TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

文楽[大阪]公演

文楽 11月大阪公演『鶊山姫捨松』『女殺油地獄』国立文楽劇場

■ 鶊山姫捨松。漢字が読めない。ひばりやま・ひめすての・まつ。 これも事前に全段を読む予習をした。「中将姫雪責の段」に至るあらすじは以下のようなものだった。(参考文献:叢書江戸文庫11『豊竹座浄瑠璃集 二』校訂=白瀬浩司、河合祐子/国書刊行会/1990…

文楽 11月大阪公演『蘆屋道満大内鑑』『桂川連理柵』国立文楽劇場

国立劇場の文楽プロモーション動画は結構頑張っているが、文楽劇場制作の動画は天然のなせる技で、平成初期のお父さんのホームビデオのようだ。なぜこんな場所で撮っているのか、なぜこんなに手振れしているのか、なぜこの二人はペア役なのにまったく息が合…

文楽 7・8月大阪夏休み特別公演『新版歌祭文』『日本振袖始』国立文楽劇場

ところでいま思い出したが、こないだ東京公演で近くに座っていた20歳ばかりのヤング男子が勘壽さんにキャーキャーしていた。本当にモテる男は違うなと感じた。 ■ 『新版歌祭文』野崎村の段。 これ、今回の夏公演イチの注目演目じゃなかろうか。人形もとって…

文楽 7・8月大阪夏休み特別公演『卅三間堂棟由来』『大塔宮曦鎧』国立文楽劇場

三十三間堂っていくらなんでもあんなにごんぶとな棟木あったっけ。と思ったら、後白河上皇によって造営された当初の三十三間堂は焼失し、いまのものは後嵯峨上皇によって再建されたものだそうだ。(浄瑠璃を鵜呑みにしている人) ■ 『卅三間堂棟由来』平太郎…

文楽 7・8月大阪夏休み特別公演『瓜子姫とあまんじゃく』『増補大江山』戻り橋の段 国立文楽劇場

開演前、技芸員さんたちが人形を出して西日本豪雨被害の募金活動をしていて、子供たちは引率の親御さんにお小遣いをもらって募金していた。津國サンがワラワラ寄ってくる子供たちに「ありがとーっ!!!」とほがらかに対応されていた。 ■ 第一部は夏休み公演…

文楽 6月大阪文楽鑑賞教室公演『二人三番叟』『絵本太功記』国立文楽劇場

夕顔棚の段の冒頭、舞台上手の袖にそそっと集って楽しげに「ナンミョーホーレーンゲーキョー」を唱えるお若い太夫さん方がかわいい。寺子屋の子どもたちみたいだった。 ■ 今年の大阪鑑賞教室公演は、幹部は抑えどころの脇役に回り中堅が主演格にというチャレ…

文楽 4月大阪公演『本朝廿四孝』『義経千本桜』国立文楽劇場

今回のメイン演目『本朝廿四孝』の勘助住家。どの解説書やチラシを見てもサイコパスが思いつきを書き連ねたような脈絡のないあらすじになっているのでどうなっているのかと思っていたが、あのあらすじ群は迷妄ではなくすべて事実だった。 ■ 突然ですが私の知…

文楽 4月大阪公演『彦山権現誓助剣』国立文楽劇場

はじめのほうの日程に行って、大阪で花見するぞと思っていたら、今年は桜が咲くのが早く、初日には文楽劇場前の桜はすでに散り果てていた……。 ■ 第二部、『彦山権現誓助剣』。話がかなり細かく展開するせいか、パンフレットのあらすじ解説がいつになく概要の…

文楽 1月大阪初春公演『良弁杉由来』『傾城恋飛脚』新口村の段 国立文楽劇場

初春公演ははじめのほうの日程に行くと、第一部・第二部それぞれのごはん休憩時間に手ぬぐいまきがある。若手出演者3人が新年の挨拶とともに丸めた手ぬぐいを投げるイベントで、争奪競争が激しそうなイメージがあったが、意外と個数があるのと、おねだりがか…

