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TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 赤い鷹

昭和の銀幕 1965 松竹


 新聞記者モノを仁侠映画テンプレでミュージカル映画化したという謎の一本。

┃ あらすじ
 やんちゃな若手新聞記者・雄次(橋幸夫)は若者にハヤリのゴーゴーバー、モンキークラブに潜入取材中、「新子」という娘(倍賞千恵子)に出会う。雄次と意気投合したシンコは彼をホテルへ誘い、睡眠薬遊びを提案してくる。睡眠役入りの酒をあおった雄次はバタンキュー。翌日二日酔いでフラフラになりながら出社すると、他社新聞にモンキークラブで踊る雄次の写真が載ってしまっていた。記事の署名は「風間」、早速帝都新聞にクレームの電話をかけたところ、その「風間」という記者は昨夜睡眠薬遊びで雄次を昏倒させた「新子」その人だった! 新子の取材テーマ「新旧ヤクザの生態」に興味を持った雄次は同じテーマで取材を始めてしまったものだから、行く先々で彼女とハチ合わせ、仲良く喧嘩するハメに。
その頃、木場は移転問題と組合設立で揺れていた。木場は地元ヤクザ・巽組が仕切っていたが、巽組は木場移転に反対し、更には職人たちが五味というヤクザから不動産屋・陸上運送会社社長に転業した男の煽動で組合を作ると言い出したのに反対していたからである。巽組に取材に行くと組長・政吉(待田京介)が丁度木場移転の審議会に出かけていくところだった。もとから喧嘩腰の雄次に若衆はいきりたつが、代貸・鶴松の対応によりその場はことなきを得る。
雄次は巽組の古い体質を批判する記事を書くが、デスクにして大学ラグビー部OBの泉太郎(菅原謙二)はその原稿を没にしてしまう。ヤケ酒をあおっていた雄次は、お色気流行歌手・南風あぐりの紹介を受け、「週刊トップ」という三流実話誌に原稿を持ち込んだ。酔いどれ編集長(金子信雄)は喜んでそれを採用し、雑誌は大売れ。鼻高々の雄次だったが、五味が木場移転に伴い予定地の買収をしていること、真田組と内通し実質はヤクザであること、さらには巽組の若衆をスパイとして利用していることを知る。雄次は五味を批判する記事を書くが、出来上がってきた雑誌は五味を褒め讃える内容になっていた。実は「週刊トップ」は五味の資本であり、巽組が邪魔な五味の巽組ネガキャン雑誌だったのだ……。

 新聞記者・橋幸夫が主人公の歌謡映画。新聞記者が主人公の仁侠映画プロットでミュージカル仕立てという時点で悪魔合体すぎてすごいが、結論から言ってしまうと「悪を倒すのはペンでも暴力*1でもなく、歌!」という展開があまりにすごすぎた。東映の仁侠映画よろしく悪玉ヤクザの根城キャバレーに殴り込みをかけた善玉ヤクザ・待田京介。そこに突然橋幸夫が割って入ってきて「残侠小唄」を歌い出すと、待田京介が一緒に歌いだし、彼の子分、ひいてはキャバレーに招待されていた木場の職人達までもが合唱しはじめ、ついには悪徳やくざたちがキュウとなってしまうのである。*2
 ちなみに、題名の「赤い鷹」というのはラグビー部の部歌。OP、EDと、劇中に挿入されるどじょう屋での宴会シーンで歌われる。この映画、歌を突拍子もなく歌い出すのだが(なんか間がヘンなのだ)、しかもそれがうまいのがヤバい。*3

 こう書くとバカ映画だと思われてしまうかもしれない。けれども、そんなことはまったくなく、極めて真面目な歌謡映画であり、歌で悪徳ヤクザが退治されるさまには何の違和感もない。いや、さすがに仲裁に出てきていきなり歌いだすのはあまりに唐突すぎて笑ってしまったが、一瞬にしてそれもなじんでしまう娯楽映画の魔術。そんなこともあるかもネ☆と思わされてしまった。話も「お前、何も考えてないだろ」というほどド安直で最高だった。安直であるがゆえおもしろいという職人芸を堪能できる。



 


参考

 
 
 
 

*1:『捨て身のならず者』という高倉健主演の映画では、トップ屋・健さんは親友にして新聞社デスクの宍戸錠に何度も「記者ならペンで戦え!」と忠告されたにも関わらず、俺はペンでは戦わないと言い張って暴力で敵を倒していた。東映すごいと思った。

*2:いやー、私、マクロスって観たことないんですけど、こんな感じなんですかね。マクロスも。歌で戦うんでしょ。マクロスって。知らないけど。

*3:歌謡映画で突拍子もなく歌いだして、それが台詞を歌っているとかいうニュアンスではなく、劇中でもリアルに歌ってる設定になっているという作品で有名なのは渡哲也主演・鈴木清順監督の『東京流れ者』だと思うが、アレはアレだな、渡哲也がいまいち歌上手くないから間が持ってるんだな。あれで上手かったらやばいな。