TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 鉄道旅行で旅打ちしよう

最近、夏に青春18きっぷでどこへ行こうかなという現実逃避めいた妄想で頭がいっぱいです。
私は大井川鐵道に乗りに行くなどの鉄道旅行や神社仏閣巡りで青春18きっぷを消費したいところなのですが、若い男子には旅打ちツアーがおすすめだと思います。



┃おすすめのツアー あぶれもん編

来賀友志+嶺岸信明の名作『あぶれもん』の主人公・啓一の旅打ちを体感してみましょう。私の知人は長渕剛のライブ見たさに東京から桜島まで青春18きっぷで旅をしたので、あながち不可能ではありません*1
ちなみに『あぶれもん』の旅打ち行程について、原作を検討すると、青春18きっぷをメインに使う事の出来ないシチュエーションが多すぎます。鉄道旅行の定番・青春18きっぷは補助程度に考えてください。一定地域のなかで有効なフリーきっぷなどを活用しましょう。



■1日目

**:** 京急弘明寺
↓ 京浜急行本線
**:** 横浜
↓ 京浜東北線
**:** 東京(打つ)
18:03 東京
↓   特急はやぶさ(夜行)
翌11:48 熊本

┃今日のローカルルール 特になし

初日ですがいきなり問題が発生しています。啓一くんと健三さんは寝台列車はやぶさ」で九州に向かっているのですが、実はこの列車は寝台「特急」なので青春18きっぷを利用することができません。乗車賃と特急料金を払ってください。東京駅近辺麻雀で勝てたらはやぶさを利用、負けた人は速攻品川に行って「ムーンライトながら」の列に並んでください(指定席を取ってもOK)。大垣に着いたら次は東海道本線で…というように鬼のように乗り次ぎを繰り返せば、2日後くらいには鹿児島に着けます。
また、作中では「はやぶさ」の終着駅は「西鹿児島」駅となっていますが、1997年にはやぶさの運転区間が変更され、熊本までしか運行していません。さらに2004年に九州新幹線が開通したのを機に「西鹿児島」駅は「鹿児島中央」駅に名称を変更しています。ので、熊本から鹿児島中央までなんとか自力で移動する必要があります。まあ今夜はひとまず「はやぶさ」の中で寝ましょう。


■2日目

12:00 熊本
↓   鹿児島本線
12:34 八代
13:18 八代
↓   鹿児島本線
15:50 川内
15:58 川内
↓   肥後おれんじ鉄道
16:45 鹿児島中央(打つ)
20:13 鹿児島中央駅
↓   鹿児島市電2系統
20:18 天文館通り(打つ)

┃今日のローカルルール 特になし

九州を南下しただけで一日終わっちゃうような行程ですが、熊本到着後に乗る鹿児島本線新八代で降りて九州新幹線つばめ9号に乗り換えると、13:29に鹿児島中央に着けます。新幹線が利用できるとこの日のうちに桜島に渡れるので、一気に3日目行程までこなすことができます。まあなにはともあれ鹿児島中央駅前ではひとまず「若き薩摩の群像」の像を見ましょう。
啓一くんは雀荘のマスターに紹介されて路面電車に乗って「千石町 ウチムラ」という雀荘に行っていますが、ウチムラが入っているビルの1階が「理容ニュー天文館」であることと、千石町という住所から推測するに、「天文館」という繁華街にある雀荘だと思われます。背景を見るに、鹿児島中央に着いた時点に健三さんと一緒に天文館の通りを歩いているみたいなんですけどね。市内を荒らしているという噂が立っていることだし、啓一くんはあまり薩摩半島をうろうろしていないのかな?路面電車は本数が多いので、適当な時間に乗ってしまって構いません。



■3日目

**:** 天文館
↓    鹿児島市電2系統
**:** 桜島桟橋
**:** 鹿児島本港 桜島フェリーターミナル
↓    桜島フェリー
**:** 桜島港 桜島フェリーターミナル
↓    鹿児島市営バス60番 桜島線 東白浜行き
**:** 東白浜
↓    鹿児島市営バス70番 桜島代替線 黒神口行き
**:** 黒神中学校
↓    徒歩
黒神埋没鳥居(打つ)
↓    徒歩
**:** 黒神中学校
↓    鹿児島市営バス70番 桜島代替線 古河良行き
**:** 東白浜
↓    鹿児島市営バス60番 桜島線 桜島病院方面行き
**:** 桜島
↓    任意
**:** 鹿児島中央

┃今日のローカルルール 特になし

今日は鉄道を利用しないため、時間が不確定です。
桜島では、現在はバスの路線が変更されているようで、『あぶれもん』当時と同じ「黒神町行き」というバスは運行されていません。鹿戸の舎弟の発言から推測するに、鹿戸さんがこどもたちに竹トンボを教えながらもたれているのは「原五社神社」の「黒神埋没鳥居」と呼ばれる観光スポットであると推測されます。これは大正3年の大爆発によって埋まってしまった鳥居です。舎弟は「塩屋ヶ元」で降りろ的な発言をしていますが、「黒神中学校」下車のほうが近いようです。バスの時刻は所要時間が計算できなかったため、細かく調べられませんでした。少なくとも桜島港から黒神埋没鳥居まで40分はかかるようです。桜島港から東白浜までは1時間に1本程度運行されていますが、東白浜から先は2時間に1本程度しか運行されていません。というわけで、3日目は桜島で打つだけで終わってしまうのでした。ちなみに桜島フェリーは24時間運行しているので、ひとまずこの日のうちに桜島から脱出しましょう。桜島も興奮しなさるような勝負がキモです。



