TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹

麻雀漫画と昭和の日本映画と文楽(人形浄瑠璃)について書くブログ

蓄音機文楽『新版歌祭文』野崎村の段 湯布院・束ノ間

文楽業界の広瀬アリス&広瀬すず、勘彌さんと紋臣さんがお光・お染役でご出演ということで、いままでで最も遠い最長距離出張、大分県は湯布院へ行ってきた。 ■ 湯布院といえば特急「ゆふいんの森」、湯布院映画祭と興味のある要素がいろいろとあるけど、「遠…

文楽 6月文楽若手会・東京公演『義経千本桜』椎の木の段・小金吾討死の段・すしやの段『妹背山婦女庭訓』道行恋苧環 国立劇場小劇場

出演者は完全にド他人なのに、「よかったねぇ〜よかったねぇ〜」と親戚のオバチャン気分になってしまう若手会・東京公演へ行ってきた。 ■ 『義経千本桜』三段目 椎の木の段〜小金吾討死の段〜すしやの段。 昨年度の地方公演で出た椎の木の段・すしやの段に小…

文楽 6月大阪文楽鑑賞教室公演『五条橋』『菅原伝授手習鑑』寺入りの段・寺子屋の段 国立文楽劇場

大阪の鑑賞教室公演の配役は、前期・午前の部、前期・午後の部、後期・午前の部、後期・午後の部の4グループに分かれている。昨年まではこのうち前期・後期のいずれか2グループのみを観ていたが、今年は一念発起して、全グループを観た。 A. 前期・午前の部 …

文楽 5月東京公演・通し狂言『妹背山婦女庭訓』国立劇場小劇場

ひさびさの全段通し上演。10時半開演21時終演の長丁場だったが、ちゃんと1日通しでチケットを取った。 通して観ると、物語自体の持っている質量に圧倒される。時代ものならではの堂々たる見応え。ふだん、集中して観ているつもりでも、ある意味で気が散って…

映画の文楽4 内田吐夢監督『浪花の恋の物語』3:めんない千鳥をめぐる謎

┃ 過去の記事 第1回 映画の文楽4 内田吐夢監督『浪花の恋の物語』1:クライマックスへの疑問 - TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹 第2回 映画の文楽4 内田吐夢監督『浪花の恋の物語』2:ふたつの「新口村」 - TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹 ┃ 孫右衛門の「めんない千鳥」 私…

文楽 『妹背山婦女庭訓』全段のあらすじと整理

2019年5月東京公演で通し上演される『妹背山婦女庭訓』の全段あらすじや題材考察等のまとめ。 ┃ 概要 ┃ 登場人物 ┃ 初段 蘇我蝦夷子の陰謀、入鹿の反逆《奈良》 大序 大内の段 小松原の段 蝦夷館の段 ┃ 二段目 鹿殺しの罪《奈良〜山中》 猿沢池の段 鹿殺しの…

文楽 4月大阪公演『祇園祭礼信仰記』『近頃河原の達引』国立文楽劇場

35周年記念だからか、文楽劇場自体もほんのり新調されていた。劇場内の絨毯の床張りがきれいになっていて、舞台のいちばん客席側の仕切(│×│×│×│模様になっている、すごく低い白木のついたて)がまっしろの新品になり、鳴り物や陰弾きの御簾も青々としたもの…

文楽 4月大阪公演『仮名手本忠臣蔵』大序〜四段目 国立文楽劇場

文楽劇場開場35周年記念ということで、1年をかけて『仮名手本忠臣蔵』をフル上演する企画。 おととし12月に東京で行われた通し上演と違うのは、4月公演で二段目「桃井館力弥使者の段」、11月公演で十一段目「光明寺焼香の段」を出すこと、11月公演の十段目「…

映画の文楽4 内田吐夢監督『浪花の恋の物語』2:ふたつの「新口村」

┃ 過去の記事 第1回 映画の文楽4 内田吐夢監督『浪花の恋の物語』1:クライマックスへの疑問 - TOKYO巡礼歌 唐獅子牡丹 あの有名な「新口村」……と言われても、古典芸能が好きな人以外には通じないと思う。なので、まず、文楽(人形浄瑠璃)で「新口村」と呼…

