TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 ステップ

五条敏[原作] + 一ノ瀬正[作画] 竹書房(1993)
全2巻(未完)


┃あらすじ
パチンコ好きの高校生・栗山茂の姉が結婚することとなった時、銀行員の父が勤め先から大金を横領して失踪した。この事件によって一家の生活は一変。犯罪者の家族として後ろ指を指され、姉と母は福岡へと身を隠す。高校を退学した茂はパチプロとして一人立ちすることを決意して、東京のパチンコのメッカ・蒲田に降り立った。




青春パチ道一直線。(←サブタイトル)
原作・五条敏となっているが、こちら来賀友志の別PNということでご紹介。『あぶれもん』のパチンコ版的な感じ。




私、パチンコは全然やったないので全くわからないし、パチンコ漫画も読んだことがないので、パチ漫画としてどうかということは不明。正直、私はパチンコにいいイメージを持っていないし今後やりたいとも思わないので、読めなかったらどうしようと思った。パチンコの機種名とか割数とかの専門的なことは全然わからないため、もはや何を言っているのか将棋漫画以上にわからないシーンも多かったが、世間では無為とされるものへのかけがえのない情熱という点はほかの来賀麻雀漫画と似ていて、パチンコを若者が熱中するもの・情熱の対象として描かれており、そこに感情移入がきて読みやすい。




はじめは釘の並び方や台の傾きがウンタラ……という話が多く、主人公がトレペをパチンコ台のガラスに当てて釘をトレースしたり、ハンマーを愛おしそうに握って寝入ったりしていたので釘師漫画になるのかと思った。しかし、序々に軌道修正してパチプロ漫画に。第六感で良い台を見抜くことができる菊多系の弟分キャラ、主人公のパチンコの師となる人物、旅打ち先の名古屋で出会ったデジパチプロなど、様々なキャラクターが登場するようになる後半はにぎやかでかなり読みやすくなった。




もめごとの白黒はパチンコで勝負をつける等、麻雀漫画セオリーの勝負もあっておもしろい*1
しかし、他のパチンコ漫画ってどうなっているんだろう。こういうノリが普通なのだろうか……。
麻雀漫画にはたまに手積み/自動卓の移行期を描いた作品*2があるが、これは羽もの/デジパチ移行期が舞台だったらしく、主人公はデジパチにも挑戦している。デジパチ(現在はパチンコ台のなかで最も多い)って、漫画栄えしなさそう……。麻雀漫画以上に、パチンコ(麻雀漫画なら麻雀)それ自体で話を持たせるのはキツそうだ。麻雀漫画では自動卓がメジャーになって以降、竹書房の台頭もあってイカサマ重視より闘牌重視の麻雀漫画が繁栄したけど(それも衰退して麻雀以外の要素を重視するものに移行してきている)、パチ漫画の歴史はどうなっているんだろう。




単行本未完なので、主人公が悲惨な境遇のまま終わっており、後味があまりよろしくないところが哀しい。雑誌連載(クレジットがないので初出不明)はちゃんと終わっていたのだろうか。このままでは主人公が可哀想すぎる……。




主人公に惚れているパチ屋の娘のアグレッシブかつ突拍子なさすぎの行動には驚いた。主人公の姉ちゃんも婚約者に逃げられたものの速攻違う人と結婚を決めるなど、女性キャラ陣、かなり割り切りが早い。ある意味リアル。




あとは主人公の姉の旦那が言う、「田舎ではパチンコしか娯楽がない」というのは真実味を帯びている。

*1:夜遅くに電車に乗ると、車内やホームで喧嘩をはじめて電車を運転見合わせにさせるという心底頭が悪そうな兄ちゃんがよくいるが、そんなに勝負をつけたきゃ今すぐこの駅で降りて、雀荘で正々堂々勝負すりゃあいいじゃねえかと思う。そしてたまたま同卓していた黒沢さんに「下らねえことで神聖な勝負を汚すんじゃあねえ!」と叱られてラーメン屋で修行して改心するがよい!

*2:たとえば、土井泰昭・原作、甲良幹二郎・作画の野良犬がどうたらというタイトルの未単行本化の漫画。載ってたのは10年くらい前のキンマで、短期連載で3話のみ。手積み時代の勝負師でありながらイカサマをよしとせず、清く正しい勝負を突き詰めていたため自動卓時代にも生き残れた若き勝負師の話。土井原作らしく、最後は主人公っていい人!オチでした。これと『狼の凌』の未単行本化分をくっつけて『狼の凌』2巻を出して欲しいです。そしてアカギは当時から鷲巣麻雀をやっていました。デ☆ジャ☆ヴ! とえらそうに書きましたが、さすがにリアルタイムでは読んでいません。