TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 第9夜 麻雀放浪記

麻雀ものの映像作品を毎夜鑑賞する「麻雀Vシネでリーチ」も今夜が最終夜です。今夜は、最終夜にふさわさしい名作『麻雀放浪記』で、長いノクターンを終えたいと思います。




麻雀放浪記』は和田誠・監督、真田広之・主演で1984年に公開された映画。阿佐田哲也の小説『麻雀放浪記』の青春編を映像化している。他キャストは、オックスクラブのママに加賀まりこ、まゆみに大竹しのぶ、上州虎に名古屋章、ドサ健に鹿賀丈史、女衒の達に加藤健一、出目徳に高品格


この作品は、映画としてすばらしい作品です。映像がとにかく美しい。ワンカット、ワンシーンそれぞれがとても素敵。緊張感があり、それでいて自然であり、時たま気取った構図があるというそのセンスとバランス感覚がとてもよかったです。ほんのちょっとしたシーンにも雑さがありません。さすが、監督・和田誠なだけあります。セットや背景もすばらしいです。


キャスティングや役者の演技もすばらしいです。『麻雀放浪記』を彩る個性的なバイニンたち…ドサ健や達さん、出目徳のキャラクターがほぼイメージ通りでした。ドサ健と聞いてもふたこぶアフロしか思い出せなくなっていた私には、このドサ健はいささかカッコよすぎです。原恵一郎先生の『凌ぎの哲』の世界は完全に漢の世界と化していたのでスカッと忘れていましたが、この映画でのドサ健はちょっと胸キュンです。また、出目徳との出会いのシーンの、その鮮やかさがすばらしいです。達さんもすごくよかったです。達さんは女衒なのに、真面目で優しいところがいいんですよね。それぞれの登場人物の個性をはっきりと出しながらも、嫌みに感じない。昔の邦画のよさを感じるつくりです。



また、原作を読んだときに感じる、勝負の勝敗とは関係のない虚無感、それと同居する儚いが鋭い感情、その起伏が、台詞に直接出ずとも、映像の雰囲気やちょっとした役者の演技から伝わってくるのがとてもよかったです。麻雀の勝敗と勝負の勝敗、そして自分の心の中での勝敗はまた別。それがうまく描かれていると感じました。
原作『麻雀放浪記』の、或いは阿佐田哲也作品の好きなところとして、私が第一に挙げたいのは、作品の持つ雰囲気…虚無感、やるせなさだったので、この点がよく出ていたはとてもよかったです。おそらく、原作を読んだことのない人でも、すんなりと『麻雀放浪記』の世界に入ってゆけると思います
麻雀の勝負自体を重視せず、原作の持つ雰囲気を重視して話を進めているのもいいですね。麻雀のシーンは最小限ですが、しかし、その最小限のなかに魅力が込められています。それは「ドラマチック」というよりは「鮮やか」と言いたい印象です。2の2の天和も、大四喜爆弾も、とても鮮やか。モノクロなのに。きっと麻雀がわからない人でも、おもしろい!と思って観る事ができると思います。「麻雀をやっている」状況、それそのものはあまり動きがないはずですが、演出やカメラアングルなどが工夫されているので、飽きずに観る事ができます。特にラストの勝負は、カメラアングルが盛り上げてくれます!



いやあ、ほんと、『麻雀放浪記』、おもしろいです。今夜はあまり内容ついてクドクド語らずにいたい…、それくらい、この映画も、そして原作もすばらしい。まだ御覧になられいていない方や原作未読の方もいらっしゃるかと思うので、映画・原作ともに、詳しい内容解説は後日追記します。とりあえず、今夜までの麻雀映像作品の中では、この『麻雀放浪記』がダントツでおもしろいです。





ひとまず「麻雀Vシネでリーチ」は今夜で終了です。
今回見た中では、麻雀をモチーフにした映像作品では『麻雀放浪記』、漫画原作のおもしろさを活かした作品では『闘牌伝アカギ』、麻雀を学ぶ事のおもしろさを教えてくれる作品では?『打姫!オバカミーコ』がおすすめです。話の構成を原作と比べたり、どこをどう変えているか(特に牌姿)をチェックしつつ観ると、どの作品も様々な工夫がされていて、とてもおもしろかったです。
この「麻雀Vシネでリーチ」は、今回確保することができなかった『天牌I』や、危険牌の香り高い『アンディ・ラウの麻雀大将』を観る事ができたら、またやりたいと思います。