TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 リーチ


┃ あらすじ
次回作のネタに詰まる漫画家・一本木陸人は、担当編集者の「麻雀ものはどうか」という一言を切っ掛けに雀荘へと足を踏み入れる。大久保の「鳳」という雀荘に真木という代打ちがいると聞かされた陸人は、「鳳」でメンバー(雑用?)をしていた真木に漫画の取材を申し込んだ。しかし、陸人は真木に適当にあしらわれてしまい、取材は一行に進まなかった。連日「鳳」に通い詰め真木に質問を投げ続ける陸人に、真木は「質問に答える度に触らせろ」と告げ……?!




とりあえず麻雀から百億光年離れた帯のキャッチ*1が素敵すぎてよろめきました。
雀荘に行ったらそこのトッツァンにいきなり「どこそこの雀荘にはイケメン代打ちがいるぜ」などと言われるという出だしがナイス意味不明。作者は麻雀には興味がなく、麻雀を「なんかよくわかんないけどワルっぽいモチーフ」として扱っているようです。専門的な用語は出来る限り言い換えをしていますし(例:麻雀卓→テーブル)、実に正しい姿勢だと思います。牌活字も出てきません。雀荘のシーンは多いですが、いわゆる闘牌を含む麻雀のシーンはないですね。これは言ったら終わりなのかもしれませんが、なんていうか、麻雀漫画の女性向け同人ぽい……。そういうのをヒントに書いたんじゃないのかな……。麻雀漫画とか麻雀小説などを資料として以上に読んでいるとはちょっと思えないですね。タイトルは編集者がつけたようですが、作中、リーチしてるシーンはないような……*2



「奥貫さん、もらっていきますよ」
 光吉は声をかけるだけかけて、返事など待たずに受付のカウンターから点棒を三人分、取り出し、勝手に席に持ってきた。それを三人に配り、準備が整う。
「まずは親決めだ」
 おそらく陸人にもわかるようにだろう。薮内はいちいち声に出しながら、勝負の始め方を指示していく。
 サイコロを振り、最初の親が光吉に決まった。
 卓上の牌が自動装置によって回転し、綺麗な列となって、それぞれの前に並べられる。陸人にとって、初めて他人と打つ麻雀が始まった。

主人公が千点千円のサンマでリアル麻雀デビュー、というシーンです。麻雀描写の文章がちょっとぎこちないのは仕方ないですが、サンマというのがかなり斬新です。主人公は千点千円がどういうレートかわからないまま誘いに乗ってしまいます。
「卓上の牌が自動装置によって回転」ということは、この麻雀卓は麻雀博物館で見たマグジャンなのかしらん? 「綺麗な列となって、それぞれの前に並べられる」という文がちょっと不思議ですが。前後の文からすると一般的な自動卓とは思えないので、例えばには健三さんの霊、には白の霊がというように、黄金時代麻雀漫画の英霊が宿り、洗牌時に牌ひとつひとつが意志を持ってひとりでに積み上がっていく全自動牌(not卓)なのかも……。ちなみにこの「鳳」はフリー営業はしていない貸卓専門店ですが、常連同士で勝手に卓を立てているようです。商店街によくある、漢字1〜2文字店名の「一見さんは死んでも入れない」タイプの店でしょうか。ここに突撃した主人公は、変なところで行動力があると書かれている通り、かなり根性が座っています。




クライマックスの闘牌は主人公の陸人、真木、真木の父(ヤクザの組長)による真木の運命を賭けた勝負。陸人は真木が暗カンした牌で国士無双をあがります。なんで「国士無双は暗カンでもチャンカンで当たれる」という微妙なアガリにしたのかが謎……。真木は陸人のテンパイ形を読み切って差し込みんでいるというシーンなんだから、暗カンせずとも普通に切っとけばよいのでは……。それともオヤジも陸人と同テンで、陸人だけが暗カンで当たれるようにしたのでしょうか。いや、んなわけないんですよ、であがってるみたいでしたから。でも、オヤジが「ポクリンの目の黒いうちは国士無双チャンカンでアガることは認められないパ〜ン」とか言い出すリスクは高いですよね。そもそも真木の暗カン自体、『銀と金』の誠京麻雀のように偽装の暗カンなのかと思ってました。私の深読みしすぎだったようです。あと、このシーンについているイラストが全員少牌してるのが流石に気になるンですけど。直後に「他の三人が陸人の牌を確認している…(中略)…十四枚…(後略)」って書いてあるだけに。




ここまで随分とけなしてしまいましたので、最後に褒めさせて頂きます。

「漫画っていうのは、もっとこう派手な世界を舞台にするもんじゃねえのか? 麻雀なんか取り上げたって、誰も見向きもしてくれねえぞ」
「そんなことありません。過去にも今も、人気のある麻雀漫画はあるんです」
「へえ、物好きもいるもんだ」
 自分が仕事にしている麻雀でも、漫画にまったく興味がないらしく、麻雀漫画で有名なものもあるのに、その存在すら真木は知らなかった。

主人公! エライ!! 「そんなことありません。過去にも今も、人気のある麻雀漫画はあるんです」……これはいまこそ我々が強く主張すべき事項です。あと、主人公が連載を持っている大手出版社の子会社が出している麻雀雑誌って、キンマがモデルなんでしょうか……。




まあ、なんだかんだ言って、結論から言うと『天牌』と『天』のほうがすごいでスナ。いろんな意味で。ザッツオーフィニッシュ!!!

*1:各自自己責任にて目視確認せよ

*2:あ〜? リーチってのは麻雀じゃなくて??