映画の文楽4 内田吐夢監督『浪花の恋の物語』1:クライマックスへの疑問

内田吐夢監督の映画に、『浪花の恋の物語』(昭和34年(1959)9月公開)という作品がある。内田吐夢は『妖刀物語 花の吉原百人斬り』『恋や恋なすな恋』など何本かの古典芸能原作の映画を撮っているが、『浪花の恋の物語』はそのうち人形浄瑠璃を原作・題材…

文楽 『祇園祭礼信仰記』全段のあらすじと整理

祝・初日、大阪国立文楽劇場 2019年4月公演 第二部で上演されている『祇園祭礼信仰記(ぎおんさいれいしんこうき)』の全段あらすじと登場モチーフの元ネタをまとめる。 ┃ 概要 ┃ 登場人物 ┃ 初段 発端・松永大膳の反逆 大序 九条の廓の段 祇園女歌占いの段 …

映画の文楽3 木下惠介監督『楢山節考』の義太夫 ― 木下惠介の浄瑠璃世界

ひさびさ更新「映画の文楽」。今回は文楽座から太夫・三味線が音楽出演し、義太夫節が効果的に使われている作品について紹介する。 『楢山節考(ならやまぶしこう)』 松竹大船/1958(昭和33年)6月公開 監督・脚本=木下惠介 Amazon配信あり、iTunes配信あり…

文楽 3月地方公演『義経千本桜』椎の木の段・すしやの段・道行初音旅、『新版歌祭文』野崎村の段 府中の森芸術劇場

今回初めて知ったことがある。 地方公演では浄瑠璃の詞章字幕を舞台下手袖に設置した専用装置に表示しているのはみなさまご存じの通り。あの字幕表示機の名前を、上演前の解説時に技芸員さんが必ずドヤ顔で紹介してくることがずっと不思議でならなかった。字…

にっぽん文楽『小鍛冶』『日高川入相花王』渡し場の段 明治神宮

ひさびさのにっぽん文楽・東京公演、今回は明治神宮での開催。 前回の上野公園での開催時、雨天中止でチケットが払い戻しになり、その手続きがあまりに面倒だったため、今回は天候が見えてからチケットを買おうと思っていた。ところが天候の見通しが立った頃…

黒川能 王祇祭 2019[二日目・春日神社]山形県鶴岡市黒川

王祇祭一夜目・当屋の記事はこちら。 一夜目の演能を観終え、上座当屋から雪道を歩いて王祇会館へ戻ると、休憩所内は明かりが落とされており、先に戻っている人たちは仮眠をとっていた。すでに5時半を過ぎていて時間的にあまり寝られないので、ちょっと休憩…

黒川能 王祇祭 2019[一夜目・当屋]山形県鶴岡市黒川

「黒川能」は山形県鶴岡市黒川地区に伝わる民俗芸能の能楽で、鎮守の春日神社の氏子によって継承されている。その演能の中でもとくに有名なのは、毎年2月1日から2日にかけて行われる「王祇祭(おうぎさい)」だろう。黒川能自体は出張公演もあり、国立劇場の…

文楽 2月東京公演『桂川連理柵』国立劇場小劇場

ときどき前を通る新聞店の店先に、腰ほどの高さのスチールのラックが据えられている。その上には常に清潔に掃除された水槽が置かれていて、中には一匹の大きなカメが住んでいる。両手に乗せても太い手足がはみ出すであろうほどの大きなカメだ。飼い主に磨い…

文楽 2月東京公演『鶊山姫捨松』『壇浦兜軍記』国立劇場小劇場

なぜか拷問もの2本立ての第三部。両方とも最近大阪で出たばかりの演目なので、東西の配役違いによる比較や2公演見ての感想を中心に書きたいと思う。 ■ 鶊山姫捨松。大阪で11月に出たときから岩根御前・大弐広嗣・父豊成卿の人形配役を変更して上演。 View th…

文楽 2月東京公演『大経師昔暦』国立劇場小劇場

『大経師昔暦』。またも読めない。「だいきょうじ・むかしごよみ」だそうです。「経師」は経巻・仏画等を表装する者。「大経師」とは、経師の代表として朝廷御用を受け大経師暦の発行権を与えられた者のこと。 ■ 大経師内の段。 京都烏丸の大経師家は朝廷か…

文楽 トークイベント:吉田和生「『大経師昔暦』について」文楽座話会

2月4日開催、NPO法人人形浄瑠璃文楽主催のイベント。和生さんにご出演の第二部『大経師昔暦』について語ってもらうという趣旨の会だったが、『大経師』の話自体が微妙すぎて和生さんが途中で話すことがないと言い出し(衝撃の展開)、ほとんどが質疑応答の時…

