TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 麻雀八犬伝

灘麻太郎+北野英明 グリーンアロー出版社(1984)
第1巻/呪いの血脈の巻、第2巻/黄金の闘牌の巻、第3巻/炎の終焉の巻
全3巻


┃あらすじ
幕末の政変の最中、飛騨穴山の金山は穴山藩家老らの謀略により、歴史の闇に葬られた。……時は流れ現代……、謀略に加担した密使・犬塚修輔の子孫・犬塚八郎は義父の遺言に従い、離散した七人の兄を探す旅に出る。が、八郎の前には常に時間を超えた血塗られた因縁がつきまとうのであった。




伝奇ロマン麻雀漫画、麻雀版暗黒神話
なぜ麻雀と八犬伝悪魔合体させたのかはわからないが、構成が凝っていておもしろい。本当に灘麻太郎がプロットという意味で原作を書いていたのだろうか。なんにせよプロットが強力なので北野英明の古いしょぼくれ臭が消えており、読みやすい。



おおまかなプロットは滝沢馬琴の『南総里見八犬伝』になぞらえて進行する。八犬伝は、端的に言うと末弟が生き別れで散り散りになった七人の兄を探して旅をするという話。昔の漫画は麻雀漫画に限らず八犬伝水滸伝太平記などの古典文学に題材をとったものをたまに見る。当時は現在より古典文学に人気があったのかしらん? 一般人でも国文学に対する知識があったのだろうか。私は八犬伝はそれ自体を読んだ事はない。1954年制作の東映映画版は見たけど……。
『麻雀八犬伝』では、散り散りになった「犬」という漢字が名前に入った兄弟、兄弟の証の水晶玉と痣など、「八犬伝」にあるおもしろい要素を抽出して使っている。さらに存在を隠蔽された隠し金山の財宝伝説が絡み世俗的ドロ臭さが加わって非常にワクワクさせてくれる。
私は2巻しか持っていないので、1巻と3巻がどうなっているのかが非常に気になる。やっぱりこのあとは妖術合戦がおっ始まるのだろうか。剣劇や妖術合戦を麻雀対局に置き換えているのなら、どんな狂った麻雀が行われるのかも気になる。また、「八犬伝」に登場する個性的な兄弟たち残り5人はこの話ではどうなっているのか。気になって仕方ない*1
買ったお店のおねいさんに「これっ、続きはないンですかねッ!? てゆーか、グリーンアローの麻雀漫画在庫あるだけ全部見せて欲しいンですけどッ!!」と掴み掛かろうかと思ったが、今後のことを考えて、やめた。


麻雀については、プロレスのリングの上で覆面レスラーと麻雀したり*2、盲目だが牌から出る微妙な音の違いで牌の種類を見分けることができる笛師雀士*3が登場する。盲目の雀士・犬神と行う二人麻雀はあるが、まあ普通か。しかし、麻雀の腕を見て自分の血族かどうかを判定しようという勝負の理由はなかなかすごいものを感じる。
 



当時は伝奇ものやオカルトものが流行っていたのか。おそらくまだサブカルとかSFとかいった言葉が輝いていた頃なのだろう、古書店*4で当時の書籍を見ていると、疑似科学本など、非常に興味深い本がたくさん見つけられる。そういった本はダサくてトンチキでいかにも頭が悪いが、愛嬌がある。
あるいは70年代末〜80年代初頭は角川映画横溝正史ブームになっていたはずなので、こういうノリが広く一般に認知されていたのだろうか。いまはもうないよね……。私としては「伝説」+「隠された宝」+「血に秘められた因縁」で三倍満なのだが……。
たとえば、糸井重里をどう認識するかについて。私よりずっと世代が上の人だと、糸井重里はナウでオシャレなコピーライター、私より世代が下の人だと、オシャレな文化人、しかし、私の世代にとっては徳川埋蔵金掘っていた人なのだ……。もう埋蔵金彫らないのかな。

*1:後日完読。完読してもこれといってどうしたというわけではない話だった。むしろ2巻だけ読んだ方がま……

*2:対戦相手の覆面レスラーというのが実は主人公の兄なのだが、なぜか始終マスクを被りっぱなしなのが軽く狂っている。もちろんずっとマスクをしているのにはある理由があるのだが、寝室や街の雀荘でまでマスクを被っているのはアホに見えてしまう……。

*3:実はこれもまた主人公の兄。職業は笛師で、お手伝いさんを折檻するのが趣味。そのお楽しみの現場を主人公に押さえられ、主人公に真顔で「兄さん!やめてください、どうしたっていうんだ一体!」と言われて「呪われた血がこうさせるのだ」とか理由にならない理由で切り返す人。

*4:この手のものを求めるには、中野ブロードウェイ4階にある「まんだらけ 大予言」が非常にトレンディ。まんだらけに買収?される前はあまりにもオーラが真剣師すぎて入りづらかったが、まんだらけに組み込まれて以降気軽に入れるようになった。そのかわり古書店としては客のマナーが……。価格は基本的には安いが、サブカル系で名の通った書籍は高い。荻窪ささま書店の2倍くらい。ささま書店が安いだけかもしれないが。