TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 黒の男

渋沢さつき 竹書房 (1996〜1998)
『白-HAKU-』の外伝。「別冊近代麻雀」に連載。

┃あらすじ
煙草をくわえ、黒いスーツをまとい、そしてステッキを持った男を賭場で見かけたら、それは大鷲組の代打ち・十字猛夫である。彼は恩義を感じている組長のためならどこまでも冷酷になる。彼が闘うのは同業者だけではない。京劇の女形の中国人青年、裏賭場を仕切る新興宗教教祖の娘といったさまざまな心の闇と厳しい現実を抱える若者たち。そして、彼等を踏みにじる大人、不条理の世界。そんな日々にある区切りがつき、この物語の最後で出会うのは……。






『白』を読んだら次はこれ。十字さんのシブい魅力がてんこもりの公式同人誌(?)。悪夢のようにイケメン&イケオジンが登場しまくります。ヤクザの抗争など裏社会ものは女性にも人気がありますが、女性向けのそれのクオリティをものすごく高くした感じか。『白』は比較的万人向けの話ですが、『白』で渋沢先生のセンスが好きになった女性読者には『黒の男』のほうが楽しめるのではないでしょうか。女性のツボをかなり心得た展開です。扉絵のサービスカットもバッチリです。まあなにより、「いまから10年前はキンマにもこんなに絵の綺麗な漫画が載ってたンだねッ!」というのが泣かせてくれます……。


超ドハデな闘牌は見ていてスカッとします。キャラの超能力に説得力がある世界が描かれ切っているので、反論は一切覚えません。むしろユケ!ヤレ!。もっと超能力でもよかったですね。


超華やかなキャラばかりの中にいきなり出てきた「殺女」、同じく派手だったら逆にキャラとして沈んでいたと思うので、個人的にはあれはアリです。あれで華やかキャラだったら星と被ってしまうので。なにがアレかは実際に本書をご購入の上ご確認ください。