文楽 1月大阪初春公演『花競四季寿』『平家女護島』『摂州合邦辻』国立文楽劇場

初春公演、今年は初日に参上。気持ち良く晴れ渡る青空の下、開演前の鏡開きを見物して正月気分を満喫。しっぽしか見えなかったが、黒門市場から贈られた鯛のデカさに驚いた。 ■ ■ はじめは景事で、『花競四季寿』。 「万才」、なぜ紋臣さんは最近延々景事で…

文楽 11月大阪公演『八陣守護城』『鑓の権三重帷子』国立文楽劇場

八陣守護城(熊本)コラボで、文楽劇場ロビーにくまモンが来ていたそうだ。私もくまモンに会いたかった。 ■ 八陣守護城。パンフレットを間違ってロッカーに預けてしまった上、歴史教養が一切ないため加藤正清(加藤清正)が誰かわからないんですが大丈夫でし…

文楽 11月大阪公演『心中宵庚申』『紅葉狩』国立文楽劇場

秋深き隣は何をする人ぞ。大阪公演へ行ってきた。 ■ 心中宵庚申。人形の主演おふたり初役ということで(玉男さんはそうだけど、勘十郎さんも初役?)、楽しみにしていた演目だったが、思っていた以上にずっとよかった。以下、復習がてら、あらすじまとめ。 …

文楽 7・8月大阪公演『源平布引滝』国立文楽劇場

和生さん、人間国宝認定おめでとうございます。さすが和生さん、我がことのように、いや我がこと以上に嬉しいです。 ■ 『源平布引滝』。平家から源氏へ翻意した武将たちと、源平の争乱に巻き込まれる名もなき一家の悲劇を源氏の白い旗をストーリーの鍵として…

文楽 7・8月大阪公演『金太郎の大ぐも退治』『赤い陣羽織』国立文楽劇場

親子劇場のお客さん向けなのか、展示室には動物の小道具がたくさん置かれていた。うさぎ、すずめ、白ぎつねのほか、きつね色のきつねもあった。3匹のきつね色きつねの名前は「右コン」「左コン」「コン蔵」とのことだった。身も蓋もない名前で良い。鑑賞教室…

文楽 7・8月大阪公演『夏祭浪花鑑』国立文楽劇場

大阪、暑い……。暑すぎる……。 ■ 夏祭浪花鑑。昨年の鑑賞教室で観たときは団七=玉男さん、義平次=勘十郎さん、三婦=和生さんだった*1。今回の団七は勘十郎さん。何よりの注目は簑助さんがお辰役で出演されることだった。可憐イメージの簑助様が俠客の女房役と…

文楽 6月大阪・文楽鑑賞教室/外国人向け公演 Discover BUNRAKU『二人禿』『仮名手本忠臣蔵』国立文楽劇場

観劇からだいぶ時間があいてしまったが、大阪の鑑賞教室に行ってきた。 文楽鑑賞教室は配役が4種ありどれを観に行くのか悩ましかったのだが、後半日程の午前の部・午後の部を観に行くことにした。このうち午後の部は「Discover BUNRAKU」と銘打たれた外国人…

文楽 4月大阪公演『寿柱立万歳』『菅原伝授手習鑑』国立文楽劇場

今回は襲名披露公演ということで、劇場フロアのロビーにご祝儀の飾りがしつらえてあったり、展示室も歴代呂太夫特集だったりと華やかな雰囲気だった。 ■ 『寿柱立万歳』。 平屋の屋根が続く街角で、太夫(人形役割=桐竹紋臣)と才三(吉田清五郎)が舞い踊る…

文楽 4月大阪公演『楠昔噺』『曾根崎心中』国立文楽劇場

初めて文楽劇場へ行ってから1年が経った。短い1年だったような、長い1年だったような。 しかし1年前は今にも増してものがまったくわかっていなかったのに、よく大阪まで行ったな。勢いだけで行ったわけだが、勢いというものはすごいものだと思った。 ■ 『楠…

