┃金と運 第5話 大人と子供
朽葉狂介vs原恵一郎 別冊漫画ゴラク(日本文芸社)連載
一気飲みダーツ勝負も佳境。もうヘロヘロの英悟くんは、狙いを外さない翔桜さんに「目隠し回転」の新ルール追加を提案します。ネクタイで目隠しし、スイカ割りの要領でクルクル回転、目隠しを取って5秒以内に矢を投げ、先にミスをしたほうが負けというものです。自分のターンはなんとかこなす英悟くん。一方、これしきのことはたいして投擲に影響がないかに思われた翔桜さんが矢を投げると、矢は的に当たったというのに跳ね返ってしまいます。なんと、翔桜さんが的だと思っていたのは「鏡に写った的」!英悟くんは、先刻翔桜さんがブチ割った鏡に的を写し、それを本物の的だと思わせていたのです!!!
しかし…翔桜が負けた理由は策によるものではない…
英悟と翔桜では、博打に求めるものが違うのだ…
子供は…スリルを… 大人は…金を…!
さて、そんなこんなで200万円を手に組事務所に帰る英悟くん。そうそう、忘れてましたね、英悟くんは借金5億円を抱える組の組長だったんですね〜♪で、組事務所のドアを開けると、留守番のじっちゃんと「滝沢のじっちゃんにも見せてやりたかったなあのアホヅラを!!はっはっは」と歓談している男がいました。その男とは…なんとミキちゃん…!どうやらミキちゃんはこの組の若頭だったようです。そしてそんな英悟くんとミキちゃんの前に現われたのは……、英悟くんを組長に仕立て上げ、5億円の債務を背負わせたヤクザ…、陣………!!
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そんなに髪型が気になりますか〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!トリック再来。博打列車での三井の山に鏡を仕込むトリック以上に、いくらなんでも鏡に映った的だってことくらいわかりそうですが。
しかし、今回の「博打に何を求めるのか」「子供はスリルを、大人は金を」はすごくよかったです。そう言っている主人公自身が一番スリルを求めていそうなところがいい。このテーマは、原先生の他の作品…『凌ぎの哲』や『次郎長放浪記』にも通ずるところがあると思います。今回は朽葉さんが原作でよかったと改めて思ったエピソードでした。
★そのほかの別ゴラ連載漫画★
┃天牌・外伝
困ったことがあったら、いつでも黒沢さんに相談しよう。ドラ3の四暗刻ツモりつつ優しく道を示してくれるはず。
今回の教訓→手をとりあって
┃仁侠沈没
この漫画のキャッチコピーは「大災害復讐大河」です。
法務省直轄熱川刑務所…通称・伊豆アラカトラズに閉じ込められていた謎の男。牢獄の壁が崩壊したのを機に、竜巻に身を任せて空を舞う。落ちたところは水の中。水…獣臭…、否!心ない者特有の気配…、振り返ればそこにはワニ…!!
そう、ここは熱川バナナワニ園!!!
というわけで、唐突に
「く…喰われる!い…いや!喰う!今現在己の目の前の命あらゆるものはすべて食料!鰐よ己の血となり肉となれ!」
とか言ってバナナワニ園のワニに喰らいつく謎の男が登場しました。
一方その頃、なぜか褌一丁になっている主人公と実はカポエラの達人だったキヨは自衛隊を襲撃。
文脈が意味不明なのは私のせいではありません。本当にそういう話なので仕方ないのです。天牌外伝の8面待ち並の磐石ぶりとは正反対の、この流し満貫っぷり。この漫画を読むためだけのために別ゴラ買っても全然オッケーだと思います。
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さて、熱海と言えば、連夜のエゲツない勝負が思い出されます。いや天牌じゃないよ。以前、映画研究会で熱海(近場なのに)3泊4日間の合宿に行った折、見事台風が直撃し、ホテルから外に出られなくなったので連日連夜大富豪していたのです。賭けるものは小銭…ではなく「暴風雨の中、徒歩20分のコンビニにタバコを買いに行く」「明日晴れたらバナナワニ園に行くか、釣りに行くか」「明日の撮影の配役」など、金よりも遥かに重要なもの。2セットのトランプを混ぜて行う大富豪はインフレ化と革命の嵐に見舞われ、面子も根性曲がった人ばかりだったのでおもしろかったです。やはりエゲツなさなくしてはテーブルゲームはおもしろくありません!