2009年に雑誌掲載または単行本発刊された優秀な麻雀劇画に、私の気持ちを贈ります。
┃ 大賞
来賀友志+嶺岸信明「麻雀群狼記 ゴロ」
来賀嶺岸の新連載。1980年代の第二次麻雀ブームが舞台、主人公・安斉をはじめとした登場人物のモデルは実在の麻雀プロと言われている異色作。
来賀さんの新連載がある……ということだけは過去に頂いたコメントで知っていたが、まさか近代麻雀で、しかも作画が嶺岸先生で、ド直球の麻雀漫画だとは。感激*1。それでこそキンマ。確かにこれはゴラクでは出来ない。ヤング男子がわらわら固まって何ぞしているあたり、はじめは『鉄砲』みたいな話になるのかと思ったものの、ストーリーは予想外の方向へ転がっている。今後が最も楽しみな作品。
┃ 作品賞
土井泰昭+嶺岸信明『代打ちたちの晩夏』
昨日今日始めた若造とは麻雀の深みが違う麻雀劇画。本当に延々と麻雀しているというキンマ以外での掲載は絶対無理な濃い内容、前作がありながら前作を引きずらず単品として読める仕上がりになっていた点、いずれも素晴らしかった。土井泰昭にはヤクザ漫画ではなく麻雀漫画の原作をやって欲しい。だってこの人、ヤクザが出てくるとめっちゃ投げやりになるし……。
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┃ 特別賞
南波捲+伊賀和洋『メジャー すべてを麻雀に捧げた天才!!』
- 小池書院 上下巻(ペーパーバックコミック)
- 初出 1995年頃の近代麻雀系列誌
竹書房からは単行本が1冊だけ出て未完となっていた作品。今年になって小池書院から完全版が電撃刊行。マイナー麻雀劇画が復刻された極めて珍しい例。麻雀劇画としておもしろいので、出来れば竹書房に復刻して欲しかった。
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┃ カンドラ賞
かどたひろし『威打天』
小池書院の麻雀漫画電撃復刊シリーズその2。『打天使』の外伝で、竹書房からは未単行本化の作品。復刊するまで存在自体忘れていた。『打天使』も小池書院版は完全収録しているらしい。次の復刻は『花引き』完全版を希望。なお、近オリ時空の果て電撃復刻ものとしては、1993〜2005年に時々掲載されていた上野顕太郎「漫画麻雀」が『謹製イロイロマンガ』(ぶんか社)に収録されて刊行されている。