TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

文楽 4月大阪公演『妹背山婦女庭訓』国立文楽劇場

渡世上あまりに許しがたきことがあり、気分転換で突然大阪へ行った。

文楽劇場へ行ったことがなかったため、どういう席がいいかを国立劇場のチケットカウンターの方に相談した。文楽専用の舞台のしくみ(舟底構造)、字幕システムの東京との違いのほか、人形を観るのに適した席、床付近の席にした場合のリスクなど、大変親切に教えて頂いた。係の方が文楽劇場へ行ったことあるということで、色々劇場の詳細を聞けたのもよかった(二等席や幕見席でも結構見えるとか)。それはともかく、チケットが直前手配になったにも関わらず、土休日なのにいい席が残っているのが衝撃だった。係の人によると、ここまでいい席が残っているのはキャンセルが出たのでしょうとのこと。しかし実感としては東京よりは席が取りやすい感はある。

 

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演目は『妹背山婦女庭訓』の通し上演。午前の部(久我之助、雛鳥まわりの話を再構成)は前方かなり下手側の席だったが、「山の段」で上下両側に床が並ぶことを知らなかったのでびっくり、「山の段」開演したら床にものすごい近い席。セットの大掛かりさにも驚いたが、太夫さんの語り、三味線、琴を聞けて間近で良かった。……って小学生の夏休みの日記みたいなことを書いているが、大阪11時開演に間に合うように行くのに東京7時台発の新幹線に乗ったせいで冒頭若干スヤってた……。でも吉田簑助様(配役・雛鳥)が出てきたところで可憐さに驚いて起きた。簑助様は可憐さがすごかった。クリーム大福のあんのようなパステルあずき色のお着物がよくお似合いで、周囲にかすみ草がフワフワ浮かんでる感じの可憐さだった。あの可憐さ、私も大いに学びたい。

ちなみにこの午前の部で初めて本物の玉男さんを見る(配役・大判事)。よかったね自分。

午後の部(お三輪まわりの話を再構成)。一度床の近くに座ってみたかったので床の真下の席を取った。間近だと三味線の音の聞こえ方がまったく違うことに感動。音かかなり綺麗に聞こえる。三味線弾きさんが上演中に弦を張り直していらしたのをじ〜っと見つめてしまった。

そしてなによりお三輪(配役・桐竹勘十郎)の可憐さに心奪われた。上手のいちばん端っこから観ているので人形の見えづらさは厳しかったが、よく言えば、人形遣いが人形の影に隠れて、人形がひとりでに動いているように見える。ああ~っかわいいぃぃぃぃぃ~~!!!!!と転げ回った。

動物シリーズ。今回は午後の部冒頭に「鹿殺しの段」という段の上演があり、その名の通り、芝六が矢を射って鹿を殺す場面なのだが、その鹿のぬいぐるみが本当ぬいぐるみ状態、体が毛足長めのファーでできていて、モフモフのかわいすぎで笑った。

 

2月東京公演は?????のうちに始まって終わった部分もあったが、まる一日通しで見たことにより、少し文楽の世界になじむことができた。

なにより楽しかったのは、大阪のお客さんの反応。みなさんキャッキャしてて、コロコロよく笑って、客席の雰囲気がよくて。チケットカウンターの方や文楽ファンの方が「大阪は本場だから」と仰っていた意味がよくわかった。劇場そのものも広く、展示室も楽しくて、大阪まで行って本当良かった。

あと売店で売っているお弁当の豆ご飯が美味しかった。それと、劇場で売っているプログラムに、演目に関してオリキャラ同士が会話するコーナーが載っているのが面白すぎた。昭和の同人誌か?

 

  • 『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』初段 小松原の段、蝦夷子館の段、二段目 猿沢池の段、三段目 太宰館の段、妹山背山の段/二段目 鹿殺しの段、掛乞の段、万歳の段、芝六忠義の段、四段目 杉酒屋の段、道行恋苧環、鱶七上使の段、姫戻りの段、金殿の段
  • http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/bunraku/2016/4920.html