TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 原先生、『蟹工船』を描くでござるの巻

ただいま「週刊コミックバンチ」に、原恵一郎・画の「蟹工船」が絶賛連載されています。

原恵先生に蟹工船とは、カモがネギしょって鍋に乗ってドンブラコッコとやってきたくらいのすごい采配だと思います。集英社文庫の「『人間失格』の表紙が小畑健」に匹敵するすばらしい采配。ほかに『蟹工船』を描けるのは福本伸行や故・青木雄二くらいでは。「凌ぎの哲」やいまの「ワシズ」のように爆発的にはみテン*1しているわけではありませんが、原先生の本領が炸裂しています。

わかりやすい『蟹工船』 小林多喜二

カイジ』をおもいうかべてみよう。別室しかないエスポワールに劣悪にした帝愛地下強制労働施設を直結搭載したようなおフネに、木の根っこのように素直な農民や毎年常連の出稼ぎさんがたくさん乗せられて、さむいところへカニさんをとりにいかされるお話だよ。帝国主義がさくしゅでせめてくるんだよ。兵藤会長はいつの世にもいるんだね。あいことばは「おい、地獄さ行ぐんだで!」。でも、さくしゅされっぱなしじゃだめだって、カイジですら気付いたよね。このおフネに乗っているひとたちはどうするのかなぁ? というプロレタリア文学の金字塔だよ。
(小生、非常にあいまいな記憶で書いているので、よい子は本物を読んで確かめてみよう!)

小説の『蟹工船』馬鹿売れしてましたが、あれを買った人って、ホントにワーキングプア格差社会に興味があったのでしょうか。みんなが本当にワーキングプア格差社会への関心から『蟹工船』を買ったのなら、文字通り文学の復権ですよね。でも、どう考えても『蟹工船』の購買動機の圧倒的多数は一行目の「おい、地獄さ行ぐんだで!」のインパクトでしょ。文学ここにあり。思わず二度見ですよ。なんていうか、「小池一夫ってすごいよね」と同じ意味で「『蟹工船』ってすごいよね」。老いも若きもウケ狙いのネタに走る今、やはりマジな人の本気は強いです。


というわけで、『蟹工船』のつぎは武者小路実篤『友情』がくると思います。いや〜〜片思いって本ッ……当にいいもんですね〜〜〜。スットコドッコイがひとりでうっとりしたり慌てたり焦ったりするドタバタラブコメ。本当にひとりで。本当に。でも現実ってそうだよね。きみのきもち、みうらじゅんならわかってくれるよ。さらにすごいのは『お目出たき人』で、本当におめでたいところがすごいです。武者小路実篤は本当に紙一重。いまならいまならアフタヌーンで連載可能なエアラブストーリー。

*1:はみだしテンション