TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 今週の天牌のアオリは「運命を分かつ一打ッ!!!」

夏コミで「来賀友志 六万字インタビュー」を手に取ってくださった皆様、ありがとうございました。大変な好評を頂けてとても嬉しかったです。間もなく通販を開始する予定です。会場でお求めになれなかった皆様、いましばらくお待ちくださいませ。


  • 来賀友志+嶺岸信明天牌
    • 荘さま、ベストタイミングで白の放し。星野さんよりも一枚上手か。星野さん、どうも格下の感が否めないが、星野さんと荘さまの違いというのは何なんですかね。いや、正しく言うと荘さまが強い理由。イケメン=強い以外の理由が知りたいい。
    • これで荘さま&菊多コンビの2勝か。ハゲハゲコンビ、土俵際。
    • つか、今週、44コマしかなかったんですがで以下次号。最近嶺岸先生が本当にごハッスルなさっていますが、猛暑の影響でしょうか。ただひたすらイケメンを描くことに執念を燃やしていらっしゃるようにしか見えません。次号、ハゲハゲコンビがマワシ姿で登場したら嶺岸先生を神と崇めます。

一、

夏コミで私以外にもゴラク系漫画の同人誌を出している方がいらっしゃいました。しかも「酒のほそ道」で。作中に登場するお店の訪問記、各エピソードに登場する料理・お酒・一句等をまとめたという資料系同人誌でした。前日になって偶然Twitterで情報をキャッチしたのですが、よもや「酒のほそ道」で出る方がいらっしゃるとは北岡先生でも想像できませんでしたので、開場した瞬間買いに行きました。しかし「WEED」はともかくとして、「ミナミの帝王」や「白竜」の同人誌で出てる方ってのもよぉぉぉぉぉ〜く探せばいるんですかね? 盆前のゴラクで「郷力也先生は関西では超有名」とかサイバラコラムに書いてありましたけど、ってぇことはだ、関西の同人イベントでは「ミナミの帝王」でひと島あったりするんですかね? まあ天牌はいつかビッグサイトの東館半分埋めるほどの勢力になる予定ですけどね。そのためにもまず麻雀による人類支配計画を推進しなければと思いました。


二、

ところでゴラクといえば、皆さんアメトーーク!の「ミナミの帝王芸人」は御覧になりましたか? 私は観られませんでした。私としてはいつか「天牌芸人」を放送して頂きたいと、そういう思いでございます。
雀鬼ツイキャス*1雀鬼ッコには聞き逃せない内容でした。むしろ雀鬼にあまりいいイメージを持っていない方や雀鬼に詳しくない方にこそお薦めしたい内容です。夏コミの打ち上げでも雀鬼はなぜ伝説となりえたかについて話をしましたが、そのあたりの検証は麻雀ファン、麻雀漫画ファン両方にとってとても重要なことだと考えています。

雀鬼と言えば、夏コミで知り合いの方が飲み物の差し入れと一緒に「ショーちゃんがタコのパウルくんについてコメントした東京新聞の記事」を持ってきてくださいました。読みたかったので超うれしかったです。あ、あとシミケンまた捕まりましたね。


三、

そんな夏コミ期間中、初日はいつもの身内、二日目は初対面の天牌ファンの方、三日目は古くからの麻雀漫画ファンの方と来賀作品についていろいろお話したのですが、簡単にまとめますと以下の通りです。

  • 天牌すげえ(特にサウナ)
  • 列伝すげえ(特に描き下ろし)
  • 雀首すげえ(特にハグ)
  • 外伝すげえ(特に人力車引きの男の子の話)
  • ゴロすげえ(特に伊原さん)

わたくしなにぶん語彙が少ないもので、何を喋っても「すごすぎて、すごい」しか言えないのが哀しいところです。とりあえず「ゴロ」について「伊原さんがイケメンすぎて爆笑」が万人共通の反応ということがわかりましたのでここにご報告させて頂きます。


さて、ふざけるのはここまでにしておいて、色々な方と来賀作品をどう読むかについてお話できたのは大きな収穫だった。
まず「天牌」はゴラクの中で最も途中参入しにくい作品だということ。これは本当にそうだと思う。55巻も出ちゃってるってこともあるが、そもそも来賀イズムが理解できないと何をやっているのか全くわからないというのが大きい。しかし逆に言うと、来賀イズムが理解できれば、麻雀がわかるかわからないかは作品を読む上で致命的な問題ではないというのも同時にある。簡単にわかる特性としては、何切る的なシーン。一般的な麻雀漫画とは異なり、答え(正着)にあたるものが存在しないことが多い。並の麻雀漫画だとベストな打牌を選ばない例として、「ツイていないときは逆(不利なほう)に打て」というものがあるが、それとは根本的に異なる価値観が存在している。いずれにせよ麻雀に正解や麻雀で評価されること*2を求めたがる人には理解しがたい価値観だろう。しかし、これも逆に言えば、ゲームとしての麻雀に正解や成績評価を求めるのは根本的に無理ということを考えるとある意味極めて理にかなっている価値観だ。そして、正解や成績評価でない次元に存在する麻雀の価値観が描かれた麻雀漫画はもれなく名作である。

ではその来賀イズムが何かというと、なかなか説明しにくい。宗教的美学や価値観の一種であること、『あぶれもん』『てっぺん』『天牌』にその傾向が強いことはわかるのだが、うまく説明できない。ただわかることは、来賀先生はマジで麻雀を愛しているということだ。来賀作品において、麻雀と世界は合一している。麻雀は世界を捉えるための巫術であり、同時に、世界からの神託である。……というのはあまりにカッコイイ言い方すぎるんだけど、あのねえ、マジなんですよそれが恐ろしいことに。
私は初めて来賀作品を読んだとき、来賀先生がマジ本気だとは知らなかったので、この来賀イズムがなかなか飲み込めなかった記憶がある。結局、逆に飲み込まれてしまった。普通の人はここまで麻雀をマジで愛している人がこの世の中にいるということ自体理解できないだろう。麻雀をマジで愛しているという心性が分からない限り、来賀イズムを理解することは出来ない。私は来賀先生の麻雀愛を十分理解しているつもりだったが、それでもインタビューしたときに改めて「この人は本当に本気だ……」と思った。
私が来賀先生の言葉で最も感動したのは、何だったかのコラムに書いてあった言葉だ。いまコラムのコピーを人に貸しているので正確な引用が出来なくて申し訳ないが、「"麻雀" という言葉の後ろにプロだの何だの余計な言葉をくっつけてはならない。"麻雀" という言葉の後ろにくっついていいのは "牌" だけである」という言葉。これが最も端的に来賀的価値観を表わしていると思う。


あと、麻雀はともかく、なぜあんなに男だらけになってしまっているのか*3。これについてはインタビューの過程である程度明らかに出来た。これはインタビューしてよかったと思ったことのひとつである。

なんか話が全くまとまっていないが、おわり。

*1:ジャン斉藤kamipro)×田中太陽(元麻雀プロ)、http://twitcasting.tv/kamipro_saitou からログが聞けます。

*2:大会形式でもネット麻雀のような通算成績でも

*3:いやあのまじで昔の作品すごいから。何がどうすごいかはちょっとここでは書けないけど、いまはそうとう自重なすっていると思いますとだけ申し上げておきます。