TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 ハッカー

来賀友志[原作] + 峰岸とおる[作画] 日本文芸社(1989年単行本発行)

  • 「麻雀ゴラク」連載(おそらく初期の連載)
  • 全2巻(上下巻)

 

┃あらすじ
高校教師・井崎は昼間はボンクラ物理教師だが、夜は凄腕の代打ち「ハッカー」だった! 彼に憧れる女子高生・あざみとともに、麻雀で難事件を解決する。今回の依頼は、アフリカのモーリル共和国とスロリ共和国から来る首相ふたりを麻雀で接待すること。最近両国では油田が発見されている。日本国政府は両国と良好な付き合いがしたい。しかし両国の首相は犬猿の仲である。そこでハッカーに「半荘一回を不自然のない形で同点終了させろ」という依頼が来たのだ。同点終了の可能性はわずか2%。ハッカーはこの難問にどう立ち向かうのか。




学園コメディ麻雀漫画。
昼はボンクラ、夜は最強の代打ちという超王道設定の主人公がいろんなことを麻雀で解決する読み切り形式の作品。単に麻雀の強さでゴリ押しするのではなく、その強さで何をするのかというところがポイントになっているので飽きない。プロットに重きを置く方向性は現在連載中の『雀首』に近い。
ハッカー」はその名の通りハッカーであり、第一話では全自動卓をハッキングして積み込みを行う。コンピューターに強いという設定ながら麻雀が強いのは麻雀漫画では珍しい(但し、今でいうところのデジタルなわけではない)。
特筆したいのはヒロインがまっとうにかわいいこと。本作のヒロイン・あざみは超能力(というか、いわゆる絶カンが恒久的に冴えている状態)で危険を予知できる能力の持ち主。かつ、麻雀がめちゃくちゃ強い。おそらく本作の登場人物の中ではハッカーに次ぐ強さだろう。まともなヒロインが登場するのも来賀作品にしては非常に珍しい(失礼)。




上記の通り、どうやって勝つからポイントになっているあたりに来賀作品らしさがある。通常の連載ものでは光りすぎて盛り込みにくい闘牌(ハイライト的な何切るなど)や雀ピューターや新式全自動卓、ゲーム会社の社員など、当時ナウかった(?)ものや当時の風俗が登場するのもおもしろい。

それにつけても昔の来賀先生は尖っていなさるというか、すごい。とりあえず、すごい麻雀で感心させて核ミサイルの発射を止めたのは本当にすごいと思った。いや、正しく言うと「すごい麻雀で感心させた結果、核ミサイルの発射を止めることができた」なのだが、そんなん誰も思い付かねえ。




現在連載中の作品を除き、この作品で単行本化されている来賀麻雀漫画作品のレビューは完了。麻雀漫画以外の作品も一作品を除きすべて終了している。その未レビューの一作というのは、原作クレジットなし*1の作品なんで、気付いていない人もかなりいると思う。少なくとも私は来賀先生から教えて頂くまで知らなかった。というわけで、その作品が何か知りたい方は夏コミで同人誌買ってください。←やり口がエグい

*1:一応「協力」でクレジットがついているが、非常にわかりづらい表記になっている。