TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 あさすずめ

木村直巳 竹書房(1990)

┃あらすじ
時は大正時代、この頃麻雀が日本に初めて持ち込まれた。文学少年の大岡新作は上海帰りの詩人・富村が持ち帰った麻雀牌と、麻雀という遊戯に魅了される。大岡はやがて麻雀を通じて様々な人々と知り合うことになるが、その中のひとり、平田雄三郎は彼の運命を大きく変えることになる。

大正時代が舞台というわけで、作中の麻雀のルールは当時のもの。鳴いた牌のさらしかたや嶺上牌の置かれる位置、点数の数え方が現在のルールとは異なっている。のだが、途中からそれが崩れてきているらしい。私にはよくわからないが、やりきり度が低いとのこと。連載当時、その設定に読者がついてこなかったようだ。しかしそんなことは二の次、文学青年(というにはまだ少年ですね)な主人公がはいからさんな女の子・たまき(しかも憧れの人の妹←重要)にLOVEなところが実にいい。お互いモジモジしているところだとか、ミルクホールでデート?(←この「?」が重要)とか、婚約者と麻雀で勝負だとか、サンドイッチ作ったげるとか、憧れすぎる。片山まさゆき打姫オバカミーコ』を押さえ、堂々のトキメキ麻雀漫画グランプリです(私の中で)。これ以外にも舞台が大正時代であることを活かした作品の雰囲気がとてもいい。文学青年が主人公なだけあって菊池寛谷崎潤一郎夢野久作など、文学アイドルが多く登場するのも嬉しい。そんな主人公達は関東大震災が起こっても意外とケロッとして麻雀を打っていたりする。さすが高等遊民。さて、この漫画の麻雀漫画としての主題は「雀品」なのか?さすが文学青年。『耳をすませば』麻雀版?(残念ながら相手の女の子は麻雀は打たない。)