TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 花牌ギャル

┃ あらすじ
今春K大を卒業し、ナルシス出版に入社した九条修は、憧れの女性ファッション雑誌「ナルシス」編集部に配属された。美人先輩たちに囲まれまくってムフフな毎日を送る修だったが、ある日、綾子先輩に誘われ、美人先輩たちと打った麻雀でボロ負けを喫してしまう。給料日前で負けが払えない修に、綾子先輩は「セックス約束手形」での精算を迫ってきて……!?(「オフィスの花牌」より)




ブコメエッチ麻雀漫画。
「牌テクニックの面白さで迫る、若さでハネマン大勝負」(原文ママ)。




古典的なラブコメの麻雀版といったエピソードを集めた短編集。地引かずやの描く女の子はかわいく、話もそれぞれきっちりまとまっている。開業医の次男坊が自分とこの病院で働くナース3人に手をつけてしまい、兄貴たちに怒られ麻雀で嫁を決めることになる話、女子校に赴任した新米男性教師が女子生徒に値踏みされる話、証券会社に就職を希望する青年が麻雀仕手戦(ホッカイドウ)の馬になる話など、シチュエーションがバラエティに富んでいて、あらすじ自体は単調なラブコメながら飽きない。そんな中に唐突に「まで手なりの進行だが次にと脂っぽい中張牌自摸切っている 筋待ち臭いな… 嵌それにあたりか」と神妙に麻雀解説が始まり、何がなんだかな様相を呈している。麻雀にさほどのウエイトは置かれていないものの、麻雀のシーンに不自然さ・わざとらしさがなく、ちゃんと軽く読み流せるレベルに達している。




吉田幸彦+地引かずやコンビの名作として『50円の青春』がある。でも、これは相当青くさい話で、バブルなんか知ったこっちゃねえナウなヤングにはちょっとキツイ。地引かずや作品の中から選ぶなら浜田正則原作の『ALL LAST』が一番面白い。ほか、北野海人『雀ゴロ血風録 烈』もそこそこ面白い。ほか、津流木詞朗原作『賭けゴロ』でも麻雀のエピソードが入っているらしい。地引かずやは昔原作なしで「特選麻雀」に麻雀ものラブコメを描いていたが、あれはほんっとひどかったわ。地引かずや、正統派劇画に転身して正解。