TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

 第8夜 雀魔アカギ

今夜も第7夜に続き、『アカギ』のVシネです。今作は第2弾、浦部編の映像化、1997年制作。アカギ役は前作と同じく柏原崇、エグゼクティブプロデューサーは飯田譲治


今作も前作同様、原作でのエピソード(沼田玩具麻雀、牌引き勝負、伏せ牌からの役作り等)がうまく再構成されており、話がわかりやすくなっています。
例えば、原作では「イーシャンテン維持」がルールだった伏せ牌引き勝負が、「国士イーシャンテンをテンパイさせる」に変わっており、ヴィジュアル的にわかりやすいように工夫されています。また、引くべき牌も「中か緑發でテンパイ」と明言されており、「ちゅん」と「りゅーは」が何のことかさえわかれば、おそらく「イーシャンテン」という言葉がわからなくても状況が飲み込める作りです。個人的に「イーシャンテン」という言葉が反射的にわからない人、或いは牌姿を見て反射的に「●●のイーシャンテン、●を引いてテンパイ」と判断できない人も多いと思うので、なかなかいい工夫だと思います。用語がわからない人がこのVシネを見るかどうかは謎ですが…。


ただ、このVシネ、アカギのキャラクターが少し原作とイメージが違う気がします。いろいろな意味でVシネっぽくなっているためか、私の中でのアカギのイメージ「自然体ゆえに鋭い」というよりも、積極的にとんがってるキャラになっています。これが少し気になります。喋り方などはイメージ通りなのですが…。よかったのは、アカギと同じく、柏原崇も本当に前作から2歳年をとっていること。初々しさが消え、摺れた感じがよいですね。


しかし、偶機北待ちや河底ドラ4のくだりの演出は、実写映像ならではのおもしろさがあります。静かで、しかしドラマチックな演出。このあたりは原作のおもしろさがうまく活かされていると感じました。ただ、今作は原作そのままというより、映像的おもしろさのウェイトが高いので、原作のことはある程度忘れて観た方が吉です。特に浦部役の役者さんが抜群に演技がうまく、原作とは異なる浦部のキモさや無気味さ、狡猾さ・老獪さの役造りがすばらしかったです。アニメ版の浦部の風間杜夫もすばらしかったですが、やはり原作そのままではなく、役者が自分なりの味をつけることで、他メディアに映えるキャラクターを作り上げる事ができているのでしょうね。


以下は断片的な感想。

  • ホンマに腕一本とるアカギ。
  • 木材工場で働くアカギ。
  • 柏原崇、前作では手や指が綺麗で、それがとてもよかったのだが、今作では手が荒れているのがちょっと残念。指を使うテーブルゲームでは重要なことだと思う。アカギの工員暮しの辛さが伺える(?)。今回は浦部の手が綺麗。
  • 舞台が料亭でないのが残念。一度は行きたい料亭麻雀。
  • 今回もセットや衣装が全体的にエキセントリックでおもしろい。
  • ニセアカギ(毛利賢一)は澁澤龍彦湯浅弁護士を足して割ったようなインテリ顔をしている。
  • 異様に手さばきがよいニセアカギ…。代打ちはもういいから雀荘で働いて下さい…。
  • 浦部(古田新太)に至ってはナニワ金融道に出てきそうななことになっている…。水玉のリボンタイとモコモコしたピンストライプのスーツがオチャメ。俳優の演技がとてもうまいのもよい。伊丹十三の映画に出てきそう。
  • 川田(宮内でしたっけ?)組長役は中尾彬。浮いていらっしゃる。
  • 石川さんは完全にドチンピラ。
  • 安岡さんがアカギにつきっきりで父親参観状態になっているのはどうなのか。
  • ラスト、浦部が「わいも博打打ちや」と、自分で指を落とすのがよかった。浦部にしては根性据わりすぎの感もあるが。この根性があるならリャンピンにはぶっささらなかったのでは…?
  • それを見てびびりまくるニセアカギ。あげくに治に刺されるニセアカギ。可哀想すぎる。ほんとに「なんで…おれが…」。


前作を見ていて、かつ原作を読んでいる人にはそこそこお勧めです。とりえず、山を積めない(フリをしている)浦部に注目っ……!



┃おまけ
第7夜『闘牌伝アカギ』に続き、今作もDVD版で鑑賞したため、映像特典として収録されている柏原崇×飯田譲治対談を見ることができました。制作から8年後の対談です。

  • 飯田譲治がアカギを初めて読んだのはこのあたり(浦部編)だったらしい。
  • 福本はどーやってトリックやルールを考えているのかについて考える柏原と飯田。やはり麻雀牌を見つめながら考えているのだろうか。
  • 浦部編連再当時?、飯田が福本に「(最後の裸単騎のトリック)どうするつもりなんですか」と聞いたら、福本は「あれは単行本にするときに全部(牌姿を)書き換える」と答えたらしい。マジで?連載と単行本の内容を書き換えているのは本当らしい。そういえば、福本はノー爆のときの片山くらい、キモいくらいに河とか書き込んでるよな…たいして河に意味がなくても…ビッチリと…。
  • ホント、柏原が遼チャン役をやってくれれば……………………