文楽 1月大阪初春公演『染模様妹背門松』国立文楽劇場

続けて第二部を鑑賞。 一部と二部の入れ替え時間に1階ロビーに降りたら、いつのまにか鏡餅が片付けられていた。鏡餅は15日(小正月)の日没のタイミングで仕舞うと初めて知った。 ■ 染模様妹背門松。本作に関しては、全体の構成や趣向に驚いた。 油店の段。…

文楽 1月大阪初春公演『寿式三番叟』『奥州安達原』『本朝廿四孝』国立文楽劇場

もはやまったく正月感のない今日この頃、やっと文楽劇場へ行った。 観劇日前後は大寒波の影響で名古屋~京都付近が大雪、新幹線が徐行運転となり大幅遅延。当日朝の新幹線で大阪へ行き、日帰りで観ようとしていたのであせったが、新幹線の時間を繰り上げたの…

文楽 10・11月大阪錦秋公演『増補忠臣蔵』『艶容女舞衣』『勧進帳』国立文楽劇場

第一部に続けて第二部を鑑賞。 錦秋公演の目玉として『勧進帳』を上演するということで、文楽劇場1Fの資料展示室でも勧進帳の企画が行われていた。モニタには歌舞伎の『勧進帳』と能の『安宅』、そして文楽の『勧進帳』の映像が流されていたのだが、第二部開…

文楽 10・11月大阪錦秋公演『花上野誉碑』『恋娘昔八丈』『日高川入相花王』国立文楽劇場

大阪は遠い。 大阪11時開演に間に合わせるためには家を6時半には出なくてはならない。6時半て、いまの時期日の出6時15分くらいなんでまだ薄暗いんですけど……。東京駅構内の喫茶店は新幹線改札内のスタバしかやってないしさあ……。これで文楽劇場に着けるのは1…

文楽 7・8月大阪公演『新編西遊記 GO WEST! 玉うさぎの涙』国立文楽劇場

おこさま向け公演。初の平日観劇だが、場内ほんとうにおこさまがいっぱいで驚いた。というか、周囲、私以外みんな親子連れ。所々に普通の(?)文楽ファンの方の姿も混じっているが、おこさまがびっしりしていて気絶しそうになった。「親子劇場」と銘打たれ…

文楽 7・8月大阪公演『金壺親父恋達引』国立文楽劇場

新作ということで熱心に告知されていたが、正直、実際に観るまではまったく期待していなかった。新作ってまあイロモノでしょと思っていて、技芸員さんたちが頑張ってるならと応援の意味で観に行った。が、実際には夏休み公演の演目の中では一番驚いた。普通…

文楽 7・8月大阪公演『薫樹累物語』『伊勢音頭恋寝刃』国立文楽劇場

大阪へ行くことに抵抗がなくなってきた。 今回は3部構成で、1日のみで全部観るのは大変そうなので、1日目に第2~3部、2日目に第1部を観る小旅行にした。東京~大阪を新幹線移動にするのは飽きたため、行きは飛行機移動。早期予約の低価格時間帯で取ったので…

文楽 6月大阪・文楽鑑賞教室『二人三番叟』『夏祭浪花鑑』国立文楽劇場

東京の鑑賞教室が取れなかった悲しみで行ってしまった。鑑賞教室大阪公演。 東京の歌舞伎座の一等席が2万円近いことを考えると、観劇料が手頃な文楽を東京から大阪へ観に行っても安いもんである。交通費を払っても、大阪の方が東京より良い席を取りやすいこ…

文楽 4月大阪公演『妹背山婦女庭訓』国立文楽劇場

渡世上あまりに許しがたきことがあり、気分転換で突然大阪へ行った。 文楽劇場へ行ったことがなかったため、どういう席がいいかを国立劇場のチケットカウンターの方に相談した。文楽専用の舞台のしくみ(舟底構造)、字幕システムの東京との違いのほか、人形…