■4日目

10:50 鹿児島中央
↓   日豊本線 特急きりしま6号
12:54 宮崎
13:03 宮崎
↓   日豊本線 特急にちりん16号
16:08 大分
16:15 大分
↓   日豊本線 特急ソニック42号
18:15 博多
18:29 博多
↓   福岡市地下鉄空港線 筑前深江行き
18:32 中洲川端(打つ)

┃今日のローカルルール 風が東西・南北、赤入り、ピカリ

さて、原作では啓一くんは京子さんに見送られ、西鹿児島(現・鹿児島中央)からは特急「にちりん」で博多へ向かうのですが、「にちりん」は現在では博多〜西鹿児島の直通運転は行っておりません。ひとまず「きりしま」で宮崎に向かいます。啓一くんたちは11:24発に乗っていますが、現在11時台で宮崎まで行ける「きりしま」はないので、10:50発に乗りましょう。宮崎からやっと「にちりん」に乗るのですが、博多までの直通運転は殆どないため、大分で接続する特急「ソニック」に乗り換えます。ちなみに14時台まで待つと直通の「にちりん」が来るので、本格派はそちらに乗ってください。
ちなみに啓一くんたちが乗っていたのと同じボンネット型の「にちりん」は九州鉄道博物館北九州市)に保存されています。
さあ、ここからは、啓一くんが女といちゃついていたところを健三さんに見とがめられたため、健三さんルートと啓一くんルートに別れます。啓一くん、ひとりで大丈夫かな?



■5日目

06:41 博多
↓ 鹿児島本線
08:33 下関
09:00 下関
↓ 山陽本線
10:06 新山口
10:10 新山口
↓ 山陽本線
12:20 岩国
12:59 岩国
↓ 山陽本線
16:39 岡山
16:44 岡山
↓ 瀬戸大橋線予讃線
17:39 高松(打つ)

┃今日のローカルルール サンマ、鳥打ち

さあ、ここから本当の青春18きっぷの旅がはじまります。啓一くんも「鈍行でぼちぼち」と実に殊勝なことを言っていますし、わざと快速等には乗らないようにしてみました。でも、山陽本線の運行本数を考えるとヤッパリ新幹線で行けばよかったような気もする啓一くんなのでした。原作では比較的日が高いうちに高松に着いていましたが、このくらいの時間で勘弁してください。ちなみに健三さんルートを選んだ人は山陽新幹線で大阪までワープです。通天閣や道頓堀を思う存分観光しましょう。



■6日目

08:08 高松
↓ 土讃本線 特急しまんと3号
10:27 高知
10:56 高知駅
↓   高知県交通バス 桂浜行き
11:31 桂浜(打つ)
17:05 桂浜
↓   高知県交通バス鳥越行き
17:30 桟橋車庫前桟橋通五丁目
17:56 桟橋通五丁目
↓   土佐電気鐵道桟橋線
18:10 高知駅
18:24 高知
↓   土讃本線 特急しまんと6号
21:26 高松
↓ サンライズ瀬戸
翌07:08 東京

┃今日のローカルルール 特になし

昨日は鈍行でがんばりましたが、今日は特急を使わないと乗り換えが煩雑なので特急を利用します。原作では桂浜で1週間打っているようですが、そこまでのんびりするわけにはいかないので今日1日分で我慢しましょう。啓一くんや舎心が打っているのは下竜頭岬なのでしょうか。このあたりは現地で確認してください。桂浜は潮流が速いので海に入ると死にます。くれぐれも牌を取りこぼさないよう注意しましょう。



■7日目

**:** 東京
↓    中央線
**:** 新宿
**:** 新宿
↓    湘南新宿ライン
**:** 横浜
↓    京浜急行本線
**:** 弘明寺

┃今日のローカルルール 大会形式

最後は新宿でビルとビルとの綱渡りを見つつ、弘明寺へ帰るのです。




あぶれもん旅打ちツアーはいかがだったでしょうか。1週間、駆け足で回ってきましたが、原作のようにもっとゆっくりと回りたいですね。ネットで検索すると、何人か実際に青春18きっぷ旅打ちした人の紀行文?が出てきます。なんだかとても楽しそうで、羨ましい限りです。

私が読んだ麻雀漫画の中でほかに青春18きっぷで旅ができそうなのは『麻雀激闘録 3/4 よんぶんのさん』です。京都や新潟(確か)、そして沖縄など、とても雰囲気のよい町を巡っているのが印象的でした。お借りして読んだものだったので、今となっては行程が検証できないのが残念です。単行本をお持ちの方は読み返してぜひ旅路を検討してみてください。

*1:ただし友人はその旅を「本当に辛かった」と言っています。しかも九州に上陸してからはマジで辛くて新幹線に乗ったらしいので。