TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 本格闘牌巨編 雀鬼四天王

吉岡道夫+北野英明 グリーンアロー出版社(1985)
第1巻/非情編、第2巻/鬼哭編

 

┃あらすじ
ボンクラ青年・速水信吾の恋人である由美の父親がひき逃げで亡くなった夜、由美の家に借金取りが現れる。由美の父はサラ金から580万円もの借金をしていたのだった。保証人になっていた由美を借金取りから救うため、信吾は唯一の取り柄の麻雀で金を稼ごうとするが、由美は信吾に真面目に働いて欲しいと願っていた。そんな由美を横からかっさらおうとする男が現れる。男の名は北大路直樹。北大路財閥の御曹子にして麻雀牌王戦のチャンピオン。不快の念を抱きながら歩いた帰りの夜道で信吾はチンピラにからまれ、ボコられる。翌朝目覚めると、ズロース一丁の謎の女が傍らに立っていた。女は言う。北大路は由美をモノにするつもりだと。そして女は、今度開催される麻雀牌聖位戦にエントリーし、北大路をたたきつぶせと信吾をけしかける……。



北野英明の絵がこぎれい&丁寧で非常にプリティ。ほかの作品より綺麗に絵が描いてある気がする。麻雀漫画としてはまあ「昔の麻雀漫画でごわすな」的な内容。少ないページ数に金・女・ギャンブルをつっこむためか、普通に会話しつつ女が服を脱ぎはじめる等、脈絡もなくおっ始まる無意味なお色気シーンが涙を誘う。麻雀界のエラい人の名前は伊佐山先生、壁にかかっている額のなかの言葉は「人生七転八倒」と、プチネタもあり。大阪を舞台に行われるブー麻雀や「逆周りの地獄打ち」など特殊ルールも登場。ただし特殊ルールにあわせた戦略がどうしたという話はない。ただ、裏麻雀では天和は九種九牌で流せるという流局優先の変なルールがあるらしい。



「四天王」というからには、このあと北大路以外にも東村山ナントカとか西園寺ナントカとか南條ナントカとかが出てくるのかと思ったが出てこなかった。冴えない主人公と冴えない話で、昔の麻雀漫画には「カタルシス」という文化はなかったのだろうか。……もしかしたら私の持っていない3巻以降にそのような展開があるのだろうか……。2巻までだと、主人公よりも陳さんのほうがイカス。



どうでもよい瑣末なことではありますが、表紙で、グリーンアローの「GA」マークが人物のチョッキやセーターの胸のワンポイントみたいになっているのがウルトラプリティだと思いました。