小池一雄+小堀洋[原作] + 神江里見[作画] オリオン出版 1974
全1巻
┃あらすじ
ある麻雀の席に居合わせた朝田徹夜、島武彦、古川の三人は意気投合して「麻雀新撰組」を結成した。三人がくり出したのは新宿の歩行者天国。ここにパラソルを立てての青空麻雀で、最も早く天和を「作った」者が局長に就任するのだ。三人のまわりは早くも黒山の人だかり。この衆人環視のなか、誰にも気取られず「天和」を仕込んだのは……!? (「麻雀新撰組」より)
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麻雀新撰組をモデルとした麻雀漫画。
今回ご紹介するのはオリオン出版版だが、ぺップコミックス版だと2巻まであり、伊賀一洋(和洋)作画の作品も収録されているとのこと。
(ちなみに左上のコマ、右から古川、朝田、島。)
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登場人物の朝田、島、古川はそれぞれ阿佐田哲也、小島武夫、古川凱章がモデル。協力としてこの三人の名前も載っている(なぜ古川凱章だけ変名でないのかは謎)。だが、実際の麻雀新撰組の活動に基づいたエピソードはなく、はじめに阿佐田自身が言っている通り、好きなときに集まって好きなことをやる「気まぐれグループ」のほわほわ日常を描いている。まあ、言ってみれば『げンしけン』の麻雀版かなッ!
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収録8作中7話は、小堀洋原作。小池一雄原作は「尻切りおりゅう」1作のみ。
尻切りおりゅう
朝田は若き日に雀荘でコテンパンにされた女雀士「おりゅう」の思い出を島と古川に語る。朝田は着物から覗くうなじと二の腕に見とれてついに彼女のイカサマを見抜けなかった。あるとき競馬場で「おりゅう」と再会し、数十年越しの勝負を挑む。しかし雀荘に現われたのはなんと若き日とまったく同じ姿のおりゅう。それはおりゅうの娘、「おきょう」だった。彼女がおりゅうから受け継いでいたのは容姿だけではなかった……。
麻雀は主題ではなく、麻雀をめぐる人々の人生模様が主題。この手の麻雀漫画はいまは滅んでいるが、しかし、74年の時点でこれだけしっかりした内容なのはすごい。小池原作以外でも今読むにも耐えうる内容で、こういったものがベースとなって『下駄を履くまで』等に進化していったことがわかる。
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麻雀はブー麻雀主体かと思うが、はっきりわかるシーンがない。
はっきりとルールに言及があるのは以下の「一風麻雀」(東風戦)。
一風麻雀
ほか、脱衣麻雀をしたりとなかなか盛り上がっていなさる。脱衣麻雀って、70年代前半からあったンですね……。
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神江里見の絵がかなり初期のもので、後年あんなにもうまくなるとはとても思えないくらい下手。
以下はこの作品とは全然関係ないンですが……。私、『気怠く彦次郎』が3巻まで出ていたことをいま知って大ショックなンですけど……。いま小池書院から出ている復刻版には全部入っているのでしょうか……。なら買うしかないンですけど、あれの2巻、表紙の彦さンが『花警察』以上に類人猿化していて、小生、泣きそうなンです……。だって彦さンは私のなかでいけめンの最高形なンだもン……*1。
ちなみにこの本のカバー裏袖にある著者近影を見ると、若き日の神江里見は、彦さン系のハッキリした顔だちのはンさむでした。
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おまけ
↓初登場からいきなり上半身裸の朝田せンせい! さすが!!
↓後ろにいるバニーちゃんはただおもむろに乳に手を当てているわけではありません。こういう通しなのです。
*1:あ、もちろン遼ちゃンのことを忘れたわけじゃないよ。あと中釜さンも。