TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

訃報 来賀友志先生ご逝去

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来賀友志先生が、5月8日に逝去されたとの発表がありました。
4月末に急病で入院する旨、SNSで報告されていましたが、あまりに急なことで、ただただ、驚くばかりです。


来賀先生の作品からは、数えきれないほど多くの感銘と力をいただきました。
『あぶれもん』、『天牌』、『てっぺん』、『麻雀蜃気楼』といった来賀先生の作品に出会うことがなければ、ブログも続けられなかったと思います。
『あぶれもん』は、本当に衝撃的でした。昔の麻雀漫画で、こんなにも独自の世界観と広がりを持ち、光輝を放つものがあったのかと思わされました。


来賀先生の作品によって、友人知人の輪が広がりました。そして、来賀先生の作品をできる限り読みたいと思い、古本屋を回って単行本を集めるほか、雑誌掲載のみの読み切り作品を探すために国会図書館などに毎週末通って、80〜90年代の麻雀漫画雑誌、パチンコ雑誌、謎のオヤジ雑誌を無限に確認しつづけたのもよい思い出です。そして、弘明寺をはじめ、鹿児島や福岡、高知など、作品の舞台になった場所に行ったりと、多くの面で私の世界は広がりました。

また、個人的なご縁としては、来賀先生にインタビューをさせていただき、同人誌を作ったのが大きな思い出です。その際には、なんの縁もゆかりもない若造に、誠実に、親切に対応していただきました。
原稿チェックの赤字出し戻しも、元編集者の方らしい、丁寧で几帳面な記入と対応をいただいたことを覚えています。そして、来賀先生はご自身の作品をきっちり記録・保存されていたので、私たちの確認漏れや認識間違いなどを多く訂正・補足することができ、同人誌そのもののクオリティアップに大変なご協力をいただきました。その過程を通し、来賀先生はいわゆる「天然」「才能」で書かれているわけではなく、一般読者からどう見えるかまでこだわりのある方だと感じました。
でも、私たちのやりたいことには、全然口出しされなかった。いっぱい言いたいことあったと思いますけど、見守ってくださいました。

入院中のSNS投稿も、ファンを過剰に心配させないよう、しかし不安にもさせないよう、あくまで明るく書かれているのが来賀先生らしかった。

 

天牌』は、ずっと読んでいけるものと思っていました。
発表があった昨日は、まったく心の整理がつかず、葬儀の案内は間違いではないのかと何度も見返しました。今でも信じられません。

たくさんの素晴らしい作品たちと、その情熱と興奮とともに過ごす時間をいただき、本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。