TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 麻雀太閤記

原麻紀夫+鳴島生 芳文社(1981)
全1巻

┃あらすじ
田舎の中の下流家庭に生まれた南条哲也は野望に燃える高校生。その野望のひとつめのステップとして、彼は東都医大への進学を目標においていた。彼はその進学費用・学費のため、麻雀で金をかせぎつつ猛勉強し、ついに東都医大入学を果たす。そして哲也はさらなる野望へ向かい、麻雀を使っての立身出世に邁進する!




端的に言うと、「花引き」系、男闘呼の麻雀漫画。
要は主人公が豊臣秀吉のようにハマチブリ出世してゆく話だが、いろいろとカッ飛んでいるため、各話冒頭に入っているアオリ文句を読まないと話の筋をつかめない。というか、話の筋は、ない。




第1章「青春牌」では家は貧乏だが麻雀で金を稼いで勉強もして医学部で絶対現役合格を目指すぜッ! そしてバイッ! オレの初恋 オレの愛! とやっているが、第2章「風雲牌」ではすでに医学部3年生になっていて、教授には接待麻雀で取り入り、その裏で教授の妻と不倫してお小遣いをもらったりなどしちゃっている。第3章ではインターンとなって大学病院に薬を卸している製薬業者と手を結び、学長選に干渉しようとする。
テンションだけでつき進み、なにか重要なものを取り落として話が進んでいるような気がするが、重要なものなどないので問題ない。この漫画の展開への質問はそのすべてが愚問である。大人は質問に答えない。
そういうわけで、『てっぺん』を『花引き』風に語ったような感じと申し上げれば分かって頂けるだろうか、「何だか知らんがとにかくよしッッ!」な潔い大物ノリがすばらしい。




麻雀は主人公の立身出世の道具であるため、闘牌シーンは少年漫画風に派手。
最終話「立志牌」の1000点10万・サシウマ20億の麻雀で、70億負けて土地で精算することになった地主が唐突にジャンピング土下座するシーンが見どころ。




名場面集
↓哲也はドグサレ教授相手の接待麻雀で天和を引いてしまい、倒牌できずにいる。ドグザレ教授が言う感慨深い一言に注目。さすが医学部の先生は言うことが違う。



↓天和は倒さないが、教授の夫人には押し倒される主人公。そして天和なんかよりずっといいお小遣いをもらっていたりなどする。下は教授夫人に「あ〜れ〜」をするの図。青少年には厳しいものがあるが、麻雀漫画では主人公は年上にモテるものなのだ(やや嘘)。



↓主人公の恋人・宇以(うい)。お姫さまカットだが口調がズベ公。プッツンな主人公についてこられる唯一の女。プッツン。