文楽  トークイベント:桐竹勘十郎「『壇浦兜軍記』阿古屋琴責の段について」文楽座学

2月5日開催、NPO法人人形浄瑠璃文楽座主催のイベント。今回の内容は勘十郎さんから阿古屋についてお話しいただくというものだった。簡易ながら以下にお話の内容を整理し、まとめる。また、撮影可能だったため、後列席で写りは悪いけど写真もつけている。ご参…

文楽 1月大阪公演『冥途の飛脚』『壇浦兜軍記』国立文楽劇場

カンタロー、今年も手ぬぐい撒きでメチャクチャ遠投していたが、三曲弾くのに肩にあんな無茶をしていいのか。友之助さんもキャピキャピ遠投していたが、あの三味線さんたちの遠投への熱意は何なのか。むしろ手ぬぐい撒きは遠投に自信がある人が出るのか。去…

文楽 1月大阪公演『二人禿』『伽羅先代萩』『壺坂観音霊験記』国立文楽劇場

正月からロリ百合!幼子殺し!夫婦自殺!公金横領!美女拷問!と飛ばしてくる文楽劇場のキレ味鋭い初春公演に行ってきた。制作も技芸員も「首が落ちたり切腹したりしないから正月向けだよね〜^^」と思ってそうで恐怖を覚える。 ■ 『二人禿』。百合百合なカム…

文楽 『壇浦兜軍記』全段のあらすじと整理

2019年 大阪国立文楽劇場 初春公演 第二部で上演される『壇浦兜軍記(だんのうらかぶとぐんき)』の全段あらすじ、三段目口(阿古屋琴責の段)で阿古屋が演奏する三曲の概要をまとめる。 ┃ 概要 ┃ 登場人物 ┃ 一段目 東大寺再興《鎌倉/熱田神宮/東大寺》 ┃…

文楽 『伽羅先代萩』全段のあらすじと整理

2019年 大阪・国立文楽劇場 初春公演 第一部で上演される『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』は、現行の文楽では六段目、「御殿の段」前後の見取りのみが上演されている。 見取り上演の場合、「いきなり話が始まるので勢いについていけない」「『あんた…

文楽 12月東京文楽鑑賞教室公演『団子売』『菅原伝授手習鑑』寺入りの段・寺子屋の段 国立劇場小劇場

同じ演目の配役違いを手軽に楽しめるのが嬉しい鑑賞教室公演。大阪の鑑賞教室はすさまじいシャッフル配役で意外性のある配役や若手の抜擢も多いけど、東京は幹部を得意なところに配役して「初心者には一番最初に最高のものを」という雰囲気。だと思っていた…

文楽 12月東京公演『伊達娘恋緋鹿子』国立劇場小劇場

『鎌倉三代記』で集中力を使い切ってしまい、客席まったりしているところで始まる『伊達娘恋緋鹿子』。なんかこう、それなら『鎌倉三代記』の現行で出せる段ぜんぶ出せばいいのではと思ってしまうのだが……。 ■ 八百屋内の段 雪がちらつく本郷の町。八百屋久…

文楽 12月東京公演『鎌倉三代記』国立劇場小劇場

いつもは部ごとに感想を書いているが、『鎌倉三代記』のあらすじをまとめていたらそれだけで1万字を超えてしまったため、12月本公演の記事は『鎌倉三代記』と『伊達娘恋緋鹿子』で分割しようと思う。まずは『鎌倉三代記』から。 登場人物全員狂人の「ザ☆文楽…

文楽 11月大阪公演『鶊山姫捨松』『女殺油地獄』国立文楽劇場

■ 鶊山姫捨松。漢字が読めない。ひばりやま・ひめすての・まつ。 これも事前に全段を読む予習をした。「中将姫雪責の段」に至るあらすじは以下のようなものだった。(参考文献:叢書江戸文庫11『豊竹座浄瑠璃集 二』校訂=白瀬浩司、河合祐子/国書刊行会/1990…

文楽 11月大阪公演『蘆屋道満大内鑑』『桂川連理柵』国立文楽劇場

国立劇場の文楽プロモーション動画は結構頑張っているが、文楽劇場制作の動画は天然のなせる技で、平成初期のお父さんのホームビデオのようだ。なぜこんな場所で撮っているのか、なぜこんなに手振れしているのか、なぜこの二人はペア役なのにまったく息が合…