TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 食いねえ食いねえ…寿司食いねえ!!

原恵一郎+阿佐田哲也『次郎長放浪記』1〜2巻 リイド社

『COMIC乱』で連載中の原恵一郎+阿佐田哲也『次郎長放浪記』の単行本1・2巻が同時発売されました!単行本になるとは夢にも思っていなかったので本当に嬉しいです。1巻には清水からの旅立ち〜柘榴殿双六・前半、2巻には柘榴殿双六・後半〜関東丑吾郎編までが収録されています。


┃あらすじ
清水の裕福な商家の養子・次郎長は、あるとき旅の僧侶に「25歳までしか生きられない」と告げられたのを切っ掛けに、その平穏に過ぎてゆくはずだった人生を投げ打ち、博打の世界へと身を投じてゆく。


『酔いどれ包丁』(単行本タイトル『諸国グルメ放浪記』)終了後に連載が開始された『次郎長放浪記』ですが、こちらはいろいろな意味でかなりカッ飛んでいます。有名な「清水の次郎長」の話を原案にした阿佐田哲也の小説『次郎長放浪記』を原作にして…とのことで、正直言って申し訳ないのですが、原作はほんと原案程度で、完全に原先生の世界観が炸裂しています。別に『凌ぎの哲』もそうだったので今さら驚いても仕方ありませんが。博打ものというわけで、かなりアツイ勝負の世界が繰り広げられます。私は実際の連載は柘榴殿編の途中から読み始めたのですが、当時、あまりの勝負のアツさに、立ち読みしていたコンビニで吹いてしまいました。


今回刊行された単行本に収録されている中で特におもしろいのは「柘榴殿双六」編です。

柘榴殿双六編
本来幕府によって禁じられている博打が特別の認可状を以て開帳されている賭場「柘榴殿」。その主・久六は、絶対的強運の持ち主・石松とともに、負けが込んで行く先もなくなった博徒たちを破滅させていた。尾張藩の武士・山本政五郎は、賭場で出会った次郎長を助っ人に、柘榴殿に囚われの身となった家老の子息・幸信を救出するため柘榴殿へと乗り込む。柘榴殿の胴を順々に潰していった次郎長は、ついに柘榴殿の地下にある狂気の遊戯場へと招待されることとなる…。

柘榴殿双六は、巨大な奈落の上に橋のように巡らされた升目状の足場を遊戯盤に、生身の人間をコマにして進む双六です。つまり超本気ジュマンジといったところでしょうか。ふたり一組で行われ、遊戯盤の上を進む役とサイコロを振る役に別れてゲームを進行させ、どちらのチームが先にあがりに辿り着けるかを競います。サイコロは2つあり、片方は普通の数字が書かれたサイコロ、もう一方は「進」「戻」「休」「沈」と書かれたサイコロで、このふたつを同時に振り、進むか戻るか休むか、或いは永沈(ようちん=奈落に飛び下りる=死)かを決めます。また、遊戯版の足元には道具が仕込まれているマスもあり、刀やら弓やら木の棒から干し柿やら長芋まで、そこに仕込まれた様々なアイテムを拾えば、敵を攻撃することも可能です。かなり色モノなルールの博打ですが、原先生独特のノリでアツい勝負が展開されます。



それはさておき、以下は個人的みどころです。

  • 次郎長は森サブに見える。
  • 石松は達磨ハンに見える。
  • 大恩寺(権々会が開帳されていた寺)の和尚と大九郎のトチ狂ったところを悪魔合体させたかのようなキャラをしている変態発狂ジジイ・久六の、「狂気の花を咲かせたのである」シーンは実に素薔薇しい。
  • 10個のうち5個に毒が仕込んである鉄火巻きを食い合うというロシアン寿司ルーレットをする次郎長と石松。そこで石松が一言、「食いねえ食いねえ…寿司食いねえ!!」。使い方間違ってる。
  • ほかにも石松グルメ変態ギャグがすごい。ギャグじゃなかったらごめんなさい。
  • この漫画ではサイコロは食べ物。
  • 政が●●を●●●るシーンは、『凌ぎの哲』が連載終了した時期とカブるだけに、何かの暗喩のように見えて仕方がない。
  • 私は「石松は吃音の癖がある」という設定をすっかり忘れていました。チャイ!