懐中より一通取リ出し。馬渕和平太事。殿のお部家に不義を言イかけ。遊所狂ひに御用金を盗みし事露顕に及ぶ。取リ所なき馬鹿者。其御地にて切リ捨になさるべく候。余は読に及はず。国家老より此書状今朝到来。どふで殺すこいつが命。解死人ンの気づかひない切リ徳/\。ハア軽い身分の町人ンを相イ人になされぬ奥床しい源左衛門様。遖お侍イじやと言フ事は。兼てより承はり及んで居る故。此方から望でお手にかゝりに参つた私。お慈悲を以て忠右衛門が。命チ一トつをお周様と五郎八様。二人リの替りにお取リなされて下タされと。金輪ならくひら頼みに。やり付ケる気で。手厚ふ命のつき付ケ売リ。拙者が心ン底御存なされ。すりや御了簡下タさるゝよな。イヤ了簡するで

ない。生ケて置カれぬ不義の女。けふ嫁入した此位牌の俗名お周。真二つにぶち放したれば。不義の成敗済ンだ。元ン来イ五郎八とお周とは。作州の同家中にて。幼少の時気云イ号。夫レとは知ラず身が妻に。貰ひかけたは此方の誤り。夫レのみならず。金子のかはりに和平太より請取ツた此刀。よく/\聞ケば五郎八が親。国元トにて盗マれた正宗の刀。其盗賊も和平太め。儕レが悪ク事は押シ隠し。人の名を出す不義の証拠。見捨にならぬ武士の表テ。黒船と見た故に謎をかけたか嫁入リの宰領お身が性根を銚物。源左衛門を武士と見込ンて。命を呉た<きょうかたびら>。過分さは詞に尽ず。折に幸イ和平太が。儕レが科で身を果せば。此事世に知ル者なし。誰憚ず五郎八とお周が媒忠右衛門。祝言の餞別は此正宗の刀にかけて。宜しう頼ミ存ると。詞に千ン石武士町人ン。身がらに高下は有なら。難ン義救ふは北浜の。暮の相場に百万俵越

 

 

 

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年ンしたるごとく也。お政も外トから手を合ハせ。ヱ丶有リがたいと申さふか。何ンとお礼を忠右衛門。健なお顔を母様に。サア/\早ふと気をせく女房。コリヤ/\女麁相いふなそちが夫トは死ンだはやい。イヤサ獄門ンの庄次郎を殺した。其詮ン義有ル迚も。源左衛門が手討チにしたれれば。大坂の地は勿論此世の内に居ぬ忠右衛門。サア此夜の中に。ナ合点か。密に逢す人も有リ。亡者の黒船こなたへと心を。込メて奥の方。連レて入ル月宵闇に。待ツ間気ならず判ン字物。お政様か。親仁殿の落着。早ふ聞キたいどふじや/\と。気をせく内より源左衛門。約束の通り。死骸くれふ持ツて帰れ。ヤアそんなら頭ラは切ラれたか。最けたいじやとごろたの石打チ。切戸ぐはらりと押シ入レより。伴ふ傾城瀧川殿と。見やる一ト間の内にはお頭ラ。是はと恟り立チ切ル障子コリヤ/\そち達チ。此死骸葬礼の輿で墓所へ送クつてやれ。此同部の中には鎌倉やの五郎八も居る筈。身請ケの済ンだ

跡のからだみ。譬どこへ埋んでも構ない請合は。出家侍イ身が引導人は知ラぬが仏ケの死骸。爰へ来て拝みやれと。粋なお寺に呼れくる。五郎八様かと走り寄ひつたり抱キ付。■無常の葬礼姿忽に。色の盃とぞ成にける。折から聞コゆる多勢の人音。申上ケます黒船の忠右衛門を捕人の人数只今門前ンを取囲居リ有と。下部が注進なむ三宝。事急にせまつたり。足手纏ひの足弱を。早ふ/\とせり立られ。詮方なく/\裏門口。惣門ひらけば込ミ入ル人数。皆我先キに乱レ入上を下へと。かり立る。築山前栽こだてに取。事共せざる忠右衛門。捕人も■んで見へたる所に。早縄たぐつて源左衛門。コリヤ/\黒船。獄門の庄兵衛は。盗賊衒の科に寄て成敗に合ふやつなれ共。私に殺した誤。一ツ旦ン縄をかくるは大法。黒船捕たと情ケの取縄。刃向ふ気色も真似斗。脇指がはと尋常に懸たる義理の名は跡に。残る立テ引キ聞キ侍へ。かふき狂言姉川の。萌黄頭巾の色上芝居と御評。判をぞ頼みける

 

(終)