TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 天 〜天和通りの快男児〜

福本伸行 竹書房
近代麻雀ゴールド 1987.10〜2002.2連載
全18巻

その昔『近代麻雀ゴールド』かなにかでやっていた、福本伸行の麻雀漫画。赤木さんと福本先生の出世作

大学受験を目指す井川ひろゆきは、とある雀荘で、代打ちとして現われた天いう男と出会う。天を裏プロと見抜いたひろゆきは、天に勝負を挑む。勝負はひろゆきの圧勝で終わるかに思われたが、オーラス、天は天和九蓮宝燈をあがり、逆転する…。

とか出だしを書いたのはいいんですが、この漫画、なんとなく3部構成になっていて、それぞれで話が全く違っています。
第1部は人情編、第2部は東西戦編、第3部は通夜編。
それでもだいたいは「ひろゆき」という人物と、その周囲との関係がストーリーの中心になっているのですが、普通の漫画とは違い、ひろゆきは特に目立った行動をしません。ず〜っと煩悶しています。なんというか、限り無く生活まんがっぽいのです。生活まんがというのは、ごく普通の日常で起こることとそれについて思ったことを描いているわけですが、私は『天』にもそんな雰囲気があるように思います。勝負自体の華やかさより、その勝負にまつわる心の揺れ動きが話のメインとなっている印象が強いからなんでしょうか?
『天』には個性的で魅力的な登場人物も出てくるし、東西戦というジャンプもびっくりな麻雀天下一武道会的展開も出てきます。しかし結局は「それらの出来事についてどう思ったか」ということをずっと描いている。みんなかなり煩悶しています。いやいやいやここはもう振り込み覚悟で押しましょうよ と思う局面でも、ず〜っと煩悶しています。その煩悶具合がリアルで人間らしくて、すごく好きです。私も、どーしても落ちられないときって、考えてもしょうがない局面でもひとりで勝手にわたわたしたり、ざわ…ざわ…したりしてしまいます。
特に原田組長の煩悶っぷりは目を見張るものがあります。考え込みすぎです。原田組長については、組長なのにどうして代打ちなの?とか、なんであんたが自動卓修理しちゃったりなどしちゃってるんだよとか、さらっちゃえばよかったかなとか爆弾発言をしたりとか、言いたいことがいっぱいありすぎてもう何も言えません。


天の話自体について書くと長くなってしまうので、今回は東西戦での特殊ルール麻雀のルールを簡単にまとめておこうと思います。


┃東西戦ルール一覧

予選1
・ビケ殺し
 半荘終了後、その卓の最下位が脱落で抜けていく。


予選2
・トップ取り
 半荘終了後、トップを取った者が勝ち上がりで抜けてゆく。


決勝
・10巡交代制(10巡で席を同チームの次のメンバーに交代)
・満貫縛り(8000点以下のアガリの場合は流局扱い、次局へ)
・時間無制限で場を廻し続ける。ハコ割れした者は脱落。
和了があった場合、点棒はあがった人に払うのではなく、すべて供託に置く。
 つまり、点棒は減りはするが増えはしない減点法。
・点は、各自が持っている点棒から支払う。


最終決勝
・クリア麻雀
 一気通貫三色同順チャンタ七対子三暗刻を作り、はやあがりする。
・ハコ割れが出た時点で、ハコ割れ者を出したチームが負け。


二人麻雀
・通常のルールの麻雀を、2人で18順目まで行う。
・どちらかがリーチorテンパイ宣言をしたらその時点で終了。
・テンパイ者(A)の待ちを非テンパイ者(B)が推理し、2牌提示する。
 その中に和了牌が含まれていた場合、その時点で終了、次局へ。
・推理が当たらなかった場合、Aが5牌を山からツモることができる。
 5牌以内に和了牌を引いたらアガリ
 5牌以内にあがれなかった場合、再びBが和了牌を推理することができる。
 Bの推理が当たるかAが和了牌を引くまでこれを繰り返し、
 山が王牌まできたら流局。
・Aが5牌引くツモの和了見逃しは可能。
 和了牌を引いた場合、その牌は卓に伏せておく。
・テンパイ宣言後のカンは可能。
・親は最も最近の和了者に発生する。