TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

文楽(人形浄瑠璃)と昭和の日本映画と麻雀漫画について書くブログ

 麻雀漫画家を志す全ての人に贈る 麻雀漫画の描き方 1時限目

たまたま見た、ある漫画批評サイトに、「デスノートは例えるなら麻雀漫画である」と書かれていました。
限定された状況の中、相手の策を成功させないようにしつつ自分の策を成功させる。しかし脇にはそれを考えていないようなタコもいる。混乱する場を見据え、自分の策を成し遂げることはできるのか。
…なるほど…デスノートは麻雀漫画だったのか*1。つまり…麻雀漫画は…世で大ウケする可能性を…孕んでいるということなのか…。漫画家を目指す人は星の数ほどいるでしょうが、その中でもおそらく数えられるほどしかいないであろう麻雀漫画家を目指す若き漫画家の卵のみなさん、満天の星空のような漫画家を目指す人々の中でも馬頭星雲的ポジンションではありますが、今ががんばり時のようです。


しかし、卵の殻を破らねば、雛鳥は生まれずに死んでゆく。ものをつくることを志す人は、手を動かさねば話になりません。それでは、麻雀漫画はどのように描けばよいのでしょうか?



先日相原コージ+竹熊健太郎の『サルでも描けるまんが教室』という本が復刻されました。
この本では様々なジャンルの漫画の描き方が説明されていますが、その中に「麻雀漫画の描き方」というコンテンツも収録されています。
この本には「麻雀漫画は麻雀ができなくとも、麻雀がなにか分かっていれば描ける」とあります。
また、麻雀漫画に大切なことは3つの「はったり」であり、それは「セリフのはったり」「顔のはったり」であると書かれています。あとのひとつは忘れました。顔のはったりが大切であるというのは核心を突いていると思います。ほとんど上半身のみ、しかも着席しているので手元と表情以外は全く動きなしという超制限された状況の中、どれだけ差別化が図れるか…、これはとても重要な問題です。相当の画力と演出力がないと話になりません。麻雀漫画は究極の顔漫画だということです。はったりをさらに利かせるためには、能條や嶺岸のようにヤクザ顔をやたらうまく描けることも重要となります。能條的にはティアドロップ型のグラサン、嶺岸的には金ネックレスがマストアイテムです。うら若き男子があんなに胸元全開なのは風紀的によろしくありませんが、麻雀漫画的にはむしろ推奨されるべきことなのであります。


この本は一応漫画の教本なので、作例(『哭きの竜』のパロディ)が載っています。なんかテラバイトみたいに、ほんとに山形に山を積んでいた竜もどきのアガリ役はリーチ一発ドラ3ポンハネマン(細かいところは忘れたが概ねこんなかんじ)。…この申告について深く考えてみましょう。この作例は『哭きの竜』に横たわるひとつの謎を解いてくれます。
それは「ポン」は実は役であるということ。
なるほど…、「ポン」がそれだけで役であるとすれば…哭けば哭くほど点数が上がるというのも…うなずけることなのだ…。つまり3副露すれば…それだけでそこにはもう3翻あるのだ。
『哲也 雀聖と呼ばれた男』が連載されていた当時、副露しているのになんでリーチしてんだという点が痛烈に批判されたと聞くが、ポンやチーは面前手を崩しているのではなくああいう役だと思えばリーチしているのもうなずけることなのだ。

(うなずけない)

なんにせよ、麻雀漫画家を目指す人必読の書ですね。麻雀漫画の描き方について取り沙汰している本などそうそうないと思います。1冊¥1,600で上下巻ありますが、麻雀漫画の描き方が載っているのは上巻です。少々お高いですが自己投資だと思って買ってください。読んだら後で私に貸してください。



麻雀漫画家を目指すあなたに…┃神保町で麻雀漫画が揃っている書店

  • 書泉ブックタワー…かなり品揃えがよい。特に片山まさゆき関連。『ノーマーク爆牌党』も全巻揃っている。但し、かなり高い棚に置かれているので手に取りづらく、それを一生懸命取ろうと脚立の上でぴょこぴょこしている自分が恥ずかしくなる。
  • 高岡書店…やたらある。『打天使』『ショーイチ』など少し昔のものも全巻揃えであったりする。但し、『リスキーエッジ』『運王』がなかったり『オカルティ』や『スーパーヅガン』に欠巻があるのは、私が買ったせい。つまり、この店の麻雀漫画は私が買うことによって少しずつ減っていっている。再入荷は基本的にないと思われる。また、この店のすばらしいところは、本に封がしていないので立ち読みができるということ。但し、麻雀漫画が置かれているのは成人向けフロアのレジの前。他の客にハタ迷惑なこと限り無し。でも、ここで立ち読みしていると、成人向け漫画を57,000円分現金払いで買ってゆく人など、様々な人間模様を見る事もできる。成人向けフロア(2F)は夕方以降しか営業していないことが多いので注意。

*1:というか、テーブルゲーム漫画の中で麻雀漫画だけが異様に発展しているのか?囲碁とか将棋の漫画にも名作はあるけれど、麻雀漫画ほど発展していませんよね。欧米にはチェス漫画とかあるのかしら?