TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 弾丸闘牌 凌駕 RYO-GA

渋沢さつき+山本修生[原案] 竹書房
近代麻雀2000年6/15号〜2002年8/15号 連載
全4巻





┃あらすじ
総社組若頭・函南羚子のもとに、組の雀荘にガサ入れが入るとのタレコミが入る。裏口から脱出する函南を誘導した警官……、彼こそが総社組の「パートタイム」代打ち、凌駕だった。出世頭のエリート警官であり、ラッドファイアピストルのオリンピック強化選手であったはずの凌駕がヒラ巡査に降格され、ヤクザの「パートタイム」代打ちをしている理由にはある事件の影があった。銀行強盗人質事件の現場で、凌駕は錯乱した犯人を独断で射殺。人質だった女性は精神的ショックで歩けなくなった。彼は人質だった女性・美魚子の療養費を稼ぐ為、本職は警官のまま「パートタイム」で牌を握っていた。やがて凌駕は銀行強盗事件の犯人の兄・クリンザーらを知り、事件の真相である会員制オンライン麻雀システム「RIMBO」に近付く。






ガンアクションの緊迫性を闘牌シーンの演出に持ち込んだ、ビジュアル系&スタイリッシュ麻雀漫画。
女性キャラが非常に魅力的で、とくに総社組若頭・函南羚子は主人公・凌駕に匹敵するほどにカッコよい。これは他の麻雀漫画にはない要素。




ガンアクションと闘牌をクロスオーバーさせる演出がとてもよい。

闘牌と主人公の特技のスポーツをクロスオーバーさせる演出がある麻雀漫画には来賀友志+本そういち『ウァナビーズ』(竹書房)のウィンドサーフィン×麻雀がある。しかし、『ウァナビーズ』では麻雀の描き方の自然さに比べ、主人公の特技・ウィンドサーフィンの描写が脚注などの言葉の説明が多すぎて不自然なのが気になった。ヴィジュアル面だけの爽快感を出すのでもよかったのに。と思っていたら、『凌駕』では主人公の特技・射撃(ラッドファイアピストル)の競技性を完全排除してヴィジュアル面だけを抽出し演出に使っている。ガンアクションも麻雀漫画も動きというよりも、止め絵がカッコイイ。どちらも一枚絵がキマる。その止め絵のカッコよさが複合して、いい意味でヴィジュアル主体の麻雀漫画になってる。




闘牌は非常に華やか。
やたら打点が高く、裏もよく乗る。ヴィジュアル面の爽快感にマッチしていてよいが、ここまでくると役満が安く見えるのがすごい。
ただ、世界観を支える設定はあるようで、大阪弁の雀ピュータにには美魚子の天運が通用しないというところを見ると、この世界では「運」や「流れ」を持っているというのは人間だけだということがわかる。




後半のキモになってくる「LIMBO」というインターネットを介した高レート麻雀システムの設定はいま読むとちょっと微妙。イメージとしてはMJとかMFCが近いけど、作品発表当時はオンライン麻雀といえば「東風荘」の時代と思われるので、仕方ないのかね……。LIMBOは基本的には東風戦の千点十万のウマ100万300万。赤は各数牌5に1枚ずつで3枚。一発・裏・赤のご祝儀は10万。という設定がついている。ただ、オプションでつくチップが1枚1千万というのはさすがにゲームが破綻するような気が……。最終戦では赤6枚、赤にご祝儀として1000点を加えるルールがついたが「赤に1000点つくルール」は活かされないまま終了した。ここまで景気のいいルールで一面子落としとか悠長なことやってるし、謎だった。




ところでこの漫画、前半と後半で話が全然違う。どれくらい違うかというと、『南国少年パプワくん』でサービスが出てくる前・後くらい違う。
とことんやるなら、柊生は函南と日比野(または組長)の子供というのがよかったのではないかと思う。また、凌駕が段々ただの兄チャンになっていくのは作者が意図的にやっているのだからよいとして、よくわからないのが美魚子で、前半はともかく後半は『北の狼』の雪子に匹敵する意味のわからなさ。凌駕と美魚子を普通の人たちにすることを目指したためだったのだろうか……。いや、このスタイリッシュっぷりは普通じゃないが……。




もちろん渋沢さつきらしく、イケオジンもたっぷり登場。今回登場のイケオジンは、歌舞伎署署長・倉橋、最強リーグプロ・成瀬、クリンザー、最強リーグ理事長・日比野、総社組組長、カリギュラ。特に署長はスダレハゲなのにイケオジンという珍奇な例。日比野クラスのウルトラハンサムイケオジンが現実の麻雀プロにいたら、私は速攻プロ麻雀のファンになる。たとえそれが「最強リーグ」というトンマな名前の組織であっても。あとは毎回の衣装替えする登場人物たちのなかでもぶっちぎりでオシャレな函南が見どころか。個人的には着物がよかった。




おもしろポイントは表紙と扉。1巻の表紙の凌駕が江頭2:50にしか見えない。あと、2巻の扉は10年くらい前の「ファンロード」のオリキャラコーナーに載っていそうで、実によい。