TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 セイガク暴牌族

三木孝祐+新川雅美 グリーンアロー出版社(1982.1)
全1巻

┃あらすじ
竜園高校の3年生・車隼人は英語教師・桜田静とデキていた。あるとき授業をサボッて行った雀荘でバカ勝ちしたがためヤクザに目をつけられ、静を攫われてしまう。愛する静を取り戻すため、隼人は単身ヤクザに勝負を挑む。




ちょっとよろしいでしょうか。『セイガク暴牌族』というタイトルは「暴牌」と「暴走」とかけているものと存じますが、ちっとも「族」じゃありませんね。隼人は孤高の一匹狼で、唯一のおともだち・松川くんがピンチになっても仲間意識で助けに行ったりなどしません。隼人はパラリラ系の暴走はしてませんが行動は暴走しておりますので、「暴走」にイチャモンをつける気は毛頭ございません。




というわけで、学園もの麻雀漫画。おそろしく風紀の悪い竜園高校を舞台に隼人が麻雀と暴力とその他色々で大暴れする。絵は叶精作がロンダートで着地失敗したようなクドい劇画絵で非常に巧い。
バイオレンスな話が続くが、隼人の友人・松川くんがほのぼのしているため救われている。松川くんは、テニスをしている清純女子高生をナンパしようと近付いていったら女子高生は実は清純どころかマジで恐いスケバンで全裸に剥かれて締め上げられたり、旅行先の旅館の主人に誘われて麻雀に入り10万負けたカタにドS奥様の奴隷にさせられた挙げ句奥様に「代わりのマゾを見つけてきたら解放してやる」と言われ逃げ帰ってきて隼人にすがりつくものの「オレにマゾになれっていうのか〜〜!」と怒鳴られてしまったりと、なかなかの活躍を見せる。
ちなみに話の筋は特にないのでそこんとこ夜露卑苦。




麻雀としてはさして申し上げるようなことはない。主人公が役満をばんばんあがりまくって勝ち! というパターン。オカルトの跋扈するマジックリアリズムの世界であるレトロ麻雀漫画にあって唯一のデジタルはイカサマだが、それすらない。このような内容の麻雀漫画で主人公が鉄壁くんのような打ち筋を披露されても困るが、『牌鬼無頼』とか『下駄を履くまで』のような闘牌を披露してほしいところ。