TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 アイデア ヤン・チヒョルト特集

『アイデア』(誠文堂新光社)最新号312号がヤン・チヒョルト特集だったので購入しました。¥2,970。
ヤン・チヒョルトは20世紀の偉大なるタイポグラファ(タイポグラフィのデザイナー)。最もモダンなローマン体、Sabonの設計者としても知られています。欧文タイポグラフィのアイドル的存在です。ああ、ちょうカッコイイ。彼はいつの日も私にベーシックでそれでいて新しくて美しいもののすばらしさを教えてくれる。


今回の特集のお気に入りは、別冊付録についている「&」記号のタイポグラフィ史における変遷。書体に関する歴史的考察などはデザインの必須知識ではありますが、こういったオプション的な活字の歴史もおもしろい。はっきり言ってただのタイポグラフィオタクの所業。最高です。
ところで、以前、少しだけ麻雀の牌活字の誕生のお話をうかがったことがあります。ただでさえ和文の装飾用書体(花形)は研究者が少ないようですが*1、生粋のタイポグラファや研究者などは牌活字なんて活字とも思っちゃいないだろうし、牌活字の歴史はタイポグラフィの歴史の闇に消えてゆくのでしょう。
個人的には、そもそも麻雀牌の図案の変遷に興味があります。ぱっと見て、数字が判別しやすいかと言われると、少々「う〜ん…」と思ってしまうところもありますが、数・量などの表記については独特で興味深いですね。牌そのものの美術品的価値より、その意匠のほうに興味がいってしまいます。



ところで、文字の美しさについてニヤニヤしているのは、はたから見れば、数式を見て「美しい…」とうっとりしている理系の研究者と同じくらい「あらカワイソウ…」なものに見えるのでしょうか。

*1:専門書は一応存在しています。見た事ある。