TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 TOKYO GAME(トーキョーゲーム)

青山広美 竹書房 (1993.3〜1994.11)
全2巻

トーキョーゲーム 1 (近代麻雀コミックス)

トーキョーゲーム 1 (近代麻雀コミックス)



またもや機会を頂いたため、読むことが出来ました。人様の恵みを受けて生きています。



┃あらすじ
荒廃した近未来の東京。ここでは、命を賭けた麻雀勝負「トーキョーゲーム」が絶対の掟であり、それが世界の秩序となっていた。そんなゴルゴダ・タワー(都庁)に現われた「青い星」と呼ばれる謎の男。彼は、通称「ハレルヤ」と呼ばれる不老不死の薬を持っていた。もとはと言えば、世界の混乱はこの薬のためだ。青い星と臓器屋の青年「トリ」は、ゴルゴダ・タワーの最上階にいるというハレルヤの発明者「椅子の男」を倒し、この世界の秩序を破壊するため、ゴルゴダ・タワーを登る。ゴルゴダ・タワーの各フロアには、様々な過去を持つフロアマスターと呼ばれる勝負師がいる。彼らをトーキョーゲームで倒さねば、最上階に辿り着くことはできない。さて、青い星とトリは彼等フロアマスターを下し、最上階の「椅子の男」のもとへ辿り着くことができるのか?そして、そもそも「青い星」は何者なのか?





SFという、かなり浮ついた設定なのに、なぜか地に足がついていて、とてもおもしろかった漫画。牽引力がある。なんでそんなんなってまで麻雀してますかという疑問はあまり湧いてきませんでした。ものすごいハッタリの効き具合です。すでに「じゃあ麻雀で勝負だ」に疑問を覚えない。あがりの形が超絶的でも何も思わない。単純に漫画としておもしろかったです。こう言っては悪いけど、普通の漫画誌に載っていたほうがよかったんじゃないのかな。そういう意味でおもしろい漫画です。



個人的には可愛い漫画だなと思います。「椅子の男」は、ちょっと『オズの魔法使い』っぽいですね。あと、トリは女の子なのかと思っていました*1。このあたり結構可愛らしい話だと思います。私は残酷な描写に対して喜びも引きもキモがりもしない人間なので、残酷描写に関しては正直申し上げてどうでもいいです*2



この作品は、雰囲気が『真・女神転生』に似ていますよね。影響云々を安直に申し上げることはできませんが、当時はこの手のサイバーパンクが流行っていたのでしょうか。世界観は『真・女神転生』で、背徳感は『真・女神転生2』っぽいですね*3
と、それはそれで置いておいて、この漫画は(テレビ)ゲーム的な発想のある漫画だと思います。作者が意識しているのかどうかは私にはわからないけれども、その点は今迄に読んだ麻雀漫画と決定的に違うと感じました。ほかの漫画でもそうだと思いますが、ある程度最近の漫画だと、映画的であったり小説的であったりする漫画以外に、ゲーム的な発想のある漫画が現われてくる(それ以前にアニメ的な要素のある漫画もある)。具体的に言えば、キリスト教的世界観を示す言葉をモチーフ的に使う点。これをゲーム的と言ってしまうのはまずい気もするが、ひとまずそう呼ばせて頂く。こういったものにたいして、安直だとか軽率だとか揶揄されることは多いが、私の解釈では、単に言霊として使っているだけだと思うのだ。世代的にそうなのだと思う。言葉とその指し示すものは既に乖離している。その言葉自体はテーマではなく、ただのモチーフでしかない。バランやパセリやミントみたいなもの。その衒学的っぽさがよいのかな。衒学的ではないけれど。
しかし、こういった言葉の使い方は、記号論ではどのように解釈されるのでしょうか。記号論ではこう言われます。言葉とそれが指すものの間には必然性がない。つまり恣意的な関係であると。よくわからんけど*4




また、世界観の構築(及び設定)が異様にしっかりしているという点についても注目すべきであると思います。世界観の構築に力を入れるのは、現代的な傾向らしいです。世代的に、そうらしい。これもゲーム的であると思います。TRPGの影響もあるのかな。作者は別に若い人ではないそうですが、作風は若いですね。多分私は、作者の年令の半分くらいの歳だけれど、ある程度感覚を共有できる気がします。というわけでこれは現代的麻雀漫画なのでしょうか?




ところで、「荒廃した近未来」というのは、いつごろ、どこから(或いはどの作家から)生まれてきたイメージなのでしょうか。私はSF小説を読まないので、知識が浅いので、『メトロポリス』『ブレードランナー』やら、ダイレクトなインパクトの度合いでは大友克洋?などと思ってしまいます。このようなサイバーパンク的世界観もまた時間が経てば「レトロフューチャー」のひとつになってゆくのでしょうね。或いはもう「レトロフューチャー」なのでしょうか。今はアジアっぽいバロック的空間*5が「タイムリーな」近未来なのかな。アニメとか見ないからわかんないけど。しかし、「レトロフューチャー」は、とてもおもしろい概念ですよね。

*1:理想雀士(田中っていうな)を女の子だと思い込んでいたのに続きまたも同パターンの勘違い

*2:しかしそれでも『タクティクスオウガ』1章ラストの嵐のバルマムッサでは、住民を殺せる人間ではありません。しかしカチュアは見殺しにしようかと一瞬本気で思った。目の前で自殺って、最強だ。

*3:未プレイですが、昔セガサターンで出た『バロック』というゲームも雰囲気が近いようなそうでないような。内臓どうこうってとこだけ。

*4:私は、おそらくもっとも簡単な記号論の入門書、池上嘉彦記号論への招待』(岩波新書)を読んでも、招待されるどころかドレスコード不適格(おつむがふそく)で追い出される。

*5:攻殻機動隊』とか?士郎正宗の描く近未来は東洋的